( 295941 )  2025/06/02 06:09:09  
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ドイツ人がなぜ日本人の3倍休んで成果を出すのか、その理由や働き方のポイントについて解説されています。

ドイツ人の場合、長期休暇を取ることでリフレッシュし、仕事へのモチベーションが湧き、アイデアの創造性が高まるとされています。

早朝から働くことで頭が冴え、午前に創造性を発揮し、午後はルーチン作業に割くという働き方も特徴的です。

チームワークの向上のためには、1on1ミーティングを通じて部下とのコミュニケーションを深めることが重要とされています。

(要約)

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なぜ、ドイツ人は日本の3倍休んで成果を出すのか? 疲弊しない働き方のヒント 

 

最近は、欧州のビジネスパーソンの働き方がよく話題になります。 

 

日本では、「働き方改革」というスローガンが登場してかなり経ちますが、思うように改革できず、欧州にそのヒントを求めているのかもしれません。 

 

特に今、注目されているのはドイツ人です。名目GDPで日本を抜いて経済は好調、また「勤勉な人が多い」というイメージから、気になる存在になっているのでしょう。 

 

そこで今回は、日本企業のドイツ支社に20年近く駐在。現地の人の働き方に精通する西村栄基(しげき)さんに、ドイツ流のTiny hackを伺います。 

 

──ご著書の『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』(すばる舎)を読みました。そのなかで「ドイツのビジネスパーソンは、夏休みは3週間連続で取得するのが普通。4週間休む人もいる」と書かれていて驚きました。長く休暇を取ることのメリットはなんでしょうか? 

 

一番大きいのは、リフレッシュする効果です。たとえて言うなら、たまった頭のゴミを大掃除して、リセットできるのですね。 

 

それで、休暇明けからの仕事へのモチベーションが湧いてきます。それだけでなく、休暇中に、仕事のアイディアがふと湧いてきたり、考えがバージョンアップしたり、クリエイティブになったりなど、様々なメリットがあるのです。 

 

──週末2日休みだけでは、こうしたメリットは得られにくいですか? 

 

月曜から金曜の朝から晩まで忙しく働いている方なら、ちょっと難しいと思います。 

 

土曜は、疲れからあまり何もする気がなくて、ごろごろするだけで、終わってしまうこともあるでしょう。 

 

となると、日曜だけが真の休日です。でも、明日の仕事の段取りを考えたりして、本当の意味でリフレッシュにならないかもしれません。日本には、サザエさん症候群という言葉があるくらいですから、むしろ憂鬱な気分になる人も少なくないでしょう。 

 

ただ、ドイツ人並みに3週間の休暇を取るのは、大半の日本人には現実的に難しいと思います。無理に取得しても、後半は時間を持て余してしまうでしょうし。 

 

そこで、年末年始、ゴールデンウイーク、お盆休みとは別に、年に1週間の休暇を取るのはいかがでしょう。 

 

それだけでも、自分の中で何かが大きく変わるはずです。 

 

注意したいのは、休暇中は会社のメールをチェックするなど、仕事に関連することは一切しないことです。ドイツ人は、休暇中は仕事のことは完全にシャットアウトしています。 

 

職場に戻ったら、自分の居場所がなくなっているかもといった不安感も一切持っていません。最初は、落ち着かないかもしれませんが、仕事のことは、あえて頭から振り払うのがコツです。 

 

 

──本書で印象的だったのは、ドイツ人は朝が早く、7時台に出社する人も稀ではないことです。早朝に起きて出勤し、朝からダッシュで働く利点は何でしょうか? 

 

ドイツ人が早くから働きはじめる理由は、早く仕事を終わりたいからなのです。 

 

夕方以降は、家族と過ごしたいという気持ちがあり、その時間に食い込まないために、朝早く起きて出勤するのです。金曜日は半ドン(早期終業)に近いです。15時ぐらいになると多くが退社します。 

 

私自身はというと、日照時間の短い冬でも5時ぐらいには起きています。季節や日によって早く起きたり、遅く起きたりすると、調子が崩れるのでコントロールしています。朝食はあまり食べないほうですが、ドイツ人は一般的に朝はしっかり食べていますね。 

 

早朝出勤のもう1つの理由は、早くに起きると、すごく頭が冴えていて、創造性もモチベーションも高まっているからです。午後になると、それも落ちてくるので、ルーチンワークはその時間帯にあてます。 

 

午前に頭を酷使する仕事、午後にそうでない仕事に振り分けることで、同じ8時間労働でも時間効率は違ってきます。夜型でない限り、仕事の効率を上げるためにも、朝早くから仕事に着手してみてはいかがでしょうか。 

 

──チームワークについても、ドイツと日本とでは相違点が結構ありますね。日本の職場でも絶対取り入れたほうがいい、チーム力向上の方法を1つ教えてください。 

 

上司と部下の1on1ミーティングはおすすめです。 

 

私のチームは7名ですが、少なくとも月に1回、30分から1時間ぐらい話す時間を設けています。 

 

日本でも、既に採用している会社は増えていますが、ドイツの場合、話す中身はちょっと違うかもしれません。目的としては、部下の仕事の価値観を把握し、将来のキャリアプランを話し合うのがメインです。 

 

最終的には、本人のやる気を引き出すのが目的で、日本のように働きぶりを評価するのとは、ちょっと異なりますね。1on1ミーティングは個別の話し合いですが、トータルとしてチームの成果に結びついていると思います。 

 

日本でも同様の成果を上げるには、管理職が各メンバーの個性を生かしながら、チーム全体のパフォーマンス上げるコーチング的なスキルを得る必要があります。ドイツでは管理職は、そうしたトレーニングを受けているし、自ら勉強もしています。日本では、そこが今後の課題かもしれません。 

 

もう1つは、日本の職場は、あまり言葉を使ったコミュニケーションは密でない印象があります。それで、思っていることがあっても言いづらい雰囲気があります。 

 

相手の意図を察して先に動くという、いわばおもてなしマインドは日本人の美点ではあります。 

 

それでチームがうまく機能していればいいのですが、そうでないと、あるとき急にたまっていた不満が爆発したりするのですね。日本では、各人の職責がやや曖昧なのも、察する文化が根底にありそうです。 

 

ドイツの場合、意見などあれば言葉で伝える文化が定着しており、適度にガス抜きもできています。チームをまとめる管理職の立場としても、各メンバーが普段どういうふうに感じているかを、しっかりヒアリングします。 

 

それで、「では、どうしたらいいか」と踏み込んで考えることができます。チームが、何か問題を抱えているのでしたら、言葉のコミュニケーションを努めて増やしてみてはいかがでしょうか。 

 

西村栄基さんプロフィール 

 

国立大学理系修士課程修了。BBT(ビジネス・ブレークスルー)大学大学院でMBA取得。自動車向け半導体部品を取り扱う商社のドイツ支社で勤務。2つの会社での海外駐在で計17年間ドイツに在住、欧州向けビジネスに30年間にわたり携わる。さらに、企業向けのオンラインセミナーも主宰し、累計受講者数は5000名を超える。著書は、『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』(すばる舎)。 

 

──2025年2月05日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 

 

ライフハッカー・ジャパン編集部 

 

 

 
 

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