( 297023 ) 2025/06/06 07:14:50 0 00 政府が配布した通称「アベノマスク」
2020年、政府が配布した通称「アベノマスク」について、国が業者と契約締結に至った経緯を開示しないのは不当だとして、大学教授らが不開示決定の取り消しを求めた裁判で、大阪地裁は5日、決定を取り消すよう命じ、教授側が勝訴しました。
国側は情報公開請求があった当初、『文書は存在しない』としていましたが、5日の判決で大阪地裁は、「交渉経緯などは上司への報告や後日説明を求められたときのために、繁忙状況を考慮したとしても作成していたのが自然であり、一切作成していないとは考え難い」と指摘しました。
神戸学院大学の上脇博之教授ら(5日)
政府は2020年、新型コロナウイルス対策として約500億円を投じ、全国に布製マスク(通称“アベノマスク”)を配布しました。
神戸学院大学の上脇博之教授らは国に対し、調達業者との契約に関する文書を情報公開請求したところ、国は見積書や契約書などを開示した一方、契約の過程については「作成したことがなく存在しない」などとして開示しない決定をしたため、教授らは決定の取り消しを求めていました。
2020年に開示された資料
“アベノマスク”をめぐっては、上脇教授らが単価や枚数についても開示を求めて裁判を起こし勝訴していて、マスクの契約単価は1枚当たり62.6円~150円と2倍以上の開きがあったことが分かっていました。
5日の法廷(大阪地裁)
5日の判決で大阪地裁は、「交渉経緯などは上司への報告や後日説明を求められたときのために、繁忙状況を考慮したとしても作成していたのが自然であり、一切作成していないとは考え難い」と述べました。
その上で、不開示決定は「電子メールや簡易な文書は存在していたと認められ、情報公開請求の際に文書の存否(存在するか否か)の確認もなく一律に不存在としたもの。やり取りの記録文書を作成した事実があるのに、不開示決定の理由に『作成した事実がない』と記載したことは国家賠償法上違法だ」と指摘し、国に対し決定の取り消しを命じるとともに、11万円の賠償の支払いを命じました。
判決後に会見する上脇博之教授(5日)
判決後、上脇教授は大阪市内で会見を行い、「本来は対象の情報を探索しないといけないし、積極的に開示応じるべきなのに、それをしなかったのは、政権の隠ぺい体質の表れだと思う。そこを断罪し、厳しく批判した画期的な判決だと思う」と話した上で、「アベノマスクの政策は、当時も現実的な政策かどうか疑問の声があった。だからこそ、限りなくウソにウソを重ねるようなことになったのだと思うし、そこを裁判所は見抜いたと思う」と述べました。
一方、国側(厚労省・文科省)は判決を受けて「判決内容を十分に検討し、関係省庁と協議したうえで適切に対応したい」とコメントしています。
|
![]() |