( 297211 )  2025/06/07 06:23:26  
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元横綱の白鵬が相撲協会を退職し、今後の展望について注目されています。

白鵬は相撲に関連したビジネスを展開する予定であり、トヨタ自動車の豊田章男会長とも親交が深いことが知られています。

白鵬は相撲イベントやアマチュア相撲の世界的組織を立ち上げ、SUMOのプロ化を目指しており、さらに世界展開も考えています。

退職後も白鵬杯などの主催やスポンサー集めを通じてその能力を示しており、相撲の国際化を推進する姿勢が評価されています。

(要約)

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トヨタ自動車の豊田章男会長(右)とも親交が深い元横綱・白鵬(写真/共同通信社。2024年) 

 

 相撲協会を退職した元横綱・白鵬(40)は、今後何をするのか。モンゴルから帰国後の6月9日に会見予定だが、そこから動き出す「大いなる野望」とは──。 

 

 史上最多の優勝45回を誇りながら協会を去る元横綱・白鵬。宮城野部屋の再興が認められず、モンゴル出身の後輩・照ノ富士親方の“部下”となることに耐えられなかったとされるが、ある親方は「9日の会見では協会批判は控えるのでは」とみる。 

 

「5月場所中に白鵬と話をしたが、“(退職後は)色々とやることがある。資金には困っていないから”と希望に満ちていた。退職後は『白鵬』の名で、相撲に関係したビジネスをするつもりでしょう。そうなると、相撲協会は四股名について芸名として協会に帰属するとの考えですから、揉めないほうが得策でしょう」 

 

 退職後も自ら主催する少年相撲大会「白鵬杯」を両国国技館で開催するといった目的のために、「協会に後ろ足で砂をかけるようなことはしないのでは」(同前)とみられているのだ。 

 

“資金には困っていない”のは本当だろう。これまでも、白鵬個人を支えるスポンサーは数多くあった。 

 

「2023年1月の引退相撲は500万円の超高額チケットが話題を呼びましたが、大塚製薬やパチンコメーカーのSANKYOなど有名企業が協賛に名を連ねた。また、トヨタ自動車の豊田章男会長とも親交が深いことで知られます」(後援会関係者) 

 

 白鵬が現役だった2019年の名古屋場所から、宮城野部屋は愛知県豊田市にあるトヨタスポーツセンターに宿舎を構えていた。 

 

「陸上競技場や体育館、プールなども併設された、一大スポーツ施設内にあるエアコン完備の合宿所が宿舎という、他の部屋ではまずない厚遇でした。トヨタは引退相撲の協賛も務め、白鵬の断髪式では豊田氏が師匠の直前にあたる最後から2番目で髷にハサミを入れています。500万円ともいわれる高額な祝儀を包んだことが関係者の間で話題となった」(同前) 

 

 

 協会のスポンサーというよりも、白鵬個人を支えているとされ、退職後も「白鵬はトヨタ自動車が中京大や豊田市と組んだ産官学連携事業であるスポーツアカデミーで活動する計画がある」(同前)とみられる。 

 

 トヨタ自動車に退職後の白鵬を支援するのか尋ねると豊田会長の回答として以下の内容が寄せられた。 

 

「宮城野親方とは友人としてお付き合いさせていただいております。折に触れてお会いすると、常に話題は日本の相撲の発展のため、相撲を通じて世界を結び、次世代のために何が出来るのかということでした。相撲を心から愛し、相撲文化の発展と継承に誠心誠意尽くされる宮城野親方の姿は、多くの人の共感を生み、2年前に東海宮城野部屋後援会の発足にも繋がりました。私も友人として同後援会の名誉会長を務めております。今後の活動につきましても、何かお役に立てることがあれば、ご相談してまいります」 

 

 そうした世界的企業との関係も下支えにしながら、白鵬が目指すのは相撲の“世界展開”だ。 

 

「新しい組織を作ってまずは相撲イベントなどに携わり、さらにはアマチュア相撲の世界的組織を立ち上げるつもりだという。その先には格闘技『SUMO』のプロ化まで視野に入る。柔道がJUDOとして国際化したように、SUMOを世界的な競技に発展させて、自身がトップの“第二相撲協会”がワールドカップを開催するような構想です」(相撲ジャーナリスト) 

 

 すでに下地はある。それが前述の「白鵬杯」だ。2010年に第1回大会が開かれ、今年で15回を数える。 

 

「協会は後援に加わらず、白鵬自らがスポンサーを募って特別協賛のSANKYOや協賛のトヨタなどが支えてきた。今年2月の大会は宮城野部屋が閉鎖中にもかかわらず、国内40都道府県に加え、モンゴル、ハワイ(米国)、韓国、ブラジル、ポーランド、ウクライナなど15の国と地域から203団体、1144人がエントリーした。 

 

 スポンサーを集めてイベントを打つ白鵬の能力と先見性は一流であることが証明されている。モンゴル出身力士で協会を去った朝青龍や旭鷲山らは日本とモンゴルを舞台にビジネスを展開しているが、白鵬なら世界規模でやれる可能性がある」(相撲ジャーナリスト) 

 

 

 今年2月の白鵬杯については「宮城野部屋が閉鎖されたのに中止にはさせず、転籍先の師匠である伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)の監督のもと開催させた。こうした大会の枠組み自体を協会が奪う意図があるのでは」(ベテラン記者)との見方もあるが、協会に問うと「特に回答はありません」(広報部)とするのみ。 

 

 今後は“市場”の奪い合いが展開される可能性もあるわけだが、白鵬からすれば自身を排した協会の「閉鎖性」を突ける。 

 

「協会内には“元横綱でも退職して協会の看板がなければタダの人”と見くびる声もあるが、果たしてそう単純な話か。協会は外国出身力士のことを出稼ぎ意識が強い存在だとみて、1部屋1人までという規制を設けている。白鵬はそれを逆手にとって、実力のある海外勢をどんどん育てて相撲の国際化を進めようとしています。将来、国別対抗『SUMOワールドカップ』で日本代表が白鵬率いるモンゴル代表に敗れる日が来るかもしれません」(前出・ベテラン記者) 

 

 退職で土俵を割ったかに見える白鵬だが、これから逆襲が始まるのか。 

 

 そもそも角界のカネをめぐる事情は複雑だ。マネーポストWEB「土俵に埋まるカネ」シリーズでは、角界マネーの裏側を様々な角度から報じている。『元横綱・白鵬が相撲協会を「退職」で失う手厚い待遇 定年まで勤め上げれば給料は3億円超、毎年2000万円を超える規模の部屋への手当も』『《幕内力士の収入一覧を大公開》横綱・豊昇龍は「そんなに稼げていない」実態、年収は4600万円+α、「持ち給金」「懸賞金」で横綱を上回る平幕力士も存在する複雑怪奇な給料事情』などで詳報している。 

 

※週刊ポスト2025年6月20日号 

 

 

 
 

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