( 297221 )  2025/06/07 06:35:42  
00

6月5日に開催されるコメの供給安定に関する閣僚会議では、コメの増産や農地の大規模化についても話し合われる予定。

現在コメの価格は4つの価格帯に分かれており、JA関係者は適正価格を5キロ3000円~3500円と見ている。

また、JAを通じた米の流通についても問題提起されており、SNSではJA批判も見られる。

また、小泉農水大臣はコメの価格安定的な供給を目指すための政策を実現するよう関係閣僚会議を通じて検討することが重要と述べている。

(要約)

( 297223 )  2025/06/07 06:35:42  
00

コメ適正価格帯どこ? 

 

コメの安定供給に関する初めての閣僚会議が、6月5日に開かれ、コメの増産や農地の大規模化などについても、議論される見通しです。 

随意契約による備蓄米が、5キロ2000円台で販売され、事実上の『JA外し』と言われています。 

 

スーパーでのコメの平均価格は、5月25日までの1週間は、5キロ4260円。前の週より25円値下がりしたものの、高値が続いています。 

 

現在、市場には4つの価格帯があります。 

●銘柄米は、5キロ4453円。 

●入札による備蓄米は、5キロ3500円前後。 

 

随意契約による備蓄米は、 

●2022年産の古古米が、5キロ2000円台。 

●2021年産の古古古米が、5キロ1800円程度です。 

 

JA関係者 コメの適正価格は 

 

コメの適正価格について、JA茨城県中央会の八木岡会長は、「5キロ3000円~3500円が値頃だと思う。備蓄米が2000円台で販売されると、持続可能な農業ができなくなる」と話しています。 

 

また、JA福井県中央会の宮田会長は、「5キロで3500円~3600円が適正価格」としています。 

 

“入札備蓄米”の流通 

 

備蓄米の流通についてです。1回目、2回目の『入札備蓄米』の流通です。政府は3月10日、JAなどの集荷業者を対象に入札を開始。3月17日以降、合計約21万480トンの古米が、JAなどの集荷業者に引き渡されました。 

しかし、5月11日時点で、小売業者に渡ったのは、約2万7281トンで、12.9%です。引き渡しからは約2カ月過ぎています。 

 

“随意契約 備蓄米”の流通 

 

一方で、随意契約による備蓄米の流通です。政府から、小売業者に直接売り渡され、輸送料は国が負担しました。事実上の『JA外し』です。 

1回目の受付は、5月26日。2022年産の古古米20万トンなどで、対象は大手小売りでした。販売は、5月31日からで、5月29日の引き渡しから最短で2日後というスピードです。 

 

2回目の受付は、5月30日。2021年産の古古古米8万トンで、対象は中小スーパーや米店でした。販売は、6月5日からコンビニで始まりました。6月4日の引き渡しの翌日です。 

 

 

SNSでは「JA悪玉論」も 

 

なぜ、JAを通すと、こんなに遅いのでしょうか。JA全農は、『入札備蓄米』を、1~3回目合わせて、約29万6195トン落札、これは全体の95%を占めています。 

SNSには、「『入札備蓄米』が流通していないんだから、JAが悪でしょ」 

「JAやコメ卸は、意図的に流通量を制限して高値を維持したいのか」という声があります。 

 

“入札備蓄米”の扱い JAは… 

 

JAが入札した備蓄米の扱いについて、JA全農の広報担当者は、 

「取引のある卸売業者との年間計画にもとづき、不足分を入札した。落札後、(卸売業者から)依頼があった分は出荷している」としています。 

 

卸売業者からJA全農への出荷依頼は、4月出荷分までで5万5112トン、5月出荷分が7万4483トン。依頼があった約13万トンは100%出荷済みだとしています。 

 

『入札備蓄米』の流通のスピードについて、JA全農の広報担当者は、「本来、コメの落札後は、国と全農との間の手続きに2週間ほどかかる。その後、卸に出荷する。卸に対しても早期の精米出荷をお願いしており、(私たちも)今まで以上に速やかに玄米出荷を行っていきたい」としています。 

 

ドンキ運営会社が小泉大臣に意見書 

 

コメの複雑な流通についてです。ディスカウントストア『ドン・キホーテ』を運営するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)が、5月28日、コメの流通に関する意見書を、小泉農水大臣に提出しました。 

 

意見書で指摘の問題点 

 

意見書で指摘された問題点1 

「JAと取引する1次問屋は、特約店のように決定され、新規参入が困難」 

 

問題点2 

「5次問屋も存在する多重構造で、中間コストやマージンが積み重なるため、価格が上昇する」 

 

解決案として、『JAなどの集荷業者と小売業者が卸売価格を直接交渉することで、中間マージンを省き、仕入れコストを減らすこと』を提案しました。 

 

小泉大臣 コメ閣僚会議について 

 

6月5日、コメについての関係閣僚会議の初会合が開かれます。 

小泉農水大臣は、「関係閣僚会議を通じて、主食であるコメが生産者、消費者ともに納得できる価格で、安定的に供給されるような政策の実現を目指して、検討を行うことが重要だ。コメについては、もう既に増産する方向の目標を立てている」としています。 

コメ全体の生産量の2030年の目標は800万トンだということです。2024年産は、約680万トンでした。 

さらに、「自民党の決議にも、『大区画化、集約化、スマート農業などに対して、予算をしっかりと2.5兆円とってやるべき』とのこと。これからの水田政策の転換に向けた、短期・中期・長期の明確な方向性をしっかりと伝えていくことが、今の高騰している状況に対しても効果があるのではないか」としています。 

 

 

コメ農家の現状 

 

コメ農家の現状です。水稲(すいとう=水田で栽培する稲)の作付を行う個人経営体は、2020年は69万8543、この15年で半減しました。そして、稲作従事者の平均年齢は、2020年時点で68.9歳。生産者の減少と高齢化で、担い手不足が深刻です。 

 

JAの現状 

 

JAの組合員数は、1019万人。そのうち、農業を仕事にしている人や団体の正組合員が389万人。地域に住む、農業以外の仕事をしていて加入している准組合員は630万人。農業に関わる人は、約40%です。 

JAの職員数は、約17万人。金融の信用事業や、保険の共済事業の職員が、全体の約45%です。 

 

JAの課題「手数料」 

 

JAの課題1つ目『手数料』です。農家が農産物を出荷する際に手数料が引かれます。番組で取材した栃木県のあるコメ農家の場合、手数料は、販売金額の10~13%です。そのため、JAを通さずに、独自の販路で出荷する生産者も増えているということです。 

 

過去には『手数料』をめぐり、JAと小泉氏が対立したこともありました。当時のJA幹部が、「手数料で家族や職員を養っているから、そう簡単な問題ではない」と発言。当時、自民党の農林部会長だった小泉氏は、「手数料があるから『農協(JA)職員が食べていける』というのでは、いったい、農家というのは、農協(JA)職員を食わせるために農業をやっているのか」と反論しました。 

 

「手数料」どう改革すれば? 

 

新潟県の60代の兼業コメ農家の方です。「JAは、大きくなりすぎたせいか、生産者ではなく組織のために行っている印象だ。ただ、販売網を持たない小さな農家のコメでも、集荷して販売してくれる点はありがたい」としています。 

 

元JA全中常務理事の福間莞爾さんです。「『手数料』の大部分は人件費。すでに動き始めているが、1県1農協のような形で、あちこちで大きな農協ができている。多くの地域の農協が合併し、人件費を減らすことで、解決策を探っていくことになるのでは」 

 

JAの課題「収益構造」 

 

JAの課題2つ目『収益構造』です。JAの1組合あたりの部門別損益は、2022年度で、信用事業 『金融』が4億3900万円の黒字。共済事業 『保険』が、2億1000万円の黒字。一方で、『農産物の販売など』の経済事業が、2億6200万円の赤字です。合計は3億8700万円の黒字ですが、販売・購買の赤字を『金融・保健事業』で補填している形です。 

 

農水省 JAの今後について 

 

農水省は、農協の今後について、『金利環境の変化などがあり、大銀行を含めて金融は極めて難しい時代に突入している。今後の見込みとして、金融の信用事業は、収益の厳しい状況が継続する可能性がある』としています。 

小泉農水大臣も、「JAグループ全体に対しても、金融で稼ぐのではなく、経済事業で稼いでもらいたい」と話しています。 

 

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年6月5日放送分より) 

 

 

 
 

IMAGE