( 297473 ) 2025/06/08 06:08:40 0 00 訪米を前に、報道陣の取材に応じる赤沢亮正経済再生担当相=羽田空港で2025年6月5日午前10時17分、宮武祐希撮影
日米両政府は6日、米ワシントンでトランプ政権の高関税措置を巡る5回目の閣僚協議を実施した。赤沢亮正経済再生担当相は協議後の記者会見で、合意実現に向けた議論が進展しているとの認識を示す一方で、「一致点はまだ見いだせていない」とも述べた。日本は15~17日にカナダで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた日米首脳会談での合意を視野に、今後も交渉を続ける方針だ。
赤沢氏はベッセント財務長官と約45分間、ラトニック商務長官と約110分間にわたってそれぞれ個別に会談し、「相互関税」や25%の自動車関税などの見直しを改めて要請した。ラトニック氏とは2日連続の会談となった。
閣僚協議後に会見した赤沢氏は「会談を通じて改めて日米の立場を確認し、合意実現に向けた議論が更に進展した」と強調。「日米双方にとって利益となる合意を実現できるよう、精力的に調整を続けることを確認した」と述べた。具体的にどの分野で進展があったかは明かさなかったものの、協議が前進しているとの認識を示した。
一方で「(日米間で)一致点が見いだせているかといえば、見いだせていない」ことも認め、合意に向けて更に協議を重ねる必要があると説明した。次回の閣僚協議の見通しは明言しなかったが、日本側が首脳間合意を目指すG7サミットまで残された時間は少ない。早期妥結を焦れば国益に反する不利な合意になりかねず、米国側の出方を慎重に見極める構えだ。
米国は日本に対して自動車分野での貿易赤字を特に問題視しており、市場では「4月上旬にトランプ政権が発動した全ての国に対する25%の自動車関税を撤廃させるのは難しい」との見方が出ている。日本が自動車関税の「撤廃」ではなく、年10万台に限り10%の低関税の輸出枠が認められた英国のように「引き下げ」に目標を切り替える可能性が取り沙汰されている。ただ、赤沢氏は6日の会見でも自動車関税撤廃を求める従来の方針に変わりはないとしており、今後の最大の焦点となりそうだ。
日本製鉄によるUSスチール買収をトランプ大統領が認めるかどうかも大詰めを迎えているが、赤沢氏は「個別企業の案件に関わる内容についてコメントすることは差し控える」と述べるにとどめた。【ワシントン大久保渉】
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