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日本の小売業界では、中国企業が高い参入障壁を突破し、成功している。

日本市場では消費者の行動が変化し、中国企業の低価格提案が強い説得力を持つようになっている。

若い消費者は国内ブランドにこだわりが薄く、中国製品の品質も向上しているため、彼らにとっては魅力的な選択肢となっている。

この流れはeコマース部門にも及び、日本国内の大手企業に影響を与えている。

中国企業の参入は、保護された市場でもIT技術による破壊的革新により変革が起きる可能性があることを示している。

(要約)

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Photo: Jakub Porzycki / Getty Images 

 

参入障壁の高さで知られる日本の小売業界で、「Temu(テム)」や「Shein(シーイン)」などの中国企業が躍進している。彼らはなぜ壁を突破できたのか? 日本市場はいま、どのような変化のときを迎えているのか? 

 

日本はかねてより「小売業の墓場」として知られ、テスコ、ウォルマート、カルフールといった世界的な巨大企業でさえ市場参入に失敗してきた。だが、中国のネット通販サイトの台頭により、この世界屈指の閉鎖的な消費者市場に根本的な変革の兆しが見える。 

 

歴史的に、日本の小売およびeコマース業界は閉鎖的とされてきた。イオンやユニクロ、楽天といった国内企業が、複雑なサプライチェーン、忠実な顧客基盤、彼らに有利な規制環境のおかげで、長らく市場を独占してきたのだ。 

 

さらに、根強い国産品志向から地政学的緊張にいたるまで、さまざまな文化的要因も外国企業の参入を阻んできた。こうした傾向は特に高齢者のあいだで顕著だ。 

 

ところが近年、この状況が覆されようとしている。PDDホールディングス傘下の「Temu(テム)」や「Shein(シーイン)」などの中国企業が、かつては突破不可能と思われていた障壁を打ち破り、日本の小売店より最大90%も安い価格で商品を販売しているのだ。 

 

中国資本のTikTokも、SNS型eコマース「TikTok Shop」を日本で開始すべく準備を進めており、中国企業の小売業界への参入がさらに加速する兆しが見られる。 

 

中国企業の価値提案は明確だ。生活コストの上昇が家計を圧迫するなか、日本人の消費行動が変わろうとしている。驚くほど安い価格は、長年培われたブランド信仰よりも強い説得力を持つようになった。 

 

消費者心理の幅広い変化も影響している。若い購買層は国内ブランドへのこだわりが薄く、グローバルなデジタルプラットフォームに慣れ親しんでいるため、新しいサービスを試すことにより積極的だ。 

 

一方で、かつて「安かろう悪かろう」と思われていた中国製品の質も向上し、価格を重視する消費者の期待に応える商品が増えつつある。 

 

この流れは、実店舗同様に参入障壁が高いとされてきた日本のeコマース部門にも及んでいる。国内大手の楽天はオンライン販売の約3分の1を占め、外国企業の成長余地を制限してきた。 

 

アマゾンやヤフーショッピングといった世界的なプラットフォームですら、日本市場への適応に何十年もの歳月を要した。アマゾンは20年以上前に日本進出を果たし、物流や顧客サービス、文化的ローカライズに多額の予算を投じてきた。ヤフーショッピングは名称こそ外資系のようだが、現在はソフトバンク傘下のZホールディングスが運営している。 

 

米国企業や日本企業が何十年もかけて築き上げてきたものを、中国EC大手はわずか数ヵ月で達成しつつある。市場シェアではいまだ既存企業に大きく水をあけられ、提供する商品の幅も比較的狭いが、この変化は重要な示唆を含んでいる。 

 

つまり、どんなに保護された市場でも、IT技術による破壊的革新に対しては脆弱であり、特に経済的圧力と世代交代が重なる場合、その傾向は顕著にならざるを得ないということだ。 

 

June Yoon 

 

 

 
 

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