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地域政党「新党大地」の鈴木宗男代表の娘である自民党・衆議院議員の鈴木貴子氏は、政治がコメ価格に介入することは慎重であるべきだと指摘し、石破総理や小泉大臣の発言についても批判している。

農政改革が必要とする声がある中、貴子氏は本来の備蓄米の使い方を考え、食料安全保障について信念を持つことの重要性を訴えている。

(要約)

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自民党・衆議院議員の鈴木貴子氏 

 

 地域政党「新党大地」の鈴木宗男代表の娘である自民党・衆議院議員の鈴木貴子氏が、ABEMA的ニュースショーの取材で「政治がコメ価格に介入をすることは厳に慎重であるべき」と指摘した。 

 

 止まらない小泉“コメ”劇場。放出された備蓄米が並んだスーパーに続いて、コンビニの店頭を視察。ブレンドされた備蓄米の表記について「農相『ビンテージ表示を』」の見出しで伝えた新聞記事に対しては、SNSで「言ってないし。」と7文字で反論。 

 

 都内に登場した小泉大臣の巨大ウォールアートを本人もインスタで紹介。よく見ると、口元には米粒が描かれていた。 

 

 日本の農業の未来について投稿した実業家・前澤友作氏のSNSに対しては、「農水省で担当職員たちと意見交換しませんか?」と素早く反応。ニュースは彼の周りで起きる、まさに“ニュースメーカー”だ。 

 

 6月1日放送のABEMA的ニュースショーに小泉大臣が出演した際、森山幹事長が周辺に語っていた「『進次郎には変なことをさせませんから』の変なことって何だと思いますか」との質問に小泉大臣は「そりゃ変なことはしたくない。変なことをしそうなら、変だと言うのは当たり前のこと」と返答。 

 

 しかし政治ジャーナリストの青山和弘氏は「森山(裕)幹事長はゴリゴリの農水族のドン。コメの値段を下げる必要性は認識しているが、農政の抜本改革までやらせるつもりはない」と語る。 

 

 事実、自民党内には小泉大臣の言動に賛同していない議員も一定数いる。例えば、野村哲郎元農水大臣は鹿児島で行われた同郷、森山幹事長の激励会で「(部会の)ルールというのを覚えていただかないと。森山先生にチクリと言ってもらわねば」とコメントしている。 

 

 さらに、鈴木憲和復興副大臣は地元山形県蓮で「お米券の配布や現金給付などの対策をせずに備蓄米放出に踏み切っている今の農政に、私は疑問を覚えざるを得ない」と語っている。 

 

 自民党の元衆議院議員・宮崎謙介氏によると「この意見、陰では結構支持されている」という。 

 

 今回、青山氏が小泉大臣のやり方に疑問を抱いている議員らに取材を打診したところ「今はちょっとおとなしくしておきたい」との返答があった。しかし、「他にいないのなら、仕方ないわね!」と、鈴木貴子議員が受けてくれた。 

 

 5月28日の衆院農林水産委員会で貴子氏は、野党顔負けの論調で小泉大臣に迫った。「忖度なくコメの問題、消費者の目線も踏まえながら質問させていただきます。コメの価格に対して政治がそこまで言う必要があったのか。目先の対応はあっても、中長期的な食料安全保障に対して信念がなく、非常に残念だ」。 

 

 そんな貴子氏について青山氏は「茂木派ではコワモテの茂木さんに唯一モノ申せる人物。父親譲りの歯に衣着せぬ発言力。胆力は党内でも一目置かれている」と評する。 

 

 いったい、小泉大臣やそのコメ政策についてどんな意見を持っているのか。貴子氏は「多くの国民が期待をしていることは間違いない」と小泉大臣について言及。 

 

 青山氏が「その期待の一方、スピードの裏腹に、歪みのようなものも出てきていると思うが、その点に関してはどう思うか」と尋ねると、貴子氏は「まさにそれが大臣所信の質問の時に、質問をさせていただいたのは、まさにそこ。私があの時言いたかったのは、政治が価格に介入をするということは厳に慎重であるべき。小泉大臣も、5キロ2,000円台という言い方をされていて。でも、小泉大臣の発言よりも一番の問題は、石破総理の発言」と応じた。 

 

「コメは3000円台でなければならない。4000円台などということは、あってはならない」(5月21日・党首討論での石破茂総理の発言) 

 

 この発言のどこが問題と捉えているのか。貴子氏は「石破総理は、コメの値段は4,000円台であってはならないと、3,000円台であるべきだと。まさにそれは価格への介入。鳥取のカニと鳥取のナシでブランド梨があって、高級梨もあるなかで、コメだけ4000円は駄目だと言われないといけないんだ」と、市場原理に任せるべきだとした。 

 

 小泉大臣の号令で、備蓄米の入札をやめ、指定した業者に政府が決めた値段で卸す「随意契約」に変更。確かに店頭に安いコメが並んだが、備蓄米放出のスピードを重視するあまり、さまざまな弊害が出ているのではないかと指摘する。 

 

「本来は、備蓄米はコメがない時に放出をする。緊急で、もしくは大きな災害があった時。でも農水省は今でも、コメが不足しているとは言わない。不足感。実際にコメはある。ただ、高すぎる。であるならば、本当にコメを手に入れることができない困難な皆さんに確実に届けるような方策があったのではないかと。 

 

今回コンビニで1キロいくら、2キロいくらって売っているけれど、メディアのインタビューを見ていたら、『普段食べているコメと備蓄米の味比べをしたいと思います』って言って買った方がいた。それを別に否定もしないけれど、そういうのを聞くと、本当にコメを買ってもらいたいけれど、買うことがなかなか難しいというさまざまな困難の状況下にいる方に、ちゃんと届くのかなということがすごくモヤモヤする」(貴子氏) 

 

 では、今後の構造改革はどういう方向を目指すべきなのか。「今不足なのか、不足感なのか、農水省が出しているこの作況指数、どれくらいコメが取れるという見立て、ここにもしっかりと私は見直しをかけていただきたい。くず米とか、ちょっと色の悪いものとかも入ったもので、今の農水省は作況指数を出している。何でパニックになるかといったら、玄米茶の玄米が減ったってことでパニックになっているのではなくて、お茶碗にのせるコメがあるかないかということが大事。やっぱり実態に照らした検証っていうものを速やかにしていただきたい」(貴子氏) 

 

 もう1つのポイントは、コメの増産と農家の所得補償。国会で小泉大臣はこう答弁した。「個別所得補償のような形で直接支払いを強化するんだと。ご指摘のような直接支払いのあり方、別の支え方、これをどうするのかをすべてテーブルにのせた上で、見いだしていかなければいけないと考えている」(小泉大臣) 

 

 この発言について貴子氏は「おっしゃられているほど簡単ではない。仮に増産して、もし日本国内で余ったら外に出すとか、それを外に出した時の諸外国のコメと価格競争をできるだけ出せるか。やっぱりバーゲニングパワー(有利な条件で売る交渉力)だと思う」と指摘した。 

 

 そして、いま自民党内で小泉人気に水を差すような言動はあえて控える傾向にあるのか。ズバリ聞いてみた。 

 

「今懸念をしているのは、メディアの皆さんにもお願いをしたいが、小泉さんの対立軸を作ろうというよな…っていうのは本当に不毛だと思う。国民もそんなことは望んでいない。コメというか食料の安定供給のために何がベストなのかをお互い考えているという意味では、同じ方向性、同じ方向を向いている。だから決して争っているわけではない」(貴子氏) 

 

 では貴子氏は、小泉大臣と森山幹事長の関係をどうみているのか。「(森山幹事長は)農水のまさに要たる存在ではあるものの、だからと言って小泉さんが逆にそこだけにまた寄ると、自民党はやっぱり反発する。誰か一人に、まさに寄って立っている自民党ではないっていう、みんな自負があるんだと思う」と語った。 

 

「頑張っているその地域の担い手となる、約15ヘクタールぐらいで頑張っている人たちとて、所得が250万なんだぞと。250万円であなたおコメを作ってくれますか。それが成り立つのはやはり兼業であったりとか、今、高齢化が問題だが、年金があるからこそ、それで成り立っていける。じゃあ専業1本で、コメ農家と真の食料安全保障の確立と今訴えているなかで、所得250万円のコメ農家を我々は是とすることができるか」(貴子氏) 

 

(『ABEMA的ニュースショー』より) 

 

ABEMA TIMES編集部 

 

 

 
 

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