( 298441 )  2025/06/12 03:44:32  
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小泉進次郎農水相が備蓄米の放出を進める中、2000円で販売されていることに対する違和感や疑問が議論となっている。

一部では、税金で購入された米が有料で販売されることに疑問があり、ネット上やメディアで批判が出ている。

農水省は備蓄米は無償での配布を前提にしておらず、今回の放出はコメ集荷の目詰まり解消が目的だと説明している。

(要約)

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小泉進次郎農水相のX投稿写真から 

 

 コメの価格高騰を受け、小泉進次郎農水相が備蓄米の放出を進めているが、スーパーなどで2000円などとして販売されていることに対し、違和感があるとの声が一部で出て、議論になっている。 

 

 そもそも国民の税金で購入しており、災害などのときに無料で配るものではないか、との疑問も投げかけられた。こうした点についてどう考えるのか、農林水産省の備蓄米担当課に見解を求めた。 

 

■「元々無償はありませんので、それでお渡しするのは無理」 

 

「災害時無料で配る備蓄米を2000円で買わされて」「税金で買った古古古米を、 さらに金出して買えって話」... 

 

 備蓄米について、Xで検索すると、こんな投稿が話題の上位に上がっている。備蓄米に注目が集まった2025年6月上旬からのことだ。中には、政府にだまされているとして、外圧に結び付けた陰謀論めいた主張も出ていた。 

 

 こうしたネット議論を受けてか、著名人らの間でも、備蓄米販売を疑問視する声が漏れている。 

 

 日本テレビ系情報番組「DayDay.」では、6日の放送でコメ高騰に伴う「令和の米騒動」を特集し、お笑いタレントの小木博明さん(53)が「税金で買ったコメをまた僕らが買うって、なんか、二重で買ってるような気がして...」と話し、備蓄米とは災害時などに配るものではないのかと疑問をぶつけた。出演した農水省出身の鈴木宣弘東大大学院特任教授も、小木さんが口にした違和感について、「私も同意見」などとして今後の議論が必要だと指摘していた。 

 

 農水省のサイトによると、1993年の大凶作で消費者がスーパーに殺到した「平成の米騒動」の経験を踏まえ、いつでも米を供給できるように95年に備蓄米が制度化された。10年に一度の不作にも対応できる100万トンを備蓄している。 

 

 それでは、不作などのときは、備蓄米を国民に無償で配ることも想定されているのだろうか。 

 

 この点について農水省にJ-CASTニュースが取材すると、備蓄米を担当する貿易業務課では、「元々無償はありませんので、それでお渡しするのは無理です」と明確に答えた。 

 

 

 平成の米騒動後に成立した食糧法に基づいた政令の第15条1項では、コメなどの主要食糧については、国や自治体が適当と認めた場合、試験・研究や教育に使う目的に対して無償で配ることができるとある。 

 

 農水省では、「このうち教育とは、学校給食やこども食堂、フードバンクといったところを指しています」として、「それ以外のケースについては、備蓄米を売り渡すことになります」と説明した。 

 

 具体的には、食糧法第29条で、国に届け出た業者などに備蓄米を売り渡すと定められている。 

 

 今回のケースについて、農水省では、同省が25年5月に定めた「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」で、コメ集荷の目詰まりが発生し、その円滑な流通に支障が生じている場合に当たるとして、備蓄米を初めて放出したと説明した。目詰まりを解消することが理由であって、平成の米騒動のときなどの大凶作や不作が理由ではないという。24年度産は、豊作ともされたことが念頭にあるようだ。 

 

 大地震などの災害が起きたときについても、国が無償で配るわけではなく、都道府県知事からの要請に応じて知事に販売するとした。ただ、コメを買い取った知事が、炊き出しなどに無償で配るかは、知事の判断だとしている。 

 

「備蓄米が2000円などで販売されているのは、手続き通りにやっていることになります。政府がお米を買うときやその管理にもお金を使うなど経費がかかっていますので、税金で買ったから無償だということにはなりません」 

 

 なお、備蓄米販売で得た政府収入については、農水省の会計室によると、国費として、同省の食料安定供給特別会計の中で使われる。具体的な項目まで色分けされていないが、コメや麦の輸入や備蓄米・輸入米の保管料などに充てられている。 

 

(J-CASTニュース編集部 野口博之) 

 

 

 
 

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