( 298768 ) 2025/06/13 04:52:41 0 00 来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
大手ラーメンチェーン店「来来亭」は6月10日、浜松幸店を無期限で臨時休業すると発表した。休業の理由について、公式HPで「異物混入の事実が発覚した」と公表している。休業が決まった翌日、対応に追われていた店長は、NEWSポストセブンの取材に約1時間応じ、丁寧に経緯を説明した。【前後編の前編】
飲食業に詳しいライターが解説する。
「騒動の発端は、6月9日の14時ごろ、Xに投稿された1本の動画でした。動画には、提供されたと思われるラーメンのチャーシューの上を、虫のようなものが数匹這って移動している様子が映されており、投稿主は〈昨日来来亭でラーメンを食べようとしたらウジ虫が…お気に入りの店だったので残念です〉とコメントしました。
投稿主はその後、〈状況審査と原因調査してくれると連絡をもらいました。審査が完了するまで非表示にしてくださいとの事なので動画は削除しておきます〉と投稿し、当該の投稿を削除しています」
臨時休業が発表された翌日、NEWSポストセブン取材班が浜松幸店を訪れると、店舗には保健所の職員が忙しなく出入りしていた。年に4~5回この店を訪れるという30代の男性が語る。
「15年前くらいにできた店なんですが、とにかくいつも混んでる人気店なんですよ。特にランチタイムと、閉店前の1時間はすごい。駐車場は常に満車で、歩道にまで行列ができていることもあります。
店内は普通のラーメンチェーンという感じで、清潔かと言われたらアレですけど、決して汚いイメージはない。店主は口数は少ないですが、客も多いのにいつも回転が早く、黙々と仕事をしています。この店のチャーシューにウジが湧くなんて想像したこともないから、本当に驚いた」
来来亭は、一般的なフランチャイズチェーンではない。下積みを経験して独立した店長が、「来来亭」という看板を借りて運営する「のれん分け」という制度を取っており、今回の浜松幸店ものれん分けした独立店舗だ。
中年の男性店長は、疲労の色をたたえながら、保健所の職員に対応していた。一連の対応が終わった店長に記者が声をかけると、店長は雨を凌げる屋根の下に記者を招き、軒先で約1時間、誠実に取材に応じたのだった。
——異物は何か特定できたのでしょうか?
店長:動画を見る限り、俗にいうウジ虫のようなものだと思うんですが……特定出来たら公表しますが、まだ特定出来ていません。というのも、現物がないんです。
——現物がないというのは、処分してしまったということですか?
店長:そうなんです。クレームがあった時には私はお店にはおらず、後から店の者から報告を受けました。
当日現場にいたスタッフの対応としては、まず「虫が入っている」とお客様に言われた。その場で現物を確認したのですが、虫は見つけられず、厨房に持っていき、麺などを裏返して見てもわからず、最後に麺、チャーシュー、ネギ、メンマ全てを別々の容器に分けて、一つずつ確認したと。それでも異物を目視できなかったということでした。
マニュアル的に、髪の毛や虫など異物が発見できた場合は、現物を保存するというのが本部のルールとして決まっているんですが、現物が確認できなかったので、処分に至ったと。
そういう経緯があったとはいえ、こうやって保健所が調査するとなった時、現物がないから調査が進みません。当時私が不在だったとはいえ、処分してしまったのは完全に私の監督不足です。本当に、心の底から責任を感じています。
——お客さんは怒っていた?
店長:若いカップルの方でして、女性のラーメンに異物が入っていたと。特に激しい叱責などはなく、「虫が入っています」という形で指摘され、店員はその場で目視できませんでしたが謝罪し、問題のラーメンを取り下げて、すぐにラーメンと餃子を作り直して提供しました。
それでもやはり食べられないということで、謝罪対応をさせていただきました。「いいよ、いいよ」という感じでおっしゃっていましたが、現在もメッセージでやり取りはさせてもらっています。
——本部にはいつ連絡をしたんでしょうか?
店長:結果的に現物が確認できなかったこともあり、本部への連絡が遅れてしまいました。動画が投稿されたあとに、本部から店舗に連絡が入ったという流れです。
そう語る、疲弊した様子の店長。それでも記者を気遣いながら、「説明の責任があると思いますので」と取材に応じ続けるのだった。
動画では、チャーシューに虫が這っているように見えた。どのような経路で、異物が混入してしまったと考えられるのか——後編記事では、店長が明かした普段のチャーシューの保管方法、また考えうる“混入経路”について詳報する。
(後編につづく)
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