( 299916 )  2025/06/17 06:07:27  
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Nintendo Switch 2専用タイトルとして発表された『スプラトゥーン レイダース』は、『スプラトゥーン』シリーズのスピンオフ作品で、主人公はウズシオ諸島を冒険するメカニックとなる。

驚きを呼ぶ点は、この新作が任天堂の自社アプリ内で発表されたことであり、これまで通例とされていたNintendo Directではなかった。

一部のファンは情報を見逃す可能性もあるが、任天堂が情報のコントロールやリーク対策を考慮しているとも推測される。

Nintendo Switch 2のラインナップが充実する一方で、任天堂が情報公開の方法を変えることで業界全体に影響を与える可能性もある。

(要約)

( 299918 )  2025/06/17 06:07:27  
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いきなり発表された『スプラトゥーン レイダース』。Nintendo Switch 2専用タイトルとして発売予定で、世界中のゲーム好きから注目を集めている(画像:YouTubeよりキャプチャー) 

 

 Nintendo Switch 2向けの新作となる『スプラトゥーン レイダース』が発表された。しかし、その発表方法が意外すぎたことで驚く声も多い。 

 

 本作は、任天堂の人気タイトル『スプラトゥーン』シリーズのスピンオフタイトルだ。このシリーズは2015年に発売された比較的若い作品だが、現在はすでに任天堂の顔のひとつといえるタイトルに育っている。 

 

 そんなシリーズの新たな挑戦なわけで、ファンは大盛り上がり。一方で、その発表のやり方はかなり意外なものだった。なんと任天堂の自社アプリ内での発表だったのだから。 

 

■あえてNintendo Directではないところで発表 

 

 『スプラトゥーン レイダース』は、主人公のメカニックになってウズシオ諸島を冒険するゲームである。 

 

 まだティザー映像が公開されたばかりであり、発売時期や詳細は明らかにはなっていない。ただし、四足歩行のロボットと一緒に冒険できるようで、イカたちがインクを撃って戦う『スプラトゥーン』シリーズでありながらも新しい体験ができそうだ。 

 

 これでNintendo Switch 2のラインナップが充実するわけで、ゲーム好きが喜ぶのは間違いない。『スプラトゥーン』シリーズはカジュアルなファンも多く、この作品のゲームジャンルによっては多くの層が関心を持つだろう。任天堂としても、今後のタイトルがきちんと存在するとアピールしたわけだ。 

 

 ただし、前述のように発表が異例なことでかなり驚きを呼んでいる。『スプラトゥーン レイダース』は確かにスピンオフではあるものの、任天堂の重要な人気シリーズの新作だ。これまでどおりであれば、自社番組であるNintendo Directで発表するのが筋である。 

 

 確かに任天堂のゲームであったとしても、急に発表される例がないわけではない。しかし、任天堂の自社アプリ『Nintendo Today!』で新しいゲームタイトルが初公開されたのは初めてのことである。 

 

 

■自社アプリで情報を「直接」配信したい任天堂 

 

 『Nintendo Today!』は2025年3月から配信されているスマートフォン向けアプリで、任天堂に関連したさまざまなニュースが配信されるほか、ゲームのイラストを活用したアニメーションカレンダーとして活用できる。 

 

 配信当初は「すでにいくつかアプリがあるのに、新しいものを出すのか」といった声もあった。これまで配信されたニュースはそこまで強烈なものはなく、あったとしても実写映画『ゼルダの伝説』の公開日に関する情報や、Nintendo Switch 2の細かな情報程度であった。 

 

 ところが、今回は『スプラトゥーン レイダース』の情報をアプリ内で先に公開したわけだ。もちろん、少し遅れて各種SNSや公式サイトなども更新されているが、自社アプリを最優先する姿勢は過去と比較すればかなり珍しい。 

 

 この行為にはいくつかの理由が考えられる。現在はNintendo SwitchからNintendo Switch 2へ切り替えが行われつつある状況だ。任天堂からすれば、まだ買っていない人が興味を失うのは避けたく、常に最新のゲーム情報に触れていてほしいのだろう。 

 

 スマホアプリであれば、多くの人が触れることができ、プッシュ通知も可能である。ましてやここで初出しの大きな情報があるとなれば、多くの人が通知を受け入れて情報を確認するようになるだろう。 

 

 また、過去に任天堂はメディアに誤った情報を伝えられたことからNintendo Directをはじめており、ユーザーに直接情報を届けることを重視している。自社アプリからニュースを配信するのは理にかなっているといえよう。 

 

■情報のコントロールがリーク対策にもなる 

 

 しかしそうだとしても、世界中の人が注目してSNSのトレンドにも乗るNintendo Directで発表したほうが反響は大きいはずだ。ゲーム好きでもこういったアプリを入れているとは限らず、実際に筆者の『スプラトゥーン』好きの友人も発表されてから遅れて気づくこととなった。 

 

 これに関しては、YouTubeの情報漏洩問題を意識した可能性が考えられる。過去にはGoogle従業員がYouTubeの管理権限を悪用し、任天堂の未発表のゲーム映像を閲覧していたという報道があった。この件は任天堂もリスクと捉えているだろうし、リークは新情報の驚きと盛り上がりを減らしてしまう厄介な代物だ。 

 

 任天堂自身がうまく情報をコントロールするのであれば、自分でやるのは理にかなっている。『Nintendo Today!』を利用するにはニンテンドーアカウントも必要なので、より濃いファンに直接、広報が可能になるだろう。 

 

 任天堂ほどの影響力がある企業ともなると、情報を公開するだけで大きなうねりが発生する。そして、その情報公開の方法を少し変えるだけでも驚きを呼ぶのだろう。 

 

 なお、任天堂がNintendo Directをはじめて以降、ほかのゲーム会社も自分たちの番組で情報を公開するようになっていった。今回の件も、ゲーム業界の広報のあり方に影響を与えるかもしれない。 

 

渡邉 卓也 :ゲームライター 

 

 

 
 

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