( 300141 )  2025/06/18 05:26:33  
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日本郵便が不適切な点呼が横行していた問題について、国土交通省からの許可取り消し処分を受け入れる旨を記者会見で謝罪した。

社長と副社長は減額処分を受ける他、数名の管理者も処分を受けることが発表された。

許可取り消し処分により一部輸送業務を他社に委託することになるが、ゆうパックの値上げは考えていないとしている。

また、軽トラックや二輪車に関しても同様の問題がある可能性が指摘され、調査が続けられている。

(要約)

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記者会見で謝罪する日本郵便の千田哲也社長=2025年6月17日午後1時2分、東京・大手町、黒田健朗撮影 

 

 運転手への不適切な点呼の横行が判明した日本郵便は17日、国土交通省から示された一般貨物自動車運送事業の許可取り消し処分について、弁明せずに受け入れると発表した。千田哲也社長は東京都内で記者会見を開き、「郵便、ゆうパックご利用の皆様に多大なるご心配とご不安をおかけし、心よりおわび申し上げます」と謝罪した。 

 

 同社によると、千田社長と美並義人副社長は、月額報酬40%を3カ月間減額の処分とする。千田社長、安全統括管理者の浅見加奈子常務は6月内の株主総会を経て退任する。トラックなどの一般貨物車を扱う95郵便局で不適切な点呼があり、各局長ら管理者も懲戒処分とする。 

 

 取り消し処分で、集配の拠点間の輸送や都市部の大規模局での荷物収集を担う約2500台のトラックやバンが5年間、使えなくなる。同社はこのうち約58%分の輸送を子会社の日本郵便輸送のほか、ヤマト運輸や佐川急便、西濃運輸などに委託する方向で調整している。残りの42%は自社の軽貨物で代用するという。 

 

 委託による配送コストの増加が見込まれるが、千田社長は「ゆうパックの値上げは今の時点で一切考えていない。配送についても代替措置として影響がでないことを実現したい」と話した。 

 

 ヤマト運輸に対しては協業を巡るトラブルで120億円の損害賠償請求訴訟を起こしているが、千田社長は「裁判は裁判でしっかりとした主張をしていくが、お客様へサービスを確保していく上でご協力して頂けるのであればしっかりとお願いしていかないといけない」と話した。 

 

 点呼問題をめぐり、同社は4月に全国調査結果を公表。点呼が必要とされる57万8千件のうち、記録簿に事実と異なる記載をした「不実記載」は約10万2千件だった。 

 

■今後、軽トラの処分も 

 

 日本郵便は軽トラック約3万2千台も保有する。軽貨物は許可制ではなく届け出制のため、今回の許可取り消し処分の対象外だが、軽トラの点呼についても国交省は現在、監査を続けている。不実記載は初違反の場合、貨物自動車運送事業法で1件につき車両使用停止日数が60日と処分が重く、同法に基づく処分で軽トラにも一定の影響が出るとみられる。同社は軽トラの処分が出た場合、さらに委託を増やす方向で検討している。 

 

 同社はバイクなど二輪も約8万3千台保有する。二輪の点呼の状況についても社内調査を続け、7月に公表する方針という。 

 

 2022年以降に点呼未実施などの内部通報を受けながら事実認定せず、対策を取っていなかったことが朝日新聞の報道で発覚した点について、千田社長は「順法精神の中で内部通報をして頂いた社員に申し訳ない」と謝罪した。(増山祐史) 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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