( 300703 ) 2025/06/20 04:43:11 0 00 内閣不信任決議案を提出しないことについて記者会見で表明する立憲民主党の野田佳彦代表(撮影・中山知子)
立憲民主党の野田佳彦代表は19日夕、国会内で会見し、提出すれば衆参ダブル選挙の引き金になるとみられた石破内閣への不信任決議案を提出しない考えを正式に表明した。中東情勢が緊迫化し、米国とのトランプ関税交渉が続いていることなどを挙げ「こういう時に政治空白をつくるべきではない。総理経験者としての判断だ」と強調。「今は野党第1党として政府の足を引っ張るのではなく、おしりをたたくことが責任ある対応だ」と訴えた。
党内では、幹部らの間で提出に慎重論があったが、ベテランの小沢一郎衆院議員らを中心に提出を求める「主戦論」も強く、この日、不信任案提出を求めて開かれた会合には、代理出席を含めて60人の議員が賛同の意を示した。それだけに、野田氏への「弱腰」批判も出ている。
ただ野田氏は「(外交交渉を行った)総理経験者としての判断だ」と繰り返し、首相の経験はない小沢氏をけん制。「弱腰ではなく責任ある判断だ。出さない、ではなく、出すべきではない」と訴えた。
一方で、石破内閣の物価高政策を「信任できないのは明らかだ。参院選でしっかり訴えたい」と、選挙戦での対決姿勢を示した。
内閣不信任案提出の是非は野党第1党の判断。野党が結束して賛成すれば、少数与党が支える石破政権の不信任案は可決できた。石破首相が採決を待たずに衆院を解散し、衆参ダブル選に踏み切ったとしても、少数与党の悲哀を認識させ、政権にダメージを与えることは可能だった。
そんな「千載一遇のチャンス」でもあったが、野田氏は「可決できたかどうか、出してみないと分からない。賛同する党があったのか」とも口にした。苦渋の判断だったことは間違いないが、「倒せるはずの相手を倒さずして、参院選戦では対決姿勢を示すのは、ダブルスタンダードではないのか」(立民議員)と、野田氏の今回の判断に失望の声も出ている。
内閣支持率の低迷が続いた石破政権だが、小泉進次郎農相の起用で連日展開される「進次郎コメ劇場」の影響もあり、支持率は回復傾向で、自民党は息を吹き返しつつある。与党内では「野田さんは冷徹な勝負師になれなかった」(関係者)との声も。今回の野田氏の判断を疑問視する小沢氏らとの間で、関係がぎくしゃくする可能性もある。
会期末のハプニングも予想された通常国会は20日、22日までの会期を待たず事実上閉会する見通しだ。【中山知子】
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