( 301103 )  2025/06/21 07:09:10  
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小泉進次郎農林水産相が、就任から1カ月が経った。

自らを「コメ担当大臣」と称し、政府備蓄米の随意契約での放出など安値のコメを店頭に出すなどの対策を実施し、コメ価格の引き下げを急いでいる。

さらに、減反政策からコメ増産への政策転換も図っているが、JAなどとの衝突も予想されており、改革の実現は不透明だ。

コメ価格は3週連続で下落し、小泉氏は消費者心理の変化を示唆している。

また、作況指数を廃止し、統計精度を高めるなどのコメ政策の転換を進めているが、JAとの関係や今後の改革には不透明な要素が残っている。

(要約)

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小泉農水相=5月29日午後、農水省(梶山裕生撮影) 

 

小泉進次郎農林水産相が就任し、21日で1カ月を迎える。「コメ担当大臣」を自任し、随意契約での政府備蓄米放出を決め、安値のコメをいち早く店頭に並べた。5キロ当たり4000円超の平均価格の引き下げを急ぐ。さらに事実上の減反からコメ増産へ政策転換を図る。矢継ぎ早の対策で石破茂政権の支持率は上昇した。ただ、農業協同組合(JA)などとの衝突も予想され、改革実現は見通せない。 

 

■コメ価格は3週連続で下落 

 

「(米価が)下がると消費者心理が変わってきた。高騰を落ち着かせることの結果が出てきた」 

 

小泉氏は20日の記者会見で、こう胸を張った。 

 

小泉氏は5月21日、失言で辞めた江藤拓氏の後任で農水相に就き、備蓄米30万トンの随意契約での放出を表明。それまでの競争入札は価格がつり上がるといわれていた。 

 

従来の集荷、卸売業者を通さず小売業者と直接契約し、5月31日には2000円前後の備蓄米が店頭に並んだ。20万トンの備蓄米の追加放出も決め、足りなければ「緊急輸入も選択肢だ」と言及した。 

 

こうして全国のスーパーで6月2~8日に販売されたコメ5キロの平均価格は、前週比48円安の4176円と3週連続で下落した。だが石破首相は「3000円台」を目指すとしており、小泉氏は「一日も早く近づける」と語る。 

 

■作況指数廃止、在庫調査へ 

 

小泉氏は同時にコメ政策の転換に着手。実態とかけ離れていた作況指数を廃止し統計の精度を高めると表明した。流通状況の把握へ約7万の出荷・販売業者の在庫などを調査することも決めた。 

 

その上で、農家への転作補助金などの形で事実上続いてきた減反を廃止し、明確にコメの増産にかじを切る考えだ。今後は輸出促進策や補償の在り方などを議論する。 

 

JAの体制にも切り込む。小泉氏は20日、全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長に対し、コメを集荷する際に売上金の一部を前もって農家に仮払いする制度の廃止を求めた。仮払いは農家が収入の見通しを立てにくく、両者は基本的に買い取る制度に見直す方向で一致した。 

 

一連の施策は政権の追い風だが、今後の改革にJAが歩調を合わせるかは不透明だ。小泉氏は自民党農林部会長時代のJA改革でJA側と対立し、大きな成果を挙げられなかった。党農林族も含め、反対する勢力を説得する手腕が問われる。(中村智隆) 

 

 

 
 

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