( 301333 )  2025/06/22 05:33:36  
00

野原広子氏は、都議会議員選挙と参議院議員選挙について、政治家の報酬や街頭演説について述べている。

都議会議員の報酬は年収約1418万円で、政務活動費も加わる。

一方、参議院議員の報酬は年収2181万円+月額100万円の調査研究広報滞在費で、6年間続く。

候補者の街頭演説に興味を持ち、議員の働きに疑問を持つなど、政治への関心が高まっている様子が伺える。

(要約)

( 301335 )  2025/06/22 05:33:36  
00

今夏は都議会議員選挙に続いて参議院議員選挙も(イメージ) 

 

 7月の参院選に向けて、政治への関心も高まりつつある。国会議事堂でアルバイトをする、女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が、政治家の報酬や街頭演説についてつづる。 

 

「お金のことで夫婦げんかをすると声がデカくなるからイヤ」と、ずいぶん前に女友達から聞いて、なるほどなぁと感心したことがある。 

 

 日頃は見ぬ振りができるのに、夫から「ちょっと3000円貸して」と言われた途端、「何言ってんのおー」と太い声。やがて本音丸出しの怒鳴り合いになるそうな。 

 

 いやいや、私は夫婦げんかの話をしたいんじゃないの。6月22日が投票日の東京都議会議員選挙のことよ。読者の皆様が本稿を読むのが投票日を過ぎていたとしても、7月下旬には参議院議員選挙がある。選挙で当選した人たちがいくらもらうか、知りたくない? 

 

 まず、2024年度の東京都議会議員の報酬は、議会に年間60~90日間出るだけで年収約1418万円。だけじゃないよ、月額50万円の「政務活動費(政務調査費)」がプラスされる。あと、在職期間が12年を超えると、退職手当が最低700万円強。つまり、都議の任期は4年だから、2期8年で落選しちゃうと退職手当がパーになる。そりゃあ、3期目の議員は死に物狂いになるって。さらにさらに、当選回数が増えると退職年金も増えるから、なんとしてでも議員でいようとする。 

 

 この金額って、私のように時給1000円そこそこで働くパートタイマーからしたら、夢のまた夢よ。たしかに議員になるには、それなりのキラキラ経歴と、人前で自分の名前を大声で叫ぶことができる度胸が備わっている必要がある。加えて昨今の候補者は顔もいい。選ばれし人だってことは認めるよ。 

 

 とはいえよ。近所のポスターで名前と顔は知ってるけど、何を成し遂げたのかわからない議員さんっていない? あの人たちが年1400万円を超える報酬に見合った働きをしているかどうか。あぁ、また頭に血が上ってきた。血圧が高めの人は、ここでいったん深呼吸した方がいいと思う。 

 

 というのも、7月下旬に参議院議員選挙があるけど、こっちの報酬はもっとエグいのよ。当選したら年収2181万円+月額100万円の調査研究広報滞在費(非課税)で、これが6年間続く。 

 

 衆議院議員会館の事務所で、お茶くみと小学生相手の国会議事堂案内のアルバイトをしている私は、時々参議院におつかいに出向くことがあるんだけど、エレベーターも床のじゅうたんも議員のネームプレートまで重厚感があって、「さすが元貴族院議員事務所」とため息が出るもんね。そりゃね、これだけの能力があってこれだけの仕事をしているなら、千万単位のお金を稼ぐのは当たり前と思える人もいる。てか、いないと困る。問題は「なんで議員?」の方よ。 

 

 

 実は私、昔から街頭演説好きでね。「ちょっとだけ」のつもりで足を止めると、ついつい足が棒になるの。生涯、この党に票を入れることはないな、と思う党でも聴けるだけ聴くよ。 

 

 というのも、候補者ってマイクを握ると丸裸。口に出さないことまでよく伝わってくるからなの。たとえば、同じことを繰り返し話す人=話すことがないんだな、とわかるし、ほかの候補者の悪口を言う人=仕事してないんだな、と思う。言葉の抑揚が変な人=耳悪い? この人、歌、ヘタかも、とかね。あと、自分の後ろ盾を褒めちぎる=票を分けてもらってるんだな、とか。 

 

 それから、スマホで写真撮るときの反転モードじゃないけど、自分の真後ろや左右の聴衆に目を向けても面白いよ。街頭演説を聴き続けてわかったんだけど、候補者のキャラクターとそれを聴いてる聴衆のキャラってよく似ているのよ。もちろん、その街の雰囲気によって違ってくるけど“色味”は一緒。 

 

 なんて話を40代の子育てママのH美に話したら、「え~、選挙ってダルくないっすか。自分が一票を入れても当選するとは限らないし」と言うの。彼女のママ友のT子は「だから私は当選しそうな人に投票するのよ。そうしたら当選、バンザ~イってできるじゃない」だって。この2人に、当選議員がいくらもらうか話した途端、「マジ! あり得なくね!」と一瞬で本気モードになった。 

 

 と、そんなわけで先日からヒマさえあれば街頭演説を聴きに回り、身近な人には「議員の報酬おいくら万円」を吹聴し、最近は寝る前に推しとダメ候補者のSNSサーフィン。というのも、昨今の傾向で私のスマホには、推しはますます清く正しく美しく、ダメ候補者はますますゲスく悪く醜いことを伝えようとする動画がこれでもかというほど表示されるから、その中和をはかり出したのよ。両方見るとよく眠れるんだよね。ヘンタイ?かも(笑い)。 

 

【プロフィール】 

「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。 

 

※女性セブン2025年7月3・10日号 

 

 

 
 

IMAGE