( 302058 )  2025/06/25 04:01:43  
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オンラインカジノの利用が社会問題になっており、警察庁による調査では国内で約336万人が経験があり、年間の賭け金総額は約1兆2400億円と推計されている。

千葉県警では昨年、オンラインカジノ関連で25人が摘発されたほか、五輪卓球選手も書類送検された。

若い世代に人気があり、未経験者のうち43.5%が違法性を認識していない。

オンラインカジノにのめり込んで500万円を失った男性もおり、家族に相談することの重要性が語られている。

(要約)

( 302060 )  2025/06/25 04:01:43  
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 オンラインカジノの利用が社会問題となっている。海外では合法とされるカジノサイトでも国内から接続して賭ければ、刑法の賭博罪にあたる。警察庁の調査ではオンラインカジノの経験者は国内で336万人を超え、年間の賭け金総額は約1兆2400億円と推計された。千葉県警幹部は「『知らなかった』では済まされない。違法は違法だ」と語気を強める。(石本大河、大津杜都) 

 

 警察庁は昨年7~10月、全国の15~79歳を対象にオンラインカジノに関する調査を実施し、約2万7000人から回答を得た。それによると、経験者は942人(3・5%)、現在も利用しているとしたのは550人(2・0%)だった。人口比から推計したオンラインカジノの利用者数は約196万7000人で、経験者は約336万8000人に上るとみられる。 

 

千葉県警察本部 

 

 経験者を年齢別にみると、20歳代が構成比で31・2%と最も多く、30歳代が27・4%と続くなど、若い世代が目立つ。違法性については、未経験者を含めて全体の43・5%が「認識していなかった」と答えた。 

 

 千葉県内では今年1月、東京五輪卓球男子団体の銅メダリスト丹羽孝希選手が単純賭博容疑で千葉地検に書類送検され、罰金10万円の略式命令を受けた。千葉県警によると、丹羽選手はインターネット上の広告を見てオンラインカジノを利用したといい、「違法だと知らなかった」と話したという。 

 

 千葉県警風俗保安課によると、千葉県内では昨年1年間、オンラインカジノで金を賭けたとして、単純賭博や常習賭博罪などで25人が摘発された。前年比で24人増えたという。 

 

 同課幹部は「インターネット上でオンラインカジノに関する広告などを見つけても、安易に接続しないでほしい」と呼びかけている。 

 

 オンラインカジノにのめり込んだ経験がある流山市の男性(44)が、読売新聞の取材に応じた。コロナ禍をきっかけにオンラインカジノにはまったといい、「まさに『地獄』。気がついたら抜け出せなくなっていた」と振り返った。 

 

 

 男性はもともとパチンコが好きだった。大学生の頃にパチンコ店に行き始め、結婚後や子供ができてからも仕事帰りに度々通った。 

 

 オンラインカジノを始めたのは2021年春。外営業の仕事だったが、コロナ禍でリモートワークになった。行きつけのパチンコ店も休業し、自宅で過ごす時間が増えた。 

 

 そんな時、インターネットサイトに表示されたオンラインカジノの広告を思い出した。SNSで有名なインフルエンサーがオンラインカジノで遊ぶ配信を目にして、「犯罪には当たらないのだろう」と思った。 

 

 早速インターネットで検索し、お薦めに出てきたカジノサイトにアクセスした。メールアドレスや住所などを打ち込み、登録はわずか30分で完了。「この手軽さが、地獄の入り口だった」と語る。 

 

 一番低いレートのスロットから始めた。仕事の合間にパソコンでサイトにログインして1日3時間、多いときには5万円ほど費やすようになった。 

 

 コロナ禍が明けてからは外出する機会も増え、スマートフォンからサイトにログインするようになった。営業先との商談の空き時間、公園でブランコに乗った子供を押しながら……。常にスマホの画面にスロットが回り続けていた。「パチンコと違って、(オンラインカジノは)いつでも、どこにいてもできる。寝る時間以外はほとんどカジノで金を賭けていた」 

 

 約3年後の24年2月、とうとう預金が底をついた。約500万円を失った。妻には全てを打ち明け、現在はギャンブル依存症と向き合う自助グループに参加している。 

 

 男性は「どうにも引き返せなくなっていた。もっと早く家族に相談していれば……」と悔やんだ。 

 

 

 
 

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