( 302123 )  2025/06/25 05:25:46  
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東京都議会選挙で、自民党が大敗する一方で、小池知事の「都民ファーストの会」が躍進し、無所属の佐藤沙織里氏が減税を訴えるキャンペーンを展開し、SNSやYouTubeを活用して初当選した。

彼女は自転車や選挙カーを使わず、歩いて選挙活動を行い、通行人からの協力も得て勝利したという。

千代田区は自民党の牙城であり、今回の選挙では、タレントの家族が応援する現職との争いに割って入り、勝利を収めた。

佐藤氏はこれまで政治経験はなかったが、様々な選挙に挑戦し、SNSやYouTubeを活用して支持を広げてきた。

今後は都政を足がかりに、政治活動を広げることが期待される。

(要約)

( 302125 )  2025/06/25 05:25:46  
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街頭で支持者と握手する佐藤氏 

 

 6月22日に投開票が行われた東京都議選では、自民党が大敗した一方、小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が躍進して都議会第1党になって注目された。そのなかで、無所属ながらSNSやYouTubeで「減税」を訴えて支持を広げ、現職らを破って初当選を果たしたのが、千代田区選挙区の佐藤沙織里氏(35)だ。 

 

*  *  * 

 

 千代田区は定数1で、当選者は1人だけ。告示日直前まで都民ファーストの現職と自民党候補の争いになると思われていたが、告示日になって佐藤氏が立候補を届け出た。 

 

「本当は参院選の全国比例で出ようと思っていたんです。けど、告示前夜、都議選の立候補書類を見ていたら、これまで千代田区ばかりで選挙に出ていたので、ここでやりたいと決断しました」 

 

 選挙カーもなかったが、佐藤氏と同じ「減税」を主張してきた河村たかし衆院議員から、 

 

「自転車街宣をやればいい」 

 

 とアドバイスを受けたという。 

 

「けど、自転車もなくて、ひたすら歩いて、マイクとチラシ、SNSだけが武器の選挙でした。あまりに大変そうに見えたのか、通りすがりの方が手伝ってくださったこともあった。それでも、やる気があれば勝てることが証明できたと思います」 

 

 ジャイアントキリングを成し遂げた佐藤氏は、そう話した。 

 

■かつては自民の牙城、現職はタレントが応援する選挙区 

 

 千代田区は、かつて「都議会のドン」と称された内田茂元自民党都連幹事長が7期を務め、自民党の牙城だった。内田氏が引退した2017年の都議選では、都民ファーストの樋口高顕氏が勝利し、自民党の牙城を崩した。 

 

 前回21年の都議選では、樋口氏が直前の選挙で千代田区長に転じたため、樋口氏に代わって都民ファースト現職の平慶翔氏(37)が板橋区から「国替え」し、自民党新人で内田茂氏の娘婿の内田直之氏を破って当選した。平氏の姉はタレントの平愛梨、妹もタレントの平祐奈、姉の配偶者はサッカー日本代表の長友佑都で、選挙では姉妹や長友も応援に駆けつけた。 

 

 今回の都議選は当初、平氏と、自民党の新人で与謝野馨元衆院議員(故人)の秘書だった林則行氏(51)の争いだと目されていた。だが、佐藤氏が立候補し、情勢が変わった。 

 

 

■千代田区長選で次点に躍進 

 

 佐藤氏は公認会計士。政治経験はないが、これまで様々な選挙に挑戦し続けてきた。23年には「政治家女子48党」をへて「NHK党」から千代田区議選に出馬し、291票の得票で惨敗。NHK党を出た後、政治団体「さ党」代表を名乗り、「減税」や「不法移民ゼロ」を掲げ、SNSやYouTubeを使って支持者を広げてきた。昨年10月の衆院選では、東京1区(千代田区、新宿区)から出馬し、落選したものの1万2255票を獲得している。昨年12月には政治団体「減税党」をたちあげた。 

 

 佐藤氏は今年2月の千代田区長選にも出馬。現職の樋口氏に敗れたが、次点となって注目された。そして今回、直前の立候補で準備も万全ではなかったが、SNSを駆使して訴えを広げ、ついに議席を獲得した。千代田区は人口が少ないため、7232票での当選だったが、佐藤氏のYouTubeチャンネル登録者数は37万人を超え、すでに千代田区の枠を超えた影響力をもっている。トレードマークのメガネから、「減税メガネ」という愛称も広まった。 

 

 佐藤氏は、記者の取材にこう話した。 

 

「メガネの効果はあったと思います。覚えてもらいやすかったのかな。千代田区は国会も皇居もある日本の中心です。都議でも千代田区なら、日本を変えることができると、ふつふつとわきあがるものがあり、決断しました。でも、本当に勝てるとは……」 

 

 佐藤氏は「財務省をぶっ壊す」などの訴えもしてきた。都政を足掛かりに、さらに政治活動の場を広げていくのだろうか。 

 

(編集部・今西憲之) 

 

今西憲之 

 

 

 
 

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