( 303238 )  2025/06/29 04:54:07  
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小泉進次郎農水相は、コメの価格高騰を抑えるために、政府備蓄米の販売方法を一般競争入札から随意契約に切り替え、価格を大幅に引き下げて小売業者に提供している。

これにより、消費者のコメ離れを防ぎ、農家がコメ作りに意欲を持つ環境を整えたいと述べている。

早急に問題解決を求める姿勢で、安定した価格を見つけることを重視している。

また、備蓄米が市場に出ることで全体のコメ市場が落ち着くことを期待している。

文中では、価格改定や消費者の購買意欲の変化についても言及され、批判に対しては備蓄米の品質を強調している。

(要約)

( 303240 )  2025/06/29 04:54:07  
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小泉進次郎農水相が、コメが異常な高騰を見せている現状の分析と今後のプランを語った。(聞き手・窪田新之助) 

 

◆◆◆ 

 

「コメ高騰に歯止めを」と訴える小泉大臣 ©文藝春秋 

 

〈農水相に就任した小泉氏は、これまで一般競争入札で放出していた政府備蓄米を随意契約に切り替えた。これまで3回の入札で60キロあたり約2万2000円で落札されていた備蓄米を、約半額の1万1000円台で小売業者に売り渡し、店頭では5キロ2000円で売られる。今後も「需要があれば無制限に出す」と小泉氏は言うが、これでコメ価格の高騰は解決するのだろうか。〉 

 

 ――これほどコメが高騰する事態になった原因を、どう分析していますか。 

 

 小泉 いろんな議論があると思いますが、まずは、目の前の異常な高騰を抑えることです。でなければ、次の議論には進めません。価格を下げて消費者のコメ離れを防ぐ。そして、消費者と生産者の間で、なかなか一致してこなかった適正価格を見つけ、農家の方に意欲を持ってコメ作りに励んでもらえる環境を整えていきたい。これほど毎日、寝ても覚めてもコメのことを考えるのは生まれて初めてですよ。前例にとらわれず、あらゆる手段を取っていく覚悟です。 

 

 ――一般競争入札から随意契約に切り替えた理由は? 

 

 小泉 大臣就任は5月21日でしたが、第4回の一般競争入札を28日から行うことが既に決まっていました。過去3回の入札で放出した備蓄米のうち95%はJA全農(全国農業協同組合連合会)が落札したものの、店頭に並ぶまでに想定以上の時間がかかってしまった。結果が出ないやり方を続けても店頭にコメは並びません。それで随意契約を決断したのです。 

 

 随意契約の業者向け説明会では、嬉しい驚きがありました。契約は年間1万トン以上の取扱量を持つ大手業者に限定していて、対象となるのは約50社です。ところが、会場に到着してビックリしました。窪田さん、何社が参加したと思いますか? 

 

 ――盛況だったんでしょうね。50社のうちの9割くらいですか? 

 

 小泉 いえいえ、約320社です。「おいおい、ちょっと待て」と思いましたよ。農水省は50社だと言ったじゃないか、と(笑)。1万トン以上の扱い量のない中小業者も関心を持って、「まず話を聞いてみたい」と参加してくれたようです。実際に申し込みが殺到し、受付を一時休止した。まずは大手に限定していますが、早く店頭に並ぶことを最優先に考え、契約のあり方を改善していきます。 

 

 ――備蓄米は玄米のまま保管されています。従来は卸売業者が精米作業に加え、袋詰めもしてきました。こうした作業を小売業者ができるのでしょうか。 

 

 小泉 そうした作業を自前で行える業者に、優先的に販売していきます。パッケージングには通常、数週間かかりますが、政府から売り渡された備蓄米の袋にシールを貼るだけであれば、1週間でできるそうです。また、早く店頭に並べるために他のコメとブレンドせず、備蓄米のみで販売するという業者もいます。先日、面会した楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史さんは、「精米すると時間がかかってしまうので、精米機とセットにしてネット通販で売る」とおっしゃっていました。 

 

 ――5キロ2000円で売れるのは、備蓄米だけです。コメ全体の価格目標としては3000円くらいでしょうか。 

 

 小泉 石破茂総理が「平均3000円台」と言っていますからね。POSデータでは5キロ当たりの全国平均が約4200円ですが、2000円の備蓄米を入れることで高騰するマーケットを落ち着かせる効果を狙っています。 

 

 ――備蓄米を出すことで「コシヒカリ」などのブランド米も含めたコメ全体の相場も下がっていきますか。 

 

 小泉 先日、ある大手の小売業者から、「価格が少し落ち着いてきたんじゃないですか」と、ありがたい声をいただきました。2000円の備蓄米が出るのを待って、消費者が「焦って買わなくてもいい」と考え、買い控えが始まっているそうです。消費者だけでなく、今までは売り控えていた卸売業者から、「買いませんか?」との連絡もあったそうで、前向きな変化が出てきました。 

 

 ――備蓄米の放出を国民民主党の玉木雄一郎代表は、「1年たったら動物の餌になるようなものを『安く売ります』ったってそりゃ安く出ますよ」と批判しましたね。 

 

 小泉 たしかに古米ではありますが、そもそも主食用米と同じもので、安心して食べられます。その点で、玉木さんの発言は残念な思いがいたしました。 

 

本記事の全文(約9000字)は、文藝春秋7月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(小泉進次郎「 コメを守るためトランプ流でやる 」)。 

 

全文では、以下の内容をお読みいただけます。 

・「小泉大臣は農家の敵だ」というレッテル貼り 

・JAは敵対する相手ではない 

・現場の実感と農水省のデータに差がある 

・2025年産の新米価格は下がるのか 

・コメを輸入する選択肢はなかったのか 

 

小泉 進次郎/文藝春秋 2025年7月号 

 

 

 
 

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