( 303768 ) 2025/07/01 04:54:57 1 00 日本維新の会は参院選を前に支持が低迷しており、最近の東京都議選では全員が落選した。 |
( 303770 ) 2025/07/01 04:54:57 0 00 維新代表の吉村洋文・大阪府知事
7月3日の参院選公示日を直前にして、日本維新の会の低迷が止まらない。
6月22日投開票の東京都議選では、現職1人を含む6人が立候補し、全員が落選。4年前の都議選で初めて1議席を得た勢いはすでにない。
「昨年の衆院選では東京の比例の得票が50万票を超えて2議席をとり、都議選は期待が大きかった。それがゼロだなんて、奈落の底に突き落とされたようだ」
こう話すのは維新の国会議員A氏。そして、
「維新の支持が上がらない理由は、万博と斎藤知事だ」
とぼやいた。問題が噴出する大阪・関西万博と、維新が支えてきた兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が、維新の足を引っ張っているというのだ。
維新の代表である大阪府の吉村洋文知事は、都議選さなかに東京で候補者の応援のためマイクを握った。しかし、地元の大阪から離れているせいか、足を止める人はごくわずか。維新陣営のスタッフが、
「吉村知事が演説です」
とチラシをまいて呼びかけるが、反応は乏しく、受け取る人は少ない。
吉村知事が演説を始めても、
「スキャンダルはどうなった?」
と所属議員のスキャンダルが絶えない状況にヤジが飛ぶ。
吉村氏もあまり力が入らないのか、最後は、
「お時間があれば、絶対に損はさせませんので、大阪に来ていただきたい。万博にお越しください」
と選挙応援の場なのに、万博のPRに余念がない様子だった。
「吉村知事は万博のことを都議選でもいろいろ宣伝していた。しかし、東京で万博に興味を持つ人は多くはない。聴衆の中には『何を言ってんだろう』と不思議そうにする人もいました」(A氏)
■「大阪の失敗をなぜかぶるんだという不信感」
大阪・関西万博は維新が発案し、誘致から開催まで維新が力を込めてきた。だが、維新と同様に“スキャンダル”が続いている。
海外パビリオンでは工事代金の未払いが次々と発覚。すでに施工主を相手取って、民事訴訟を起こした工事業者もある。6月4日には万博の“ウリ”のひとつ水上ショーが開催されているウォータープラザで指針以上のレジオネラ属菌が検出され、水上ショーは休止に追い込まれた。
都議選で維新陣営のスタッフとして活動していたB氏は、こう話す。
「万博が赤字になれば、税金から国民負担の可能性もある。東京では、大阪の失敗をどうして国民が税金でかぶるんだという不信感が根っこにあると感じます」
■市議会サボって万博で自社製品をPR
そして、万博の場での維新議員の“スキャンダル”まで明るみに出た。大阪府藤井寺市の生田達也市議(大阪維新)が6月6日の市議会を体調不良という理由で欠席したが、その日の万博のイベントに参加している様子を生田氏がSNSに投稿していると、市民から議会に連絡があったのだ。
藤井寺市の幹部はこう説明する。
「最初、生田氏は『午前中は体調がよくなかった』『病院に行った』が、『午後には回復したから万博へ行った』と説明していた。そこで『病院に行った領収書や薬の処方をした証明はあるか』と聞いたところ、行っていないと嘘だったことがばれてしまった」
生田氏が万博に行った日は、藤井寺市の特産品をPRするイベントが開催されていた。市議会で生田氏は、
「その手伝いがしたかったのでウソをついた。正当化するためにウソを重ねた」
などと釈明した。だが、生田氏がPRを手伝った藤井寺市の特産品の中には、食品会社C社のウナギ料理が含まれていた。生田氏はC社の役員に名を連ねている。つまり、自分の会社の製品のPRのために仮病を使って、市議会を欠席していたのだ。
生田氏はこれまでも自社のウナギのPRをしてきた。5月2日のSNSの投稿を見ると、「美陵鰻(みささぎうなぎ)」のポスターとともに吉村知事や岡田一樹藤井寺市長が並ぶ写真を掲載し、
〈なんと!!大阪・藤井寺市を代表する特産品の美陵鰻が吉村大阪府知事の元へ!!中谷大阪府議会議長、岡田藤井寺市長にご同行いただき吉村知事へ表敬訪問させていただきました。吉村知事も「これは美味い!天然の鰻に近い味!!」と絶賛下さいました〉
とC社のウナギを吉村知事に「献上」して、賞味してもらったことを記している。
藤井寺市議会は6月18日、全会一致で生田氏の辞職勧告決議案を可決した。
吉村知事は、
「市議会に虚偽の申告をしたのは許されない」
と語り、大阪維新は17日付で生田市議を除名処分にした。
■維新のイメージが強い斎藤知事
そして兵庫県の斎藤知事の問題。県の第三者調査委員会が認定したパワハラのほかにも、昨年11月の知事選での公職選挙法違反疑惑、内部告発した元県民局長の個人情報を漏洩させた疑惑など、斎藤知事を巡ってはさまざまな疑惑が噴き出ている。前出の維新陣営スタッフのB氏は、こう話す。
「斎藤知事が初当選の時には維新が応援し、吉村知事が何度も横並びで演説していた。内部告発で斎藤知事の問題が発覚したときも、維新だけは斎藤知事を擁護しているような雰囲気だった。今も維新から処分を受けて離党した県議が斎藤知事をサポートしていて、どうしても斎藤知事は維新のイメージが強い。都議選でも『なぜ斎藤知事の味方をするのか』と街頭で聞かれたこともある」
メディア各社の世論調査で維新の支持率は低調だ。前回22年の参院選で維新は、比例区で自民党に次ぐ8議席を獲得したが、今回の参院選では3から4議席に落ち込むという見方が出ている。また、16年以降の3回の参院選で、維新は地元・大阪選挙区で改選数4のうち2議席を獲得してきた。だが、維新の大阪市議はこう危機感を募らせる。
「活動をしていても維新人気がかなり落ちている。万博や斎藤知事について追及されて、答えに窮することもある。このままでは2人の候補者のうち1人しか当選できないと、先日も幹部からハッパをかけられた。参院選で大負けしたら吉村代表はどうなるのかと、進退の話まで出始めている」
万博、斎藤知事問題の“二重苦”にあえぐ吉村維新。参院選でどのような審判が下るのか。
(編集部・今西憲之)
今西憲之
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