( 304590 ) 2025/07/04 04:28:55 0 00 山尾志桜里氏
一緒にやろうと口説いてくれた“あの人”はもういない。たった一人での闘いが始まったーー。無所属で参院選東京選挙区に挑むことになった山尾志桜里氏が、東京・吉祥寺で第一声を上げた。炎天下の中、叫び、走り、笑顔を振りまきながら手を差し出しまくる“意地の戦い”を見てきた。
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7月3日午後1時。東京のJR吉祥寺駅東口ロータリー前で行われた山尾志桜里氏の第一声には、約30人の報道陣が駆けつけた。一方、聴衆はせいぜい十数人といったところ。
だが、白のポロシャツに青い襷をかけた山尾氏は颯爽と現れ、力強くマイクを握りしめた。
「みなさまー、こんにちは! 山尾志桜里です。吉祥寺で第一声は予想通りですが、無所属での第一声は予想外でした。残念ながら国民民主党から公認の取り消しを受けましたが、中道政治を諦めることがどうしてもできませんでした」
いきなり“捨てられた女”アピールから入ると、かつての仲間への“恨み節”を漏らした。
「2022年の結党時には、リベラルから穏健保守まで包摂していく『改革中道政党』だと結党メンバーで誓い合ったあの国民民主党ですら、選挙を前にして右旋回から逃れられない状況を、中から見ました」
「この国には本当の右や左に偏らない、ど真ん中の、この国の未来をひたすら思う中道の政治がなかなか根付かないことを教えてくれたのが今回の国民民主党との一連の経過だった。私も学びました」
そして、一人でも戦い抜く決意を力強く語り出したのだった。
「無所属でもできる、無所属だからこそできる。そう決意して私はここに立っています!」
「皇室問題や憲法の問題、この国がこの国であり続けるための大事な論点を選挙でしっかり正面に掲げる政党はほとんどありません! これを掲げれば党内が分裂するからです!」
「もし私を無所属で国会にもう一度送っていただいたら、『保育園落ちた』の10年後、2025年の子育て政策を必ず前に進めます!」
約25分間に及んだ演説を終えた時は汗だくで、化粧はだらだらに崩れていた。だが山尾氏は意に介さず、聴衆に向かって突進し始めた。
「よく来てくれました。ありがとう」 「暑い中、ありがとうございます」
満面の笑みで一人ひとりと固く握手していく。
演説で明かした話によると、山尾氏にとって吉祥寺は小学生から7年間の司法浪人中まで「人生の過半を過ごしてきたホームタウン」。司法浪人中もこの街にあった「ジャズの流れるレストランバー」でウェイトレスをしていたとのことで、知り合いは多いようだ。
山尾氏のファンらしき男性も数人駆けつけていたようだ。写真撮影やサインの求めにも快く応じ、色紙には「中道」と書いていた。
一人終えるとまた次へ。50歳とは思えぬ軽やかな足取りで横断歩道を走り抜けていく。商店街に入ると、
「この先に事務所を立ち上げてやらせていただいています。ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
と挨拶することも忘れなかった。取材陣への囲み取材にも質問が途切れるまで応じ、テレビカメラが往来の人とぶつかりそうになると「危ないですよ!」と優しく声をかける。
これまでのお高くとまっていたような印象から一変、徹底した「ドブ板」ぶりなのだ。だが、山尾氏がどんなに奮起しようとも厳しい闘いは避けられそうにない。政治部記者はこう語る。
「今回は改選数が一つ増えて7議席となり、当選ラインが下がるとはいえ50万票は必要。どれだけ同情票を集めようとも、団体票なしで当選圏内に入るのは厳しいでしょう。山尾さんは立憲と国民にいたこともあり、それぞれの支持層も被ってしまいますしね」
だが、こうも付け加える。
「もしかしたらもう彼女は勝ち負けにこだわっていないのかもしれません。玉木さんと一戦交えずには気が済まない一心で突き進んでいる気もします」
“女の意地”でどこまで玉木氏を追い詰めることができるかーー。
デイリー新潮編集部
新潮社
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