( 304723 )  2025/07/04 07:10:28  
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2025年4月27日に発売された東風日産の電動セダン「N7」は、わずか1ヵ月で17,215台の受注を達成し、中国市場での成功を収めた。

このモデルは先進技術を搭載しつつ競争力のある価格で、特に若いファミリーユーザーをターゲットにしている。

バッテリータイプは58kWhと73kWhがあり、最大航続距離は635kmを実現。

日産は「N7」を皮切りに、中国向けにさらに多くの電動車を展開する計画を立てており、中国市場の再浮上に向けて取り組んでいる。

 

 

今後の計画として、2027年夏までに9車種の新エネルギー車を投入する予定で、第2弾としてプラグインハイブリッドの「フロンティアプロ」が発表された。

他にも複数のコンセプトカーの開発が進められており、これらは中国のみならず、他の地域への輸出も視野に入れている模様。

日産は中国での製造・販売体制を強化し、迅速な製品展開を目指していく意向を示している。

次なる反攻に期待が寄せられている。

(要約)

( 304725 )  2025/07/04 07:10:28  
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 2025年4月27日に発売された東風日産の電動セダン「N7」が、わずか1ヵ月で受注台数17,215台を突破し、幸先のいいスタートを切った。 

 

 激戦の中国電動車市場で、中国系メーカーと本気で勝負すべく開発された「N7」は、先進技術を搭載しながらも価格を抑えた中国専用モデル。日産はこのN7を皮切りに、複数の電動車を投入する方針を明かしており、不振が続く中国市場での再浮上を狙う。 

 

 N7の概要とともに、今後展開される日産の中国向け電動車シリーズについて、その期待と展望を考察しよう。 

 

 文:吉川賢一/写真:NISSAN 

 

 「N7」は、中国市場で人気の高い全長約4.9mのミドルサイズセダン市場をターゲットとした電動セダンだ。駆動用バッテリーは58kWhと73kWhの2種類(いずれもLFP=リチウム鉄リン酸バッテリー)を設定し、CLTCモードでの最大航続距離は635kmを実現。急速充電にも対応し、わずか15分で30%から80%までチャージ可能となっている。 

 

 中国の自動運転分野でトップのモメンタ社と東風日産が共同開発した先進運転支援システム「Navigate on Autopilot」も搭載し、AIによる姿勢調整機能を備えたゼロプレッシャーシートは、12点マッサージ機能や空気圧式クッションを備え、まさに「スパ級」の快適性を提供する。 

 

 日産によると、N7は若いファミリーユーザーをメインターゲットとしているそうだが、実際に購入層の多くが35歳以下となっているそうで、その狙いは的中したようだ。 

 

 しかも東風日産によれば、N7購入者のうち約70%が日産車を初めて購入する顧客だそう。N7は、新たな顧客層を獲得する上でも、大きな成果を挙げているようだ。N7のクルマとしての完成度の高さに加えて、エントリーモデルで11.99万元(約239.9万円)という戦略的な価格設定が大きく影響しているだろう。 

 

 

 日産は2027年夏までに、中国市場向けに新エネルギー車(NEV)9車種の投入を計画している。N7はその第1弾であり、第2弾は2025年北京モーターショーで発表されたプラグインハイブリッドの「フロンティアプロ」だ。 

 

 フロンティアプロは、通勤などの市街地走行から週末のアウトドアまで幅広く使えるファミリー層向けSUVであり、パワートレインは1.5L直列4気筒ターボエンジンと高出力モーターによるPHEVシステムを搭載。システム出力は300kW(408PS)超、最大トルク800Nmという高性能を誇る。EVモードでの最大航続距離は135kmで、価格は156,900〜219,900元(約315〜442万円)と、スペックを考えればかなりリーズナブルだ。 

 

 製造・販売するのは、日産と東風汽車の商用車向け合弁会社「鄭州日産(ていしゅうにっさん)」。ピックアップトラックで培った日産の技術と、東風汽車の最新電動技術を融合し、2025年末までに販売を開始。将来的には中国国外への輸出も視野に入れているという。 

 

 第3弾以降は明らかになっていないが、日産はほかにも、(N7の派生車と思われる)電動SUVの「エピックコンセプト」、e-4ORCE+アクティブサスの大型SUVの「エラコンセプト」、そしてPHEVのセダン「エヴォコンセプト」という、多彩なコンセプトカーを(昨年2024年の北京モーターショーで)公開しており、これらが順次市販化されていく可能性が高いと思われる。中国市場向けではあるが、欧州、アジア諸国、日本市場への輸出も視野に入れて開発されているはずだ。個人的には、エピックコンセプトの市販版の登場が近いのではと考えている。 

 

 日産は現在、中国における車両開発・製造体制を現地完結型にシフトしており、中国企業との合弁を通じてスピード感ある展開を目指している。これまでも追い詰められた時にこそ真価を発揮してきた日産。次なる反攻に大いに期待したい。 

 

 

 
 

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