( 305190 ) 2025/07/06 05:14:44 0 00 (左上から右へ)江原久美子、伊藤岳、矢倉克夫、高井環、桜井奈々絵、熊谷裕人、龍野真由美、古川俊治、大津力の各氏=いずれも3日、埼玉県内
外国人問題が表面化している埼玉県内で参院選公示日の3日、埼玉選挙区の国政9政党の出陣式や第一声を取材すると、公明、維新、参政の3党が外国人問題に触れた一方、自民、立民、国民、れいわ、社民の5党は触れなかった。共産は独自の触れ方だった。自民、立民、国民はいずれも「優先順位が低い」と理由を説明。また、これら3党にはいずれも大野元裕知事が応援演説をしたり「檄文」を寄せたりしていた。
■維新・公明・参政は触れる
維新新人の龍野真由美氏(52)は浦和駅東口で第一声。「外国人問題はいますぐにでも解決しなければならない。そう思っても、やってくれないのが、いまの政治だ。私は川口市の外国人問題にもしっかり取り組みたい」と訴えた。
3選を目指す公明現職の矢倉克夫氏(50)は大宮駅そごう前で「ルールを守り合う環境を作るのが共生社会の前提。私は法務省などとも連携し『不法滞在者ゼロプラン』を発表した。安心の埼玉を、日本を、私がつくる」と声を張り上げた。
参政新人の大津力氏(53)は浦和駅東口で「日本の文化や風習がわからない人もおり、地域住民は本当に困っている。際限のない外国人労働者の受け入れに歯止めをかける。本当は保守を掲げている自民党がやらなければならないことを、むしろ自民党が推進している。全然、保守じゃないじゃないですか」と問いかけた。
■異口同音に「時間が…」
一方、4選を目指す自民現職の古川俊治氏(62)は浦和駅東口で出陣式を行い、大野氏が応援演説に立った。古川氏は「新産業の創出で経済を再興する」などと訴えたが、外国人問題には触れなかった。演説後に取材に応じ「成長戦略など訴えたいことがたくさんあり、プライオリティー(優先順位)の問題。もちろん、外国人がルールを守るのは当たり前のことだ」と話した。
再選を目指す立民現職の熊谷裕人氏(63)も浦和駅東口で出陣式。大野氏の応援演説後に「子供たちに恥ずかしくない政治を」などと訴えたが、外国人問題には触れなかった。演説後の取材で「時間が短かったので、すべては触れられない。いちばん訴えたいことだけを訴えた」と説明した。
国民新人の江原久美子氏(54)は地元深谷市で出陣式。大野氏の檄文が読み上げられ、「働き盛りの世代や若者の負担が重い。まずは手取りを増やす」などと3つの政策を訴えた。演説後に取材に応じ、「時間がなかった。もし政策を5つ訴えられる時間があったら、外国人問題も触れていた」と語った。
関係者によると、大野氏には現職を中心に応援依頼があったといい、大野氏は公明の矢倉氏陣営でも第一声後の県西部での街頭演説で応援演説を行った。
■共産は「差別」を批判
れいわと社民もそれぞれ、浦和駅西口と県庁前での第一声で外国人問題に触れず、れいわ新人の桜井奈々絵氏(50)は取材に対し「そこまでまとめきれていなかった」。傍らにいた同党幹事長の高井崇志衆院議員が「わが党は移民政策には明確に反対だが、わざわざ訴えるほどの話ではないと考えた」と補足した。
社民新人の高井環氏(54)は教員出身の経験から「公立学校にはあらゆる国籍の子供が通っており、一人一人がかけがえのない存在。国籍だけで個人を判断できない。外国人問題とひとくくりにしても、問題解決はできないと思う」と語った。
一方、再選を目指す共産現職の伊藤岳氏(65)は浦和駅西口で「いま、差別や排外主義で外国人に矛先を向ける勢力が現れている。政治のやることは差別や分断ではなく、相互理解や包摂こそ政治の役割ではないか。『暮らしが大変なのは外国人に税金を使うからだ』と主張する政党もあるが、日本に在留する外国人は税金を払い、さまざまな職業を支えていて事実に反する」と、異なる観点から外国人問題に言及した。
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埼玉選挙区にはこのほか、いずれも諸派新人の津村大作(51)、武藤かず子(43)、増山優花(42)、山田信一(54)、無所属新人の斎藤嘉英(52)、諸派新人の石浜哲信(74)の6氏が立候補。定数4に15人が挑む激戦となっている。また、同選挙区に候補者を立てていない日本保守党は「野放図な『移民政策』を止める」と主張している。
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