( 305715 ) 2025/07/08 05:00:14 0 00 本誌の直撃に応じた浦平氏。過去に傷害事件を起こしたことは認めつつも、贖罪は済んでいることを強調した
「あの日、竹刀やバットでメッタ打ちにされて大怪我を負った息子の身体には今もケロイド状の傷跡が残り、皮がつっぱる後遺症に苦しみました。あんなむごたらしいことをした人が国政選挙に出るとは言葉がないです」
和歌山県に住む女性Aさんは、参院選関連のニュースでその名前を目にするたび、生身に嫌な汗をかくという。日本維新の会に所属する浦平美博(よしひろ)(53)――現・和歌山県議会議員だ。
浦平氏は国士舘大学卒業後、母校である県立和歌山北高校の体育教員、和歌山市議会議員などを経て’23年に和歌山県議会議員に初当選。今夏の参院選に、日本維新の会の公認を得て和歌山選挙区での立候補を表明している。Aさんの息子に重傷を負わせたのが、高校教師時代の浦平氏だった。
「事件が起きたのは’03年3月です。息子は浦平さんが顧問を務める剣道部に所属していました。当日、息子は練習メニューをサボったようで、それが彼の逆鱗に触れた。息子は後日『教官室』という部屋に連れて行かれ、竹刀でお尻を何度も殴られました。殴りすぎて竹刀が折れると、今度は木製バットで殴り始めました。
当時の報道では殴った回数は30~50発とされていますが、お尻の皮膚は壊死して脂肪が剥き出しになり、50㎝ほどにわたって焼けただれたように赤黒くなっていた。パンパンに腫れ上がり、まともに歩けなくなりました。50発どころじゃなかったはずです。浦平さんは傷口を見ているのに救急車も呼ばず、息子は自分でタクシーを呼んで帰ったんです」(Aさん)
帰宅した息子を総合病院に連れて行ったAさんに、医師はこう告げたという。
「大変なことになってます。うちでは扱えないので、医大に緊急搬送します」
Aさんが当時を振り返る。
「息子は救急車で大学病院に運ばれ、ICUに入りました。そこで『お尻の筋肉がボロボロになって、体液や血液に混じって身体中を巡っている。このままだと、筋肉のかけらが腎臓に詰まって腎不全になってしまう』と説明されました」
Aさんの息子は全治3ヵ月の大怪我を負い、浦平氏には県の教育委員会から停職4ヵ月の処分が下ったが、事態を重く見た和歌山県警が捜査に乗り出して刑事事件に発展。’04年10月、浦平氏に傷害罪で懲役1年6ヵ月、執行猶予3年の有罪判決が下った(民事は10万円の支払いで調停が成立)。
「裁判中、浦平さんの弁護士から″示談金として100万円を用意している″と連絡がきました。裁判で刑を軽くしたいという意図が透けて見えた」(Aさん)
Aさんの息子は、浦平氏の出馬に何を思うのか。電話を条件に取材に応じた。
「浦平のことは忘れないし、今でも許していません。ただ、あまりにも殴られすぎて、事件のことは『痛かった』ぐらいしか覚えてない。記憶がないんです。傷は綺麗に治らなかったので、今もケロイド状の傷跡が残っています。形式上は謝罪を受けましたが、彼が心から反省しているとは思っていません。(参院選の出馬については)もう、何を言っても無駄だと思っています。彼とは一生関わらずに生きていきたいんですが、今でもふとあの日を思い出します……」
◆「裁判を通じて解決済み」
Aさんの息子を竹刀やバットでメッタ打ちにしたのは事実なのか。被害者への贖罪は済んだと考えているのか。FRIDAYが浦平氏に対面で取材を申し込んだところ、書面で以下のように回答があった。
「竹刀で臀部を殴打したことは事実です。その日は300mトラック10周のみの練習メニューでしたが、1周しか走っていないことを知りました。どうして走らなかったのか聞くと、『男子キャプテンの指示です』とBくん(Aさんの息子の氏名)が言いました。その後、Bくんがこの事実を主導したことを知りました。私は、かねてからBくんを人一倍目にかけてきたので、こうした嘘をつかれたことを知って裏切られたと思い、激怒して、殴ってしまいました。生徒の命を預かる教師としては、あまりにも短絡的かつ軽率な行動であり、深く反省しています。 全ての弁済等は民事、刑事裁判を通じて解決済みのはずです。しかし、被害者であるBさんとその家族が受けた傷は生涯、癒えるものではないと思います。私としては、謝罪の念を一生持っていて、心の中では、『申し訳ない』と言い続けるしかありません」
この回答から数日後の6月下旬、FRIDAYは県議会へ向かう浦平氏を直撃した。
――Bさんへの贖罪は済んだのか。
「回答は書面でした通りでございまして。それ以上でも以下でもないです」
――Bさんと家族は今も傷を負っている。
「謝り続けることしか、私の中には方法が残っていません」
――浦平氏が国政に打って出ることについてもAさんたちは違和感を持っている。
「直接お会いさせていただいて、お詫びを申し上げたいなという風に思います」
Aさんらが政治家としての資質に疑問を持っていることについては何も語らず、浦平氏は謝罪の言葉を繰り返しながら、議場へと消えた。
浦平氏が起こした事件を把握しているのか。なぜ公認するのか。所属している日本維新の会に質問状を送付したところ、以下のように回答があった。
「傷害罪で刑事、民事で裁判があった事実関係は承知している。浦平支部長には改めて過去の行いを反省し胸に刻んで、公に奉仕することで罪滅ぼしを続けてもらいたいと考えています」
Aさん親子の悲痛な訴えを、有権者はどう受け止めるのか。
『FRIDAY』2025年7月18日・25日合併号より
FRIDAYデジタル
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