( 306073 )  2025/07/09 06:35:00  
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日本の研究者は資金不足に直面しており、月に使える研究費はわずか4万円です。

静岡大学の木村教授は、ウイスキーの空き瓶を培地の容器として使用し、試薬も大切に管理しています。

科研費の採択率は30%と低く、競争が激化する中、物価高の影響も重なり、研究が滞っています。

日本の科学研究の質は低下し、特許の取得にも影響が出ており、海外依存が進行しています。

経団連は科研費の増加を提言し、国家の科学技術政策の見直しが求められています。

(要約)

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研究費足りない「月に4万円」 科学者から悲鳴…ウイスキー空き瓶使い実験 

 

 日本の研究者が資金不足で岐路に立たされています。研究に使えるのは、1カ月でわずか4万円です。 

 

静岡大学 木村洋子教授 

「ウイスキー瓶を(酵母の)培地を入れる瓶に使っています」 

 

 静岡大学の酵母を研究する研究室。培地を入れる容器は専用のものではなく、ウイスキーの空き瓶です。 

 

木村教授 

「持ちやすいということと、何よりタダ。(薬品の)1グラムあたりの単価とかも書いて、大事に使うようにしてくださいというふうにしています」 

 

 試薬は10万円を超えるものもあります。ところが、光熱費を除くと研究室が使える資金は月4万円ほどしかありません。 

 

木村教授 

「研究費が学内からもあまりもらえなくなっている。科学研究費の獲得競争は激しいし、かつこの1、2年は物価高の影響をすごく受けていて、ダブルパンチの状況です」 

 

 輸入品の多い実験用器具などの価格高騰に加え、国からの助成金も簡単にはもらえません。 

 

 特に獲得が難しくなっているのが、「科研費」と呼ばれる国の助成事業。ノーベル賞を受賞した基礎研究を支えてきたことで知られますが、申し込む研究者が増え、受け取れるのは応募した件数のうち3割程度だといいます。 

 

木村教授 

「採択率30%はあまりにも低いなと思う。50、60%ぐらいにしないと」 

 

 世界では中国とアメリカが研究費を飛躍的に伸ばす一方、日本はほぼ横ばいで大きな差が生まれています。 

 

 注目度の高い科学論文の数で、日本はイランに抜かれ、過去最低の13位に低迷しています。論文の数が減れば新たな技術が生まれづらくなります。 

 

東京大学 後藤由季子教授 

「(資金不足もあり)日本の研究が遅れているという実際のデータがある。アメリカやヨーロッパの諸国に比べ、1年も遅れている。研究が遅れてしまうと特許も出にくくなり、経済への影響も大変大きい」 

 

 研究が進まない結果、遅れをとり創薬の分野では、すでに海外からの輸入に頼らざるを得ない状態に陥っています。 

 

 この事態に危機感を募らせているのが、産業界です。経団連は科研費の早期倍増を提言し、財源などについても議論する委員会を新たに立ち上げました。 

 

経団連 筒井義信会長 

「科学技術の遅れが、科学技術人材の停滞につながりかねない。さらに産業競争力、国益の低下ということにつながりかねない」 

 

 国は5年に一度の科学技術政策の方針を決める議論を進めています。この夏に中間とりまとめをする見込みで、研究費増額にかじを切るのかが注目されます。 

 

(「グッド!モーニング」2025年7月8日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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