( 306233 )  2025/07/10 03:27:49  
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地域の消防団において、自治体から支給される報酬を受け取れない団員が存在する問題が浮上している。

これは、団側が報酬を「上納」させる行為が原因であり、総務省消防庁は3年前にこうした不正を是正するよう通達を出したが、一部の団では未だに改善されていないという。

火災や災害対応に当たる消防団員は、通常、年額報酬や出動報酬を受け取るが、報酬が団側に渡るケースが報告されている。

また、団員の通帳を預かるような手法もあり、これらの行為は違法性が指摘されている。

国の是正通知後も、全国で報酬に関する不正が横行している可能性があるとされ、消防庁は早急な是正を求めている。

 

 

(要約)

( 306235 )  2025/07/10 03:27:49  
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訓練で放水する消防団員(本文とは関係ありません) 

 

 地域防災を担う消防団で、自治体から支給される報酬を受け取れない団員が後を絶たない。団側が報酬を「上納」させているからだ。総務省消防庁は3年前、こうした不正を改めるよう自治体に通知したが、一部の消防団では改善されていない実態が複数の団員の証言から浮上した。 

 

 消防団員は非常勤特別職の地方公務員。消防庁は団員の年額報酬3万6500円、1日の出動報酬8千円を「標準額」とし、金額は自治体によって異なる。 

 

■団が通帳ごと預かるケースも 

 

 証言などによると、香川県内や埼玉県所沢市のある消防団では、団員が報酬を団側に手渡ししたり、振り込んだりしていた。いずれも団側の求めに応じたもので、通知後の2023~25年のことだ。 

 

 団側が報酬を上納させる手口には、これらの「現金型」のほか、団員の通帳やキャッシュカードを預かるといった「口座型」もある。愛知県内のある団員は入団時に幹部から口座を作り、通帳を渡すよう指示されて従った。通知より前のことで、以来報酬は受け取っていない。 

 

■国が是正通知を出した後も 

 

 消防団の報酬は、かつては市町村から団を経由して団員に支給されるのが一般的だったが、親睦会の費用として「中抜き」されるといった不正が報道で表面化。消防庁は22年8月に不正をただすよう自治体に通知を出した。 

 

 通知では「現金型」も「口座型」も是正の対象として示され、特に「口座型」は違法性もあると指摘されていた。 

 

 これらの自治体以外にある複数の団員も取材に同様の証言をしており、通知後も報酬をめぐる不正が全国で横行していた可能性がある。 

 

 消防庁は、こうした行為は「早急に是正すべき」と取材に回答。所沢市は「事実確認をする」、香川県内の自治体は「分団長らから個別に聞き取ったが、強制的に徴収している事実はない」、愛知県内の自治体は「今年4月、外部からの通報により一部で不適切な管理の事実を把握している。是正に向けて取り組んでいる」とコメントした。(中島秀憲、玉那覇長輝、奈良美里、堅島敢太郎) 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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