( 307214 )  2025/07/13 07:21:55  
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広島地裁福山支部は、暴行罪に問われた男性教諭に無罪を言い渡しました。

この判決は、指導と体罰の線引きを慎重に考慮したもので、公判では羽交い締めが正当な行為かどうかが焦点となりました。

裁判官は、羽交い締めは暴行罪に当たるが、その行為は児童を制止するための正当なものであり、懲戒権を逸脱していないと判断しました。

教育関係者や保護者からはさまざまな意見が寄せられ、特に体罰の線引きが難しいとの声がありました。

この事案を通じて、学校現場での冷静な指導について再考する必要性も指摘されています。

(要約)

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無罪判決の言い渡しがあった広島地裁福山支部 

 

 暴れる児童を羽交い締めにして暴行罪に問われた男性教諭に広島地裁福山支部は11日、無罪を言い渡した。判決は指導と体罰の線引きについて、学校現場の実情を踏まえて慎重に判断。福山市内の教育関係者や保護者にさまざまな受け止めが広がった。 

  

 公判では、羽交い締めが正当な行為に当たるかどうかが争点だった。判決言い渡しを予定した法廷は開廷前、24の傍聴席を超える傍聴希望者が詰めかけ、急きょ隣の広い法廷に変更。関係者の関心の高さがうかがえた。 

 

 松本英男裁判官は判決理由で、羽交い締めそのものは「暴行罪の構成要件に該当する行為」と説明した。一方、学校現場では「体罰に当たるかは目的や態様、結果から個別、具体的に判断する」とし、羽交い締めの前後の男性と児童の動きを詳述。児童を制止するための正当な行為であり、懲戒(注意、叱責(しっせき)など)の権利を逸脱したとは言えないと結論付けた。 

 

 別の小学校の50代女性教諭は「子どもを指導する難しさが表れた事件。今回のような事案は学校現場ではよくある」と安堵(あんど)した。小学生の息子がいる40代女性は「子どもが泣いて痛がっていたら、学校に事情を尋ねることはある。体罰か否かの線引きは親としても難しい」と話した。 

 

 名古屋大大学院の内田良教授(教育社会学)は「最小限のやむを得ない有形力の行使を正しく認識した判決」と評価する。一方で「あくまでも個別事案の判断。体罰には厳しいまなざしを注ぎ、現場での冷静な指導の在り方を改めて考えるべきだ」としている。 

 

中国新聞社 

 

 

 
 

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