( 307709 )  2025/07/15 07:08:34  
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財務省が次期総理に望む政治家について、選挙後の日本政治を見据えたランキングが紹介された。

1位は立憲民主党の野田佳彦氏、2位には財務相の加藤勝信氏と岸田前首相、林官房長官が並ぶ。

若手では小泉進次郎氏が6位にランクインした。

最下位は高市早苗氏で、識者たちはそれぞれの候補について、増税を推進できるかどうかや財務省への依存度を評価した。

財務省は指導力があり、使いやすい政治家として進次郎氏に期待を寄せていると述べられており、次期選挙後にも増税路線が強まる可能性が示唆されている。

政治の根本的な問題として、財務省に依存した選び方が国民を豊かにしないという意見もあった。

(要約)

( 307711 )  2025/07/15 07:08:34  
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「財務省が総理にしたい政治家」候補の中には小泉進次郎氏も(時事通信フォト) 

 

 都議選での敗北に続き、参院選でも自民党の大敗が予測されるなか、選挙後を見据えて“増税マフィア”が動き始めている。「次の総理のもとでは必ず増税を実現させる」??参院選で与党が過半数を割って石破茂・首相が退陣した場合や、自民党が連立組み替えに進んだ場合の総理候補たちに水面下でのアプローチを始めているという。では、その「財務省が待望する総理」とは一体誰なのか。 

 

 そこで本誌・週刊ポストは、長谷川氏、元内閣官房参与の藤井聡・京大大学院教授、元文部官僚の寺脇研氏、経済評論家の上念司氏、経済ジャーナリストの荻原博子氏の5人に、ポスト石破の有力候補と見られている政治家たちについて、「増税推進度(財政規律重視度)」と、総理になった時にどの程度財務省に政権運営を頼ることになるかという「財務省依存度」をそれぞれ5点満点で採点してもらい、「財務省が待望するポスト石破」をランキングにした。 

 

 採点対象は、自民党から前回総裁選に出馬した8人(石破首相を除く)と首相再登板に意欲的と見られている岸田前首相を加えた9人と、立憲民主、国民民主、維新、公明の各党党首を加えた13人だ。 

 

「財務省が総理にしたい政治家」の1位は野田佳彦・立憲民主党代表。「増税推進度」は合計22点、「財務省依存度」は満点の25点の評価を得た。2位には加藤勝信・財務相、岸田前首相、林官房長官が同点で並び、5位が斉藤鉄夫・公明党代表。若手では“コメの価格破壊”で名をあげた進次郎氏が6位につけた。 

 

 最下位で「財務省が一番総理にしたくない政治家」と採点されたのは高市早苗・前経済安保相だ。 

 

 採点した識者たちは参院選後の財務省はどう動くと見ているのか。上念氏は「本命・野田、対抗・岸田」と語る。 

 

「財務省にとって野田さんは自分たちが純粋培養した政治家です。総理になって消費増税を為し遂げた“大宰相”という扱いでしょう。そして今回のポスト石破政局では自公と立憲の大連立をお膳立てしている。大連立という盤石な政権基盤のもと、野田首相が消費増税に向けて動くのを後押しするというのが財務省の思惑だと思います。 

 

 対抗の岸田前首相は、財務省にすれば“増税ができなかった総理”です。消費増税への布石として、定額減税だ、経済対策だと大盤振る舞いさせたものの、増税実施には届かなかった。だから財務省は“もう一度チャンスをやってもいいから、責任を果たせ”と考えている」 

 

 

 それに対して財務省が絶対ダメなのは玉木氏だと話すのは寺脇氏だ。 

 

「玉木氏は財務官僚出身といっても、課長補佐クラスの主計局主査で退官して政治家になった。財務官僚にすれば、財務省出身だと行政経験を誇るなら、課長ぐらいにはなっていないと。“補佐クラスが何を言うのか”という意識でしょう」 

 

 また、寺脇氏は「本命・岸田、対抗・林」と見ているという。 

 

「本来なら本命は野田さんです。消費増税を行なった実績がある。しかし、ここにきて消費減税を公約してしまった。事情はあるにせよ、一度減税を掲げた政治家が総理になって増税を言えば世論はついていかない。増税の実現は難しい。 

 

 その点、岸田前首相は財務省から見て使いやすい安全な総理という扱い。これまで財務省がコントロールしてきた実績がある。対抗はやはり扱いやすい増税派の林官房長官か加藤財務相と見ています」 

 

 それに対して前出の長谷川氏は、“大穴”の進次郎氏を本命に挙げた。 

 

「財務省が進次郎に期待しているのは、使いやすいからです。吹き込めばその通りに動く。増税をやらせるには支持率がある程度高くなければならない。そのために財務省は進次郎を改革派の総理としてアピールする演出を行なうのではないか。財務省にとって関係ない農水省の権益や利権を進次郎にぶっ壊させる。そうして支持率を高くして増税に進ませる。財務省の後ろ盾を得た進次郎が総理になればその時点で勝負はつく」 

 

 藤井氏も「進次郎首相」で大連立の可能性を指摘する。 

 

「進次郎氏が本命と考えられるのは、言うことを聞いてくれる政治家だと財務省が考えているから。進次郎氏は財務省のレクチャーを受けますが、独自のブレーンもいる。財務省はそのブレーンにもアプローチしてコントロールするのが得意です。その進次郎氏を首相にして自公に立憲民主が閣外協力する枠組みで社会保障改革を掲げ、消費増税に向かうと予測している」 

 

 他にも「本命・進次郎」を挙げた識者は多く、6位の進次郎氏までが総理になった場合、参院選後に「増税確定路線になる」と言えそうだ。 

 

 荻原氏は、そうした財務省主導で総理が選ばれる日本の政治のおかしさをこう指摘する。 

 

「石破首相に消費減税を『お金持ちほど恩恵がある』と言わせたのはおそらく財務省でしょう。お金持ちのほうがモノを多く買うから、消費税を多く払うという意味でしょうが、おかしい。消費税には逆進性があり、税率が上がれば貧しい人のほうが痛みが大きい。そのことを財務省がわかっていないはずがないので、変な理屈で総理を洗脳している。財務省がポスト石破を選べば、次の総理にも変な洗脳をして増税させようとするはず。これでは何度選挙をやっても政治は変わりません」 

 

 それが国民を豊かにできない日本の政治の病巣なのである。 

 

 関連記事《参院選後の増税路線に向けて、財務省が待望する「ポスト石破総理」ランキング 2位は再登板の岸田氏、6位は進次郎氏、最下位は高市早苗氏、1位は…“増税推進度”“財務省依存度”を採点》では、有識者5人の採点をもとに、参院後の増税シナリオのために財務省が待望する「ポスト石破総理」をランキング形式で紹介している。 

 

※週刊ポスト2025年7月18・25日号 

 

 

 
 

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