( 307974 )  2025/07/16 06:58:07  
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Appleの『Apple Watch』のCMが、ヘビーメタルのファンの間で論争を引き起こしている。

このCMでは、心臓の健康を支援する機能を持つApple Watchが登場し、心臓手術を受けた男性を紹介しているが、「ヘビメタが生きがいです」という冒頭の言葉が一部のメタルファンには不快感を与えた。

彼らは「ヘビメタ」という言葉を蔑称と考えており、より正確な表現が好まれるため、CMの内容に違和感を持った。

過去にも「ヘビメタ」という表現に反発する事例があり、メタルファン層の複雑な文化が影響していることが分かる。

Appleの広告担当者は、テレビCMでは不特定多数を対象にするため、受け取り方に差が出る表現は適切ではないと指摘している。

(要約)

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「Apple Watchが命を救うこともある」ということを伝えたかったのだろうが…(Apple JapanのYouTubeより) 

 

 Apple社の『Apple Watch』のCMが、一部のヘビーメタルファンのあいだで波紋を呼んでいる。6月頃から放送されている「心臓からのメッセージ」という内容のCMだ。Apple Watchには心臓の健康をサポートする機能が搭載されており、この機能によって発症の早期段階で手術を受けることができた男性を紹介しているが、メタルファンが引っかかったのは、CM冒頭で流れる男性の「ヘビメタが生きがいです」という独白だ。 

 

「一般的には“ヘビメタ=ヘビーメタルを略したもの”という認識かもしれませんが、一部のメタルファンにとって“ヘビメタ”は蔑称です。感覚としては、鉄道ファンやアニメファンのことを鉄オタ、アニオタと呼ぶのに近いイメージ。しかもCMに登場するのは、メタルが一大ブームだった1990年前後をリアルタイムで知る世代の男性です。その世代で、“生きがい”というほどメタル好きの人が『ヘビメタ』という単語を使うのは、なかなかのレアケースでしょう」(メタルシーンに詳しい音楽ライター) 

 

 当人がヘビーメタルを何と略そうが、それは個人の自由だ。しかし、Xを見ると、 

 

〈実際に好きな人はヘビメタとはいわない〉 

〈メタル生きがいのひとは「ヘビメタ」という言い方は絶対しないと思う。絶対、ですよ。〉 

〈本当に好きならヘヴィメタルかメタルのどっちかで、ヘビメタなんて言葉は絶対使わないと思うのでとっても変〉 

 

と、違和感を覚えた人は少なくないことがうかがえる。このヘビメタ=蔑称論争は、界隈ではおなじみのネタだという。 

 

「昨年5月、落語家の月亭方正がXでラウドネス(日本のメタルバンド)のライブに行ったことを報告した際、『ヘビメタ』という単語を使ったことで、一部のメタルファンが敏感に反応。“ヘビメタはアリかナシか”で熱い論争になりました。 

 

 なぜ、一部のメタルファンがそこまで“ヘビメタ”という単語を毛嫌いするのかというと、1980年代の人気番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)で、一部のバンドが面白おかしく取り上げられたことも影響しているでしょう。番組には、髪を立てて化粧をした日本のバンドが登場しましたが、当時の欧米のトップシーンにいたバンドとは音楽的にもファッション的にも乖離していたため、ファン層はほとんど被っていませんでした。それゆえ、“ヘビメタはヘビーメタルではない”という禅問答のような現象が発生したのです」(同前) 

 

 

 CMには「実際にあったApple Watch」という表記があり、CMに登場した男性が取材を受けたネット記事も確認されるため、その内容がフィクションではないことがうかがえる。繰り返しになるが、自分の好きな音楽ジャンルをどう呼称しどう略すかは当人の自由だ。それでも広告関係者は、このCMに対する違和感を拭えないという。 

 

「テレビCMは、不特定多数の幅広い層を対象に商品を宣伝するもの。そういった場において、人によって受け止め方に差が生じる表現を用いるのは適切とはいえないでしょう。ちなみにApple製品のCMには炎上の“前科”があります。同社は昨年5月、巨大なプレス機で楽器、本、カメラ、おもちゃなどを押し潰した後に、プレス機から新型 iPad が現れるCMを公開したところ、“モノ作りをするメーカーとは思えない”と批判が殺到。謝罪を余儀なくされました。破壊CMしかり、今回のヘビメタしかり、無神経な印象を持つ人は少なくないのでは」 

 

 もっとも、Appleとメタルの関係について前出のライターは指摘する。 

 

「Appleは2019年、iPhoneのCMでMEGADETHの『Last Rites/Loved To Deth』という曲を使用しています。MEGADETHはアルバム累計約4000万枚を売り上げたビッグバンドですが、『Last Rites/Loved To Deth』はライブで30年以上演奏されていないマニアックな曲。コアなファンでなければ知らない曲で、メタルに理解があると思いたい。まあ、“たまたま”だったのかもしれませんが……」 

 

 メタルファンの違和感には複雑な歴史が重なっているようだ。 

 

※なお、マネーポストWEBでも【ブームから35年「ヘビメタ」の現在地】という記事を公開(2024年10月)していましたが、今回の記事の指摘を受けて、【ブームから35年「ヘビーメタル」の現在地】とタイトルを修正いたしました。一部で不快な思いをされたメタルファンの方にお詫びいたします。 

 

 

 
 

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