( 308244 )  2025/07/17 07:09:59  
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参院選の投開票日が迫る中、各党は物価高対策として「給付」と「減税」を提唱していますが、その財源に関する懸念が金融市場で広がっています。

多くの政党が巨額の財政支出を予定しており、これが国債の発行増につながる可能性が示唆されています。

与党は国債に頼らない方針ですが、選挙結果次第では野党の政策を取り入れざるを得ない状況にあるため、国債の価値低下が警戒されています。

このまま信頼が失われると、日本の経済活動にも悪影響を及ぼし、物価高を一層深刻にするおそれがあると専門家が警告しています。

(要約)

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参院選の投開票日まであと4日です。各党が物価高対策で訴えている『給付と減税』。どの政策でも巨額の財政出動になるなか、実はいま、金融市場で異例の動きが広がっています。 

 

■各党の物価高対策 金融市場に“黄色信号” 

 

井上貴博キャスター: 

各党の物価高対策に、金融市場では早くも黄色信号が出ているようです。 

 

取材した中でわかった8党の物価高対策の財源です。 

 

【各党の物価高対策】 

自民:3兆円台半ば 

公明:3兆円台半ば 

立憲:年5兆円+2.5兆円 

維新:年5兆円 

共産:年15兆円 

国民:年15兆円 

れいわ:年30兆円+12兆円程度 

参政:年30兆円 

 

個人的には、選挙のたびにお金を配るのはどうなんだろうと疑問に思いますが、では、そのお金をどこから捻出するのかといった話になります。 

 

TBS報道局経済部 財務省担当 出野陽佳 記者: 

問題になるのは「財源」です。財源が不足してしまうと、国債発行(借金)が増えてしまうのではないかという懸念があります。 

 

各党によってかかる財源にやや開きはありますが、政党によってそれをどうやって調達するかという考え方も様々です。 

 

例えば、与党のように国債(借金)には頼らず、税収が増えた分などを上手に活用して賄うといった考え方の政党や、国債発行(借金)をしてでも「給付」や「減税」といった政策が必要といった考え方の政党もあります。 

 

「国債発行(借金)が増えるのではないか」という心配は、今の選挙の情勢に実は大きく絡んでいて、与党にとっては非常に厳しい選挙の情勢になっています。 

 

いくら与党が「国債に頼らない」と言っていたとしても、与党の力だけでは法案が通らないといった世界になるかもしれないという懸念があるわけです。 

 

井上キャスター: 

数の原理で、与党だけでは通らなくなるということですね。 

 

出野記者: 

2024年末もそういった場面があったかと思いますが、そうなると、野党の掲げている「減税政策」や「給付」を一定程度飲み込まないといけない政治情勢になる恐れがあります。 

 

 

市場としてはそこを心配していて、「なんだかんだ借金が増えてしまうのでは?」という心配が今あるということなんです。 

 

■「日本の信用が下がると、さらなる物価高になるおそれも」 

 

井上キャスター: 

「赤字国債を発行しない」と与党が主張していても、選挙の結果次第では野党と組まなければいけなくなるため、野党案を飲まざるを得ないとなると、「やはり国債発行になるのでは?」といった話になるわけですね。 

 

今年度予算を見てみると… 

 

▼今年度予算(歳入):115.5兆円 

税金など:75.2% 

国債:24.8%(約29兆円) 

 

大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんは、日本の信用が下がると、「さらなる物価高になるおそれもある」と警鐘を鳴らしています。 

 

さらに金融市場では今、日本の国債が売られて価値が下がっているといいます。なぜ下がっているのでしょうか。 

 

金融市場は今、各党の「給付金」や「消費税減税」などで財政が悪化して、「国債の価値が下がるのではないか」「下がる前に売るべきなのではないか」と疑心暗鬼になっていて、国債が売られている状況だという事です。 

 

出野記者: 

借金をしようとすると国債がたくさん出てくるため、国債の価値は下がってしまうかもしれない。そうなってしまうと、「持ってても欲しくないし、新しいものも欲しくない」といった動きがあるため、価値や人気が下がってしまっているという状況が今あるわけです。 

 

井上キャスター: 

実際に証券会社ではどんな状況ですか? 

 

出野記者: 

国債をやり取りするディーリングルームに行きましたが、岡三証券の営業第一部長・伊藤顕司さんは「日本の格付け(信頼の度合い)がどんどん下がるようになってしまった時は、もう手遅れだ」と話していました。 

 

今すぐ財政破綻するというレベルではないにしても、黄色信号が出ている状況で、下がっていく状態に拍車がかかると、元に戻れないといった危機感があります。 

 

日本の信用度合いが下がるということは、日本にある企業の信用も海外から見ると下がってしまうおそれがあるわけです。 

 

 

例えば、「新しく何かサービスを打ち出したい」とか、「新しい機械を買って、何か新製品作りたい」と思った際に、お金が非常に借りにくくなります。 

 

私達の身近なところでいえば、今賃上げを頑張っていますが、その原資がなくなってしまったり減ってしまうといった恐れも出てくるかもしれません。 

 

井上キャスター: 

国の信用=お金の信用、そして企業の信用にも繋がっていくということですね。 

 

大和証券チーフエコノミストの末廣さんは、「日本への不信感から円が売られ、円安を原因とする物価高になるおそれもある」と話しています。 

 

「赤字国債はいくら刷ってもいいんだ」という考え方の人もいるかと思いますが、東尾さんはどういったことを感じていますか? 

 

タレント・プロゴルファー 東尾理子さん: 

今本当に物価が上がっている中で、私には子どもが3人いるので、子ども手当が入ってくると「ありがたいな」という気持ちにはなりますが、冷静にその財源を考えたときに、今だけを見据えるのではなく、先も見据えるべきだということも感じます。 

 

出水麻衣キャスター: 

子どもたちが大きくなった後の日本社会や日本経済がどうなっているかといった心配はありますよね。 

 

東尾さん: 

やはり人として信頼は大切だと思います。日本という国を大切に、そして自信を持って海外に出て行って欲しいといった気持ちもあります。 

 

井上キャスター: 

今の生活は大変ですが、長い目で見て、次の世代の生活をどう考えるのかですね。 

 

出野記者: 

もちろん財源や財政だけが全てではなく、必要な政策を打つ必要はあると思いますが、今の市場の警告にも耳を傾けると、より納得して色々な政党や政策を選ぶことができるのかなと思いました。 

 

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〈プロフィール〉 

出野陽佳 

TBS報道局経済部 財務省担当 

予算編成や税制改正など取材 

 

東尾理子さん 

タレント・プロゴルファー 

アメリカ・フロリダ大学卒業 3児の母 

不妊治療の経験を積極的に発信 

 

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