( 308529 )  2025/07/18 07:15:26  
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参院選を控え、野党が消費減税を掲げる中、債券市場では長期金利が上昇し、財政悪化への懸念が広がっている。

各野党は公約を維持する意向を示し、消費税の引き下げをはじめ、教育国債の発行や税制改革による財源確保を主な政策として訴えている。

一方、与党も追加財源が必要な公約を掲げている。

各党のリーダーは市場との対話を重視しつつ、経済政策の信頼を得ることの重要性を強調している。

(要約)

( 308531 )  2025/07/18 07:15:26  
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(ブルームバーグ): 20日投開票の参院選で消費減税などを掲げる野党の優勢が報じられ、債券市場では長期金利が上昇する場面があった。財政悪化を懸念した市場からの警告ともいえる動きだが、取材を申し込んだ複数の野党は、いずれも現時点で公約を変えるつもりはないと回答した。 

 

報道各社の情勢調査結果が報じられた15日の債券市場では、財源確保のための国債増発も念頭に新発10年国債利回りが2008年以来の高水準に達した。超長期も20年債は1999年11月以来の高水準に上昇、30年債は過去最高を更新した。与党も追加財源が必要な給付金を公約に盛り込んでいる。 

 

立憲民主党 

 

立民は最大2年間の食料品にかかる消費税率のゼロ%への引き下げを公約に掲げる。「次の内閣」でネクスト財務金融大臣の階猛衆院議員はブルームバーグの書面取材に対し、財源を確保した上で原則1年・最長2年の減税期間は法律に明記すると指摘。減税の恒久化や国債増発の可能性を否定した。「野党の財政運営への懸念は、わが党には無縁」と強調した。 

 

公約では格差を是正する税制改革による財源確保や成長力強化による税収増、予算の適切な配分・執行など歳出・歳入両面での改革により財政健全化を目指すとしている。外国為替資金特別会計(外為特会)の決算剰余金の全額を一般会計に繰り入れて財源をねん出する方針も示している。 

 

国民民主党 

 

国民民主党の玉木雄一郎代表は15日、都内で記者団の取材に応じ、同党が掲げる中長期的な成長戦略は、市場にも「安心していただける経済政策だと思っている」と述べた。金利上昇を受けて公約を変更する可能性はないとしつつ、「市場としっかり対話をしながら政策を決めていきたい」とも話した。 

 

国民は所得税や消費税の減税を公約に掲げ、「手取りを増やす」経済政策を打ち出す。「年収の壁」の178万円までの引き上げに必要な財源は税収増で確保すると主張。消費税は短期の経済政策として税率を一律5%に引き下げるとしており、国債発行などで穴埋めする方針だ。年間5兆円の「教育国債」を発行し、子育て、教育科学技術予算を倍増する政策も打ち出した。 

 

 

日本維新の会 

 

日本維新の会の吉村洋文代表は、金利の上昇は国債費の膨張を通じて財政の信認低下を引き起こす可能性があるとして「今後は一層慎重な経済財政運営が求められる」と述べた。「小さな統治機構、大きな民間経済」を実現することを通じて、市場の懸念を払しょくしていきたいとした。 

 

維新も食品について、消費税を2年間ゼロ(免税)とする措置で家計の負担を軽減すると訴える。教育の無償化も看板政策の一つだ。前原誠司共同代表はこれらの政策実現の財源として税収の上振れ部分と日本銀行が保有している上場投資信託(ETF)の活用を挙げている。 

 

参政党 

 

参政党は消費税の段階的廃止に加え、国債発行による積極財政で名目国内総生産(GDP)で年率4%の経済成長を実現すると主張する。政府の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は廃止。10万円の子育て教育給付金(0ー15歳)も掲げる。予算は教育国債の発行で賄う方針だ。 

 

神谷宗幣代表は、国の利払い費をGDP比でみれば他の先進国と比較しても依然低いと指摘した上で、足元の金利上昇は「過度に懸念する必要はないと考えている」と指摘。財政支出の拡大と減税で「経済を成長軌道に乗せていけば、長期金利の上昇が財政運営に大きな支障をもたらすことはない」との考えも示した。 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Akemi Terukina, Takashi Umekawa 

 

 

 
 

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