( 310014 )  2025/07/23 06:49:16  
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物価高や手取りの減少により、新車を買うことが難しくなってきた中で、ドライバーたちは現在の愛車をできるだけ長く乗ることを望んでいる。

このため、20万kmや30万kmの走行を目指すための実践的なメンテナンステクニックが求められている。

特に重要なのは、エンジンオイルの定期的な交換や冷却水の管理、足回りのチェックなどであり、これにより車の寿命を延ばすことができる。

また、運転時には急ハンドルや急加速を避けることなどが推奨される。

メンテナンスを怠らず、異音に注意を払うことで、愛車との長い付き合いを実現することができる。

日々の小さなケアが、賢いカーライフの鍵である。

(要約)

( 310016 )  2025/07/23 06:49:16  
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 「物価高や手取りが減ってクルマの買い替えなんて無理…」そんな声が増えています。今ある愛車を少しでも長く乗りたいと願うドライバーのために、20万km、30万kmを目指すための実践的メンテナンステクニックを専門家の視点とともに解説。10万kmは通過点。いま求められる"賢い乗り方"とは? 

 

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock 

 

 物価高、手取り減、税負担増…。新車を気軽に買える時代ではなくなってきた昨今、カーライフにおける価値観も大きく変わりつつあります。「1台を大切に長く乗る」。これは節約という観点だけでなく、クルマを愛する者にとってもごく自然な選択肢です。 

 

 国産車の基本設計はかつて10万kmが目安とされていましたが、今や30万km以上走るユーザーも珍しくありません。では、どのような心構えと手入れが必要なのかを具体的に紹介します。 

 

 エンジンオイルは「エンジンの血液」と呼ばれるほど重要な要素です。交換を怠れば、スラッジ(汚れ)が溜まり潤滑不良を起こし、エンジンの摩耗や焼き付きのリスクが跳ね上がります。 

 

 推奨される交換時期は「5000kmまたは半年ごと」が一般的ですが、20万km超えを狙うなら3000〜4000kmごとの早めの交換が理想です。また、冷却水(LLC)も劣化すれば冷却性能が落ち、オーバーヒートを招きます。これも2〜3年ごとの交換を意識したいところです。 

 

 ハイブリッド車やディーゼル車では、専用オイルの使用も重要です。必ずメーカー指定のグレード・粘度を守ることが長寿命の第一歩です。 

 

 特に酷暑日には注意が必要です。夏は渋滞ノロノロ運転をなるべく避けエンジンオイルの劣化と冷却水をチェックしてほうがいいでしょう。 

 

 エンジンオイル/エンジンの温度がただでさえ高まりがちな日本の夏。温暖化の進行のせいで、気温が30度以上を真夏日、35度以上を猛暑日、40度以上を酷暑日と呼ばれ、クルマにとっても人間にとっても苛酷な日がひと昔より増えています。 

 

 暑さのなか、渋滞のノロノロ運転という状況はオイルへの負担が確実に増す。酷暑日に渋滞やストップ&ゴーの多い街中での走行の場合、エンジン内部で水蒸気が起き、その水蒸気は油温が上がらないと蒸発せずにエンジン内部に残るため、エンジンオイルの劣化を早めることになります。 

 

 こうしたシビアコンディションの場合、エンジンオイルの交換サイクルは、通常が1年または1万kmの場合、半年または5000kmとなるのだ。つまり、通常の半分の期間、走行距離で交換必須となります。 

 

 冷却水/性能向上が著しい近年のクルマはオーバーヒートを起こし難くなっています。しかも、8年間交換不要の超・長寿命なスーパーLLCの普及によって冷却水もメンテナンスフリー化しつつあります。 

 

 初年度登録から7年以上経過しているクルマなら、出かける前にはクーラントの量と色、濁りなどをチェックすることも防衛策。渋滞中も時々は水温計や警告灯などに異常がないか、メーターで確認すべきでしょう。冷却系のほったらかしもクルマの寿命を短くするNG行為です。 

 

 普段から充電量が不足気味だったバッテリーに関しても、真夏の渋滞で発電量不足によってダウンしてしまう、というのが真夏のバッテリー上がりの大きな原因となっているので忘れないように注意してほしいですね。 

 

 

 10万kmを超えたクルマでは、エンジンや足回りのゴム部品が劣化し始めるのが通例です。ブッシュがヘタれば異音やハンドリング不良の原因に。ホースのひび割れやベルトの摩耗もトラブルのもとになります。 

 

 そこで、チェックすべきポイントは以下の通りです。 

 

・ファンベルト・クーラーベルトのひび割れ 

・冷却水ホースの柔軟性低下 

・サスペンションのブッシュやスタビライザーリンクの遊び 

 

 これらは走行性能や安全性にも影響するため、車検や定期点検での確認を強くおすすめします。 

 

 新車購入後、5万〜7万kmあたりを過ぎたあたりから乗り心地が悪くなり、ヤレがみえてきます。乗り心地を復活させたい場合、サスペンションのリフレッシュ、ダンパーばかりに意識が集まりがちですが、アッパーマウントやサスペンションの各種ブッシュ、ロアアームブッシュといったゴム類を交換するのもおススメです。 

 

 新車時の引き締まった、しなやかな感覚が、サスペンションを交換しても、この感じが元に戻らないのはゴム製品のブッシュ類が痛んでいるためです。 

 

 足回りのアーム類の付け根はゴムマウントでできていて(特殊な車両を除く)、このゴムの部分が硬くなったりひび割れたり、動かなかったり、動きすぎたりして調子が悪くなるので、ブッシュを交換するとこれが一気に蘇るというわけだ。人間でいうと関節をイメージしてもらえばわかりやすいかもしれない。 

 

 費用の参考までにコンパクトカークラスだと、アッパーマウントは4000円前後、純正ダンパーはフロント1本1万8000円前後、リアは1本5000円前後といったところ。ディーラーで交換してもらう場合は工賃を含めて12万〜15万円くらいかかる。 

 

 ブッシュ類は数が多く、車種によって変わってくるため、一概には言えないが(NAロードスターは22個と多いことで有名)、フルブッシュ交換となると10万〜20万円(工賃のほうが高い)くらいはかかると見ておいたほうがいいだろう。ディーラーや足回り専門ショップに一度相談してみるとよいでしょう。 

 

 

  

●クルマ止めに勢いよく停めない 

●Pレンジだけで停まらずパーキングブレーキをしっかりかける 

 

 ありがちなのは駐車場にクルマを停める際、勢いよくタイヤをぶつけてしまうこと。この行為はタイヤに凹みができてしまうほか、タイヤとつながっているサスペンションにもダメージが蓄積されてしまいます。 

 

 クルマを駐車する際は、一度クルマ止めにゆっくりとタイヤを当てたあと、少しだけ前進(前進駐車の場合は後退)して、クルマ止めからわずかに離すように止めるといいでしょう。これだけで、足回りにかかる余計な負荷を減らすことができます。 

 

 案外多いのが、パーキングブレーキをせずにPレンジだけに頼った駐車。もちろん、Pレンジのギアが噛めば、それ以上クルマが動くことはないが、ギアの噛み込みでクルマを停めている以上、外部から大きな力がかかった場合の破損や噛み込みが外れるリスクがないとは言い切れません。 

 

 また勾配がある場所にPレンジで駐車すると、再始動時にギアチェンジをしにくい場合があります。これは勾配によってPレンジのギアに負荷がかかっている状態で、駆動系ダメージが蓄積させることになります。 

 

 ●急ハンドル、急発進、急ブレーキをしない 

●先読み運転をして不必要なアクセル操作、ブレーキ操作をしない 

●なるべくトラクションをタイヤにかけずにやさしく走り出す 

 

 走行中は急ハンドル、急発進、急ブレーキなどクルマの重い負担がかかる「急」の付く運転は避けたいですね。例えば急ブレーキをしない運転。具体的には、速度や場所など走行環境によって変わるが前車との車間距離を充分に開けることが必要です。 

 

 例えば先の20〜30m先の信号が黄色から赤になるなど、先読み運転ができる場合には、ブレーキは弱く踏み、惰性走行(クリープ現象)を増やすこと。ちなみにこのクリープ現象を使った発進することで約10%も燃費がよくなるという測定結果も出ています(一般財団法人省エネルギーセンター)。 

 

 ちなみにATやCVTの場合では、BボタンやLポジションがあります、これは平坦な道で頻繁に入れるものではなく、急な下り坂や強いエンジンブレーキが必要な時に使用するものです。 

 

 しかし、ブレーキパッドがもったいないからといって、あまりブレーキを踏まないのは衝突に直結することなので厳禁。先読み運転をすることで、必要以上にアクセルを踏まず、ブレーキ操作も最小限にすることでブレーキパッドやローターを長持ちさせることにつながります。 

 

 そのほか、トラクションをかけすぎないこと。特に停止状態から走りだす時、なるべく優しく走り出すように心がけましょう。これをやるだけで駆動輪の摩耗をかなり抑えることができます。特に後輪駆動のハイパワーモデルは顕著です。 

 

 交差点内でアクセルを踏みながら曲がると、前輪の外側(ショルダー部)が摩耗してしまいます。このような場合、交差点や路地でスピードを落とし過ぎ、再びアクセルを踏んでしまう状況で発生しまう場合が多いようです。高速道路のコーナー、進入や出口など中高速で旋回するような状況でもなるべくトラクションをかけずタイヤに優しい運転することを心がけましょう。 

 

 

 ユーザー自身の目視・感覚による点検も重要ですが、プロの整備士による予防整備が何より効果的です。ディーラーや整備工場での診断機チェック、バッテリーやECUの状態確認などを通じ、思わぬトラブルを未然に防ぎましょう。 

 

 10万kmを通過点に15万km、20万km、30万kmと乗り続けたいと思っているなら、定期点検はもちろん、エンジンオイル、オイルフィルターを走行距離や期間に応じて交換すること。 

 

 またバッテリーやタイミングベルトやウォーターポンプといった重要部品をメーカーが推奨する時期に交換することが大切。タイヤの定期的な交換や空気圧のチェック、サスペンションやブレーキの点検、特にブレーキパッドやディスクの摩耗にも注意が必要です。 

 

 ディーラーまたは整備工場任せの人が多いと思うが、少なくともブレーキローターから出されているキーキー音など、愛車が発している異常音には耳を傾けてほしいですね。エンジンからの異音や振動音、ブレーキパッド&ローターのキーキー音、ゴムブッシュや足回り、タイヤからのゴトゴト、ゴツゴツ音などがそれだ。 

 

 異常音を感じたらなるべく早くディーラーや整備工場に持ち込むことで、大きなトラブルになる前に修理ができるからだ。音がしているけど、大丈夫だろう、そのうち止むなどと思わず、早め早めに対策を講じたいところです。 

 

 物価高でなかなか新車を買うことができなくなりました。しかも新車価格が上昇し、維持費も無視できない時代になりました。10年10万kmはもはや普通であり、20万km以上乗りたいと考えるドライバーは確実に増えています。 

 

 そこで大切なのが、日々の小さなメンテナンスの積み重ねです。部品の交換サイクルを把握し、消耗品をケチらず手を入れる。それが愛車との長い付き合いを可能にする最大のポイントといえるでしょう。壊れてから直すのではなく、壊れる前に防ぐ。これこそが、今後の賢いカーライフの鍵です。 

 

 

 
 

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