( 311009 )  2025/07/27 04:53:37  
00

参院選での新たに登場した「参政党」は、特に若年層や政治に関心が薄かった層を惹きつけ、多くの支持を得る結果となった。

特筆すべきは、新宿・歌舞伎町のホストたちがSNSを通じて支持を表明したこと。

この背景には、コロナ禍での自民党や立憲民主党の政策に対する不満がある。

投票率が58.51%に達したことは歓迎されるべきか疑問視されており、政治的知識の乏しい人々の投票が問題視されている。

他国でも極右勢力の台頭が見られ、参政党は今後の法律成立にも影響を及ぼす可能性があるが、経験の少ない議員の混入が懸念材料とされている。

神谷代表は、新たな責任の重圧を感じつつも前進を誓っている。

 

 

(要約)

( 311011 )  2025/07/27 04:53:37  
00

神谷宗幣代表 

 

【前後編の後編/前編からの続き】 

 

 SNSをあまり利用しない人にとっては、怪談のような結果だったのではあるまいか。7月20日に投開票を迎えた参院選で、破竹の勢いだった参政党。“日本人ファースト”を掲げ、過激な発言で話題を振りまく彼らに熱狂した日本人の、異常なひと夏の光景に迫る。 

 

 *** 

 

 前編【「〈大東亜戦争のように戦い抜く〉発言で保守層にアピール」 参政党が人々を熱狂させた“本当の理由” 「玉木型と石丸型のハイブリッド」】では、参政党が人々の心をつかんだ理由について報じた。 

 

 今回の参院選では、参政党に応援団も現れた。新宿・歌舞伎町のホストたちである。 

 

「ある有名ホストのグループが、SNSで“参政党支持”を高らかに宣言したのです。神谷代表は街頭演説でこのことに満足そうに触れていました。さらに、参政党を支持するホストが“投票済証明書が初回無料引換券に”とSNSに投稿すると、さや氏は“感謝でいっぱいです!!”とリアクション。さすがに公選法に抵触すると思ったのか、すぐに謝罪していました」(政治部デスク) 

 

 ホストたちの意外な政治参加だが、 

 

「参政党を支持しているホストに共通するのは、長年の政治不信に加え、コロナ禍で夜の街を封鎖した自民党と、風営法改正を主導した立憲民主党に絶望している点です」 

 

 とは、歌舞伎町に詳しいライターの佐々木チワワ氏である。 

 

「“神谷さんの動画を見て、熱量が心に響いた!”と言うホストもいました。“周りが参政党推しだから、自分も”という人も多いですね。神谷さんや候補者が自分たちのSNSに反応してくれたことで、承認欲求が満たされもしたのでしょう」(同) 

 

 SNSを通じて突如政治に目覚めた層が投票所に赴いたからだろう。今回の投票率は58.51%と、参院選では15年ぶりに50%台後半に達した。が、果たして喜ぶべきことなのか。 

 

「普通に考えれば、お金の知識のない人が株などのうまい投資話に手を出すと失敗します。同様に、政治の知識のない人が投票すれば、失敗するのが当然ではないでしょうか」 

 

 そう指摘するのは、『みんな政治でバカになる』の著者で文筆家の綿野恵太氏。 

 

「人間には無意識の思考の癖があり、それを認知バイアスと呼びます。これは知能の高低にかかわらず、誰でも持っている。特に強固なのは“内集団バイアス”という、自分と仲間だと思った人を優先する傾向で、政治的にはナショナリズムとして表れる。内集団バイアスに影響された政治ファンは、サッカーのフーリガンや狂信的な野球ファンのようなもの。都合の良い情報しか集めなくなり、都合の悪い情報は無視します。こうなると“陰謀論はおかしいですよ”と言ってもほぼ通じません」 

 

 

 加えて、こうも言う。 

 

「どこの先進諸国でも、政治的な無知が問題になっています。この政治的無知と認知バイアスで“バカの二乗”に陥っているのが現状でしょう」(綿野氏) 

 

 参政党のような不気味な極右勢力の台頭は、日本に限らない。トランプ大統領のアメリカはもちろん、 

 

「イギリスでは地方選挙において極右政党の『リフォームUK』が勢力を伸ばし、ドイツでも極右政党の『ドイツのための選択肢』が第2党となっています」(JX通信社の米重克洋代表) 

 

 というから、世界共通の悩みのタネといえる。 

 

 さて、11議席以上を確保したことで、予算なしの法案を提出できるようになった参政党。今後、どのような展開が予想されるのか。 

 

 政治アナリストの伊藤惇夫氏が語る。 

 

「自公の連立政権が連立拡大に動かず、衆議院、参議院ともに少数与党のままでいくとなると、野党の賛同を得なければ法律が一本も成立しないことになります。すると、自公からすれば参政党との政策協議についても、まったく拒否する、というわけにはいかなくなる。ただ、参政党の衆議院の議席が3と少ないので、政策協議の優先順位でいえばかなり低いでしょうね」 

 

 また、選挙前と違って、無責任なことばかりも言っていられない。 

 

「これほど注目を浴びている政党ですから、これからは今までの発言や素っ頓狂な憲法草案などがメディアを通じて徹底的に検証されます。そのとき、今のような勢いを維持できるのか、微妙な気がします。維新の会も国政に出てきたときはものすごく元気がよかったですが、今やすっかり失速していますからね。しかし、参政党は地方組織がしっかりしていて、支部が約300あり、地方議員が約150人もいるので、突然舞い降りた落下傘のような政党ではありませんが」(同) 

 

 もっとも、今回当選した議員のほとんどは地方議員の経験さえない。 

 

「ある意味で、政治についてまったくの素人が交じっている政党で、中には社会人としての常識があるかどうかも分からない人たちがいます。ちなみに、私の友人が調べたところ、公選法違反、政治資金規正法違反、パワハラやセクハラなどのスキャンダル発生率が、維新の議員はとても高くて7%でした。つまり、にわかに拡大した政党はスキャンダルを起こす可能性が高く、政治家経験のない議員が多いのはリスクでもある。彼らが国会でどのような化学反応を起こすかは、まだ分かりません」(伊藤氏) 

 

 参政党関係者が言う。 

 

「大勝利から一夜明けた21日、神谷代表は有料でファンに向けて毎日更新しているブログに、〈記者会見でも笑顔がないと指摘されましたが、今後起こりうるトラブルや攻撃に備えたり、受けた期待に応える責任を考えると、とても笑ってはいられません〉とつづっています」 

 

 では、参政党に熱狂した日本人は笑っているだろうか。あるいは、今頃青ざめて……。 

 

 前編【「〈大東亜戦争のように戦い抜く〉発言で保守層にアピール」 参政党が人々を熱狂させた“本当の理由” 「玉木型と石丸型のハイブリッド」】では、参政党が人々の心をつかんだ理由について報じた。 

 

「週刊新潮」2025年7月31日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

IMAGE