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竹中平蔵氏と林尚弘氏の対談では、石破茂政権の2万円給付案が「手抜き」と批判された。

また、農業の構造改革について、米の生産調整や株式会社の農地所有を推進すべきだとの意見が述べられ、既得権益に抵抗がある現状が指摘された。

林氏はベーシックインカムを導入し、政府の役割を縮小することで減税が可能だとする一方で、竹中氏は政府の規模を政党間で競わせるべきだと述べた。

さらに、政治資金の透明性や農業改革の必要性についての議論も交わされた。

最終的には、デジタル歳入庁の設立と東京の直轄地化の提案が盛り込まれた。

 

 

(要約)

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竹中平蔵氏 林尚弘氏 

 

 石破茂政権の2万円給付案を「目的がわからない究極の手抜き」とバッサリ斬るのは、かつて小泉純一郎政権で構造改革を断行した経済学者・竹中平蔵氏だ。なぜ日本は何十年も成長できず、おかしな政策ばかりが続くのか? 竹中氏と『令和の虎』2代目主宰の林尚弘氏が、日本の未来をめぐり本音トークを炸裂させた。短期連載全4回の第3回。(対談日:6月24日) 

 

竹中: そこで進次郎さんが出てきて、「いや、それはおかしいだろう。米の値段を下げるためにやってるんだから、もっと低い価格で随時契約をして、消費者に近いスーパーとかコンビニに出しましょう」と。やっていることは極めて普通のことです。 

 

 問題はその先、農政の構造改革に本当に行けるかどうか。これを行かせたくない人がたくさんいるから、今、彼に茶々を入れている人がいる。その構造的な改革を小泉さんにやらせる意思が石破さんにあるのかどうか。私は、参院選の後の内閣改造で、小泉進次郎さんを続投させるのかどうするのか、一番注目しています。 

 

――先生は続投させるべきだと? 

 

竹中: 私は続投させて、思い切って構造改革をやってほしいですね。その代わり自民党内はおそらく大変なことになりますけど。 

 

――農政の構造改革とは、具体的にどのようなことでしょうか。 

 

竹中: 大きく二つあります。一つは、米の生産調整、いわゆる「減反政策」を完全にやめること。もう一つは、生産性を上げるために、株式会社が農地を所有できるようにすることです。これに加えて、農協の事実上の独占をなくすことなども含まれます。これをやられたら困る既得権益者が、農村部にはたくさんいるわけです。 

 

――株式会社として農業に参入したいという需要は、実際にあるのでしょうか? 

 

竹中: もちろんありますよ。日本の農産物のクオリティはすごく高いし、世界的に食料が不足しているんだから、輸出の余地もあるし、これは成長産業です。やりたい、資本は出すという人はたくさんいます。 

 

 

林: 農業を自由化するとかしないとか、米の値段が高いとか高くないとか、そういうことに政府が介入していたら、政府の役割が大きくなって大変で、今ぐらい税金がかかっちゃうのかなって思うんです。基本的にベーシックインカムで配って、あとは民間によろしくって言って、小さな政府にして役割を縮小したら、僕は減税できる気がするんですけど。ベーシックインカムになっても、結局今ぐらいの官僚機構や政府のサイズは必要なんですかね? 

 

竹中: 今は「これにはお金を出す、これには出さない」という裁量があるでしょう。その裁量に族議員も官僚も群がってくるわけですが、ベーシックインカムにすればそういうのはいらなくなります。ものすごくオープンでフェアになりますよね。 

 

林: 今って「こういう条件を満たしていたらこういう補助金を出す」とか言って、そこでチェックする官僚がいるし、仲介手数料みたいなものがかかっちゃう。今減税するにしても、これだけ手厚い社会保障と行政サービスがあったら、これくらい税金がかかるのは仕方ない気もするんですが。 

 

竹中: それはベーシックインカムの額をどのくらいにするかで決まりますよね。すごく高くしたら増税になるかもしれない。試算では、一人当たり月6万円とか7万円ぐらいだったら、増税なしでできると言われています。その代わり、今あるものすごく複雑な補助金や税制は全部フラットにしてしまう。 

 

林: ベーシックインカムにすれば、政府の役割を縮小して歳出削減できる気がするんですけど、そのあたりはどうお考えですか? 

 

竹中: 私は、政府の規模をどうするかを各政党が競えばいいと思うんですよ。「政府の規模を小さくする」と言う政党と、「いや、政府がもっと社会保障の面倒を見ましょう」と言う政党が。 

 

林: イメージでは、自民党と立憲民主党は大きめですかね。 

 

竹中: はっきり言って、どの政党も大きい政府を目指していますね。 

 

林: え、維新もそうですか? 

 

竹中: 維新は「身を切る改革」と言ってますから、相対的には小さいかもしれませんけれども。ただ、客観的に見て、今は防衛費を増やさなきゃいけないし、量子コンピュータや半導体といった技術開発に補助金を出さなきゃいけない面もあるので、実はサッチャーやレーガンがやっていたときに比べて、政府の役割は大きくなるんですよ。それは覚悟しなきゃいけない。 

 

 

――先の都知事選では、自民党は議席をかなり減らしました。これはなぜだと思われますか? 

 

林: みんな減税してほしいというSNSのノリで行っちゃったんじゃないですか。だけど、僕も裏金は微妙ですよ。毎年ちゃんと確定申告して税金を払ってるのに、政治家だけ現金で持ってて「ないない」してたわけでしょ。これにはさすがに僕も怒りを覚えます。 

 

竹中: ただ、あの裏金の話は、すごく奥深い問題があるんです。政治資金のほとんどって非課税ですよね。 

 

 それで非課税でいいのか、というのが根本問題です。非課税だと認めるのであれば、あとは記載しているかどうか。記載しなかったのは悪いですよ。でも、後から記載して「すみませんでした」と直して、それは政治資金だということになってるので、これは裏金じゃないんですよ。 

 

林: 記載したってどうせ税金はかからないんだから、載っけようが載っけまいが一緒だったでしょ、みたいなことですよね。 

 

竹中: そういうことです。だからあれを「裏金」というのは間違ってる。「不記載」が正しい。不記載は良くないけど、裏金というのは言い過ぎです。 

 

 でも、「裏金」という言葉を一部のメディアが煽ったものだから、「俺たちは収奪されている」という怒りになって、給付にしろ減税にしろ「カネをよこせ」ということになっている。 

 

 この「収奪されてる感」をどうなくすかという真面目な議論がなされていないのが問題です。真面目な議論をすると、さっき申し上げた給付付き税額控除みたいな話になるんですけど、現状は「まあまあ、ごめんね」ということで2万円を出すとか、そんな話になっているわけです。 

 

林: 僕、将来総理大臣になりたいんですけど、どんな政策をやったらいいですかね。政党法を作ること、ベーシックインカムにして歳出削減すること、あとは労働市場改革。ストレートに言うと、お金はあげるから自由に解雇させてくださいと。そしたらめっちゃ採用しやすくなるんで。官僚とかの数も減らすから、大概何でも自由化になるかな。あと農業も株式会社OKにするとか。そういうのをやったら大変なことになりますか? 

 

竹中: まさに日本のイーロン・マスクですよね。イーロン・マスクもそういう発想で、もっと政府は小さくできると考えて、トランプ大統領に近づきました。日本のイーロン・マスクになればいいじゃないですか。 

 

 

林: いや、イーロン・マスクほどお金はないんで(笑)。総理大臣になったら、他に重要な政策ってありますか? 

 

竹中: まず、ベーシックインカムや給付付き税額控除をやる前提として、国税庁と年金機構を統合して「デジタル歳入庁」を作る。 

 

林: デジタル歳入庁! 最高、やりたい。マイナンバーも超推進派です。 

 

竹中: それと、私は東京を政府直轄地にしてほしいんですよ。 

 

林: なるほど。「最後の東京都知事」に。じゃあ次回それで出ようかな。 

 

竹中: 北京や上海は直轄地ですし、ワシントンDCもそういう性格を持っている。日本も東京をそうすれば、東京都知事はいらなくなって「東京担当大臣」を置くことになります。 

 

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