( 311839 )  2025/07/30 05:53:34  
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高速道路で追い越し車線を低速で走り続ける「右側居座りドライバー」は、道路交通法に違反し、あおり運転を引き起こす要因となります。

SNSではこのようなドライバーに対する不満が多く寄せられ、専門家も意見を述べています。

追い越し車線では後続車に進路を譲る義務があり、その義務を果たさないことで渋滞や事故のリスクが高まることが指摘されています。

また、違反を取り締まる基準が不明瞭であるため、問題が深刻化するとされています。

法律では追い越し車線を走行中は速やかに左車線に移ることが求められており、無用なパッシングやクラクションは避けるべきです。

安全を確保するためには、状況に応じた運転が必要であり、譲り合いの姿勢が重要です。

(要約)

( 311841 )  2025/07/30 05:53:34  
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 高速道路で追い越し車線を低速で走り続ける「右側居座りドライバー」。これは道路交通法違反(通行帯区分違反)に該当し、あおり運転の誘発要因にもなります。SNSでの声や専門家の意見を交え、パッシングや右ウインカーの是非、あおり運転防止法との関係について解説します。 

 

 文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock、トビラ写真(写真AC) 

 

 SNSでは、右側車線を譲らないドライバーへの不満が日々投稿されています。X(旧Twitter)ではこんな声が目立ちます。 

 

 コメント1:「追い越し車線に入るとしても追い越し車線を走っている速度も気にして入ってほしい。100km/hで追い越し車線を走っているのに80km/hとか遅い速度で来られると追い越し車線を走っている方はブレーキ踏んで減速しその後続車も影響を受けます。 追い越し車線に入る時は追い越し車線側の速度も気にして車線変更してほしいです」。 

 

 コメント2:「新東名の120km/h制限区間を頻繁に走りますが、こちらが追い越す寸前で追越車線に車線変更してくる(方向指示器も直前)大型トラックによく遭遇しますね。 こちらも前方の走行車線を大型トラックが車間狭めで走っているのを視認すると『来そうだな〜』と警戒はしていますが、速度差が結構あるので急ブレーキを踏まされ辟易とします。前を塞がれた後、時々ハザードで軽く謝意を表してくれるトラックドライバーさんがいらっしゃいますが、そういう意思が垣間見れるとこちらも『どうぞどうぞ?』とおおらかな気持ちになりますね」。 

 

 コメント3:「高速道路の追い越し車線をずっと100km/hで走っているドライバーのなかには『自分は法定速度一杯で走っているから譲る必要はない、追い越そうとするクルマの方が悪い』と思い込んでいる人もかなりいると思います。『自分より速いクルマが接近してきたら進路を譲らなければならない規則』があることも、自動車学校や免許更新の時にきちんと教えて欲しいです」。 

 

 コメント4:「警察の取締りにも問題があると思います。そもそも追い越しも制限速度内で追い越さなければならないのに、普通に速度出し過ぎなクルマもいます。かといって今の人達は車間距離を取らない人が多いのでなかなか走行車線には戻れない。首都高とかも普通に一番右側がそんなに空いてる感じもしないし。警察の取締りが曖昧過ぎるのが問題では……」。 

 

 ーSNSのコメントはいかがだったでしょうか?同感する部分も大いにありました。 

 

 最高速度100km/hの高速道路を追い越し車線を走っていて、後ろからクルマが来ても「これ以上スピード出したら違反になるから私が正しいから譲る必要もない」と思っている人、ほんとに多いと思います。やっと追い越し車線から左の走行車線に移っても、「え、何?私悪いことした?」と不思議そうな顔をしている方を何回か見たことあります。 

 

 コメント4の追い越し車線を走り続ける違反=通行帯違反にも問題があると思いますね。「通行帯違反」の取締りには、実はどれくらい追い越し車線を走り続けると違反になるのか、明確な距離や走行時間に関する基準はありません。 

 

 2以上追い越し車線を走り続けた場合に取り締まる場合や、1以内でも取り締まる事例もあり、そもそも取締りを行うかどうかは、警察官の判断に委ねられているため、明確な基準はないのが問題かもしれませんね。 

 

 

 高速道路の右側車線は道路交通法第20条により「追越しのための通行帯」と定められています。加えて、第27条では「後続車が追い越そうとしている場合は速やかに進路を譲る義務」があります。 

 

 これに反し、追い越しが終わった後も追い越し車線を走り続ける行為は通行帯区分違反となります。罰則は違反点数1点、反則金6000円(普通車)。 

 

 しかし金額の問題だけでなく、後続車の渋滞・ストレス・事故誘発につながる重大なリスクです。警察庁によれば、2023年の通行帯違反による検挙は約3万件。高速道路での秩序を守るうえで見逃せない違反です。 

 

 具体的に追い越し車線をどれくらいの時間走り続けると違反になるのか、ということについては、警察の取り締まりでは、その目安を2km程度としているようです。すなわち、高速道路を100km/hで走行している場合は、時間にして1分12秒追い越し車線を走り続けると取り締まりの対象となることになります。 

 

 繰り返しになりますが、法定速度で走っていると言い張っても、無駄です。追い越し車線を走り続けること自体が、違反なのです。 

 

 後続車が進路を譲ってほしいときに昔使っているのを見かけたパッシングや右ウインカーですが、いまではほとんどみかけることはありません。 

 

 警察庁は「短時間・軽度な点滅は意思表示として有効」としていますが、連続的・執拗な点滅や車間詰めはあおり運転防止法(妨害運転罪)の対象になり得ます。 

 

 2020年に施行された改正道路交通法(いわゆるあおり運転防止法)では、著しい接近や不必要なパッシング・クラクションなど10類型の妨害運転が新たに規定されました。居座りドライバーに対する過剰な抗議は、逆に自分が処罰対象になる危険があるのです。 

 

 国交省の啓発資料でも「追い越し後は速やかに左車線へ戻り、後続車が接近したら譲ること」と明記されており、意思表示をする側も安全な距離と方法を守る必要があります。 

 

 

 高速道路の追い越し車線を走行中、後続車から一度パッシングされたからといって、後続車に道を譲らなければいけない、というルールはありません。 

 

 しかし異常接近してきたドライバーは、前走車にもっと速く走ってほしい、走行車線に移ってほしいというという意思と、イライラした気持ちになっているのは間違いありません。 

 

 あまり火に油を注ぐようなことはせず、早く気付いて道を譲ったほうがいいでしょう。これをそのままスルーして追い越し車線を走り続けていくと、あおり運転につながる場合も多いので冷静に。 

 

 あおり運転が社会問題化している現在において、パッシングやクラクションで警告するのは避けるべき。安全なのは、走行車線側の空きのタイミングを見計らって走行車線から追い抜く方法です。 

 

 注意していただきたいのは、追い越し車線で前走車に追いついて、すぐに走行車線に移って、追い越しをしないこと。これは、左側からの追い越しと判断されて「追い越し違反(先行車両の左側からの追い越し)」となり、違反点数2点、反則金9000円が科せられます。 

 

 違反にならない方法は、追い越し車線から走行車線に移って、しばらく走行車線で様子を見て、追い越し車線のクルマが変わらずノロノロ運転しているのを確認して、そのまま走行車線で追い抜くこと、これは違反になりません。 

 

 ちょっとした違いですが、クルマが走行車線に移って前走車の前に出る「追い越し」でなく、車線を変えてある程度走行してから追い越し車線に戻ることで、クルマが進路を変えずに前走車の前に出る「追い抜き」となり、OKということです。 

 

 やはり問題なのは「自分が正しい」「後続車はスピード違反だ」と信じる居座り運転の危うさです。こうした心理的な優位感が譲らない理由になることも少なくありません。 

 

 もちろんこれはあおり運転を正当化するものではなく、何があってもあおり運転はいけません。読者のみなさんも、法的なルールと安全意識を意識し、譲り合いの運転を心がけていただきたいと思います。 

 

 

 
 

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