( 311926 ) 2025/07/30 07:23:27 0 00 自民党の両院議員懇談会で発言する森山裕幹事長(7月28日)
(ブルームバーグ): 自民党は党の重要事項を決定する権限のある両院議員総会を近日中に開催する。森山裕幹事長が29日の記者会見で明らかにした。参院選大敗で石破茂首相(党総裁)ら執行部の責任を問う声が噴出するのは必至だ。
森山氏は会見で、総会開催は党役員会の決断だと強調した。議題については開催を要求している議員が「何をそこで議論をされたいのか」について今後、協議するとした。具体的な日時は明らかにしなかった。
続投する方針の石破首相に対し、党内では退陣論が拡大している。党則では所属議員の3分の1以上の要求があれば総会を「招集すべきものとする」と規定。総会開催を求める署名活動を行っていた旧茂木派の笹川博義衆院議員らが、正式に要求する前に党執行部の判断で開催方針を決定し、主導権を確保するねらいがある。
ただ、総会では石破首相の交代を前提とした総裁選の前倒しを求める意見が出て、首相がさらに厳しい立場に追い込まれ可能性がある。
石破首相は29日午前、両院議員総会では自身の続投方針について「丁寧に説明をする、真摯(しんし)に説明をする、逃げずに説明をするということに尽きる」と述べた。官邸で記者団に語った。
朝日新聞の世論調査では、石破首相は辞める「必要はない」が、「辞めるべきだ」をやや上回る結果になった。日経新聞の調査では6割近くが短くとも26年春までの続投を求めた。毎日新聞の調査では、次の首相にふさわしい人でトップだったのは石破首相だった。25日夕には官邸前で「石破辞めるな」と訴える異例のデモも開催された。
首相の続投方針に関し、29日の閣議後会見では、閣僚から発言があった。林芳正官房長官は、「引き続き国政全般にわたって石破首相をしっかりと支えたい」との考えを示した。加藤勝信財務相は、参院選結果を受け止めた、政策面などで「直すべきものはしっかり直していかなければならない」と述べた。
政局は不透明に
石破首相の進退を巡る自民党内の対立激化で、政局は一層、不透明になっている。
石破政権と政策ごとの協議を行ってきた国民民主党の玉木雄一郎代表は29日の記者会見で、自民党内の情勢について「どのような形になるのか早く決めてもらわないと、政権とどのように向き合っていいのかも分からない」と注文を付けた。
一方、立憲民主党の小川淳也幹事長は同日の会見で、続投方針を示す石破首相について「非常に往生際が悪いこと自体が、大きな政治空白を生んでる」と批判した。
幹事長の去就
政局の混乱は市場関係者にとっても方向性が見えづらい展開となっている。
29日の債券相場は先物が小幅高となったが、アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、自民の両院議員総会開催となれば石破首相退任の動きが強まりかねず、「ポジションを取りづらい」と述べた。
首相を支える森山幹事長の去就も焦点だ。森山氏は28日、8月中に参院選総括の報告書をまとめた後、幹事長としての責任を明らかにすると述べ、辞任を示唆した。同氏は財政規律を重視する姿勢で知られ、消費減税には慎重だ。辞任で影響力を失えば自民の経済政策がより財政拡張的になる可能性がある。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、森山氏が辞任する場合、赤字国債増発につながることが意識されて超長期債が金利上昇に転じることが警戒されると指摘している。
29日の外国為替市場で円は1ドル=148円台で推移している。東京株式市場は下落した。
--取材協力:山中英典、梅川崇.
(c)2025 Bloomberg L.P.
Akemi Terukina, Takashi Hirokawa
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