( 312321 ) 2025/08/01 04:59:37 0 00 “石破おろし”の急先鋒とも言われている高市早苗氏(左)と石破茂首相
自民党内の権力争いが苛烈さを増している。
7月20日投開票の参院選で自民党は議席を大きく減らし、連立を組む公明党と合わせて過半数の125議席を割った。衆院に続く少数与党となり、今後の政権運営はイバラの道だ。
しかし、石破茂首相(68)は現時点で辞める気はなし。党内からは反発の声が上がり、退陣包囲網が形成されつつある。
「声高に叫んでいるのは、旧統一教会問題や裏金問題で冷や飯を食わされた議員や、故安倍晋三首相の子飼い議員、もしくは高市早苗氏(64)に総理になってもらいたい議員ばかり。彼らは『民意が……』と言っているが、結局のところ旧安倍グループによる権力奪還のための政争でしかない」(テレビ局報道部関係者)
このところメディア露出を増やしているのは、自民党の中曽根康隆青年局長(43)だ。
同氏は7月25日に森山裕幹事長(80)と面会し、参院選大敗の責任をとって石破首相ら党執行部の退陣を求める申し入れ書を提出した。中曽根氏は
「可能な限り早く自ら責任をとることを求めた。自民党が終わることは国が終わるという危機感を持っている」
と訴えた。
「父は外務大臣や自民党参議院会長を務めた中曽根弘文氏で、祖父は内閣総理大臣を務めた“大勲位”中曽根康弘氏というサラブレッド。43歳とまだ若く、甘いマスクは小泉進次郎農相(44)や“コバホーク”こと小林鷹之氏(50)にも引けを取らない。ただ、彼も’23年11月に催された“ハレンチ懇親会”に参加し、青年局長代理(当時)を辞任。いわばスネに傷のある人物でもある」(全国紙政治担当記者)
石破首相は7月28日に開かれた両院懇親会でも続投を明言。森山幹事長は8月下旬の参院選総括を区切りに、幹事長辞任を匂わせている。
「とりあえず誰かが敗戦の責任を取らないといけないので、石破首相が辞めないのであれば、森山幹事長がということになった。ですが、彼がいなくなれば政権のレームダック化はさらに進む。言われているように、8月15日の終戦80年の『見解』発表後、森山幹事長とともに退陣を表明する可能性があると見る向きは多い」(同・全国紙記者)
一方で、旧安倍派が石破首相を引きずり降ろしたところで、自民党が息を吹き返すかは未知数だ。
例えば、一部メディアの「次の首相にふさわしい政治家」で一、二を争う高市早苗氏が自民党総裁になった場合、その後の首班指名において野党が団結する可能性があるという。
「ここで効いてくるのが、昨今の『石破辞めるな』デモ。参加者は自民党支持者ではなく、リベラル派の人が多い。参加者が懸念しているのは、高市総理誕生による日本の右傾化。あのデモは自民党よりも、野党に訴えかけるものだ。普段バラバラの野党だが、高市総裁になった場合に限り、まとまることも考えられる」(永田町関係者)
そうなれば、普段“通過儀礼”の首班指名選挙が与野党バチバチのバトルとなり、野党統一候補が勝利すれば政権交代、自民党はおよそ13年ぶりに下野することになる。
◆少数与党にふさわしい総理大臣となると
前出の永田町関係者は
「下野だけは避けたい自民党の重鎮は“高市リスク”に頭を悩ませている。それならば石破首相のままでもいいという声もちらほら出てきている」
と語る。
実はこうしたシナリオを事細かに分析しているのが、何を隠そう石破首相なのだという。
続投宣言も権力のイスにしがみついているわけではなく、“乗り切れる”とジャッジしているから。自身の勉強会にも石破首相を招いている政治評論家の有馬晴海氏は
「石破首相は“自分が代われば、もっと悪い自民党になる”という思いが強いと周辺から聞いています。衆参で少数与党である自公が国会運営を乗り切るためには、総理は自分しかいないと思っているのでしょう」
と話す。
昨年の衆院選、都議選、そして参院選と“自民3連敗”を喫した石破首相。これで内閣不信任案からの解散総選挙となれば、自民は壊滅状態になりそうだが……。
「近く解散総選挙になるのではとウワサされていますが、野党側の状況からして難しい。参院選の勢いで野党が党勢を拡大させるチャンスではありますが、議席を伸ばした国民民主党や参政党などは、候補者を立てることも難しい。衆院選は小選挙区制ですから、289の選挙区に候補者を立てるとなると、それなりの人材を集めなくてはならない。あと数ヵ月で候補者をそろえられるかといえばそれは難しく、野党が不信任案を出してくることはないと思っているのでしょう」(同・有馬氏)
直近の世論調査では石破首相の支持率上昇を示す結果も出始めている。経済界からもトランプ政権との関税交渉を「15%」にまとめた石破外交を評価する声も多い。
国民そっちのけで過熱する自民党内の権力争い。長引けば長引くほど、政治の空白化を招くことになる。いっそのこと下野したほうがこの国のためかもしれないが――。
FRIDAYデジタル
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