( 312525 )  2025/08/02 03:10:41  
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石破茂首相は、戦後80年の節目である終戦の日や降伏文書調印日を迎えるにあたり、歴史検証を踏まえた個人メッセージの文書発出を見送る方向で調整中である。

これは参院選での大敗を受け、自民党内での退陣要求が高まり、保守派の反発を避けるための判断とされる。

これまでの歴代内閣による歴史認識を含む談話発出が途切れることになる。

この状況の中で、首相は党内の混乱を考慮し、私的諮問機関の設置やメッセージ発表を慎重に検討している。

今後の党内情勢を見極める意向も示している。

(要約)

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臨時国会開会式後、首相官邸で取材に応じる石破茂首相=2025年8月1日午後2時36分、岩下毅撮影 

 

 石破茂首相は、戦後80年の節目となる今月15日の終戦の日や、日本が降伏文書に調印した9月2日に歴史検証を踏まえた首相個人としてのメッセージを文書で出すことを見送る方向で調整に入った。参院選大敗を受けて自民党内で退陣要求が強まる中、メッセージ発出で保守派のさらなる反発を招き、「石破おろし」が加速しかねないと判断。村山内閣など歴代内閣が戦後の節目で出してきた歴史認識を盛り込んだ文書の発出が途切れる。 

 

 複数の政権幹部が明らかにした。戦後談話をめぐっては、戦後50年の村山談話、戦後60年の小泉談話、戦後70年の安倍談話が閣議決定を踏まえて発出されてきた。自民党内の保守派は安倍談話以降の新たな談話は不要と主張している。一方、石破首相は、閣議決定を伴う戦後80年談話は出さない方針を固めていたが、首相の私的諮問機関を設置して先の大戦に至った経緯を検証し、首相個人のメッセージを文書で出すことを検討してきた。今年3月には「今まで70年、60年の節目ごとに平和への思いを込めて、色々な形でメッセージを発してきた。過去の検証とともに未来への思いを込めて考えていきたい」と意欲を語っていた。 

 

 しかし、7月の参院選で与党が大敗し、自民党内では首相退陣を求める意見が噴出。首相は党内で自身の続投への理解を訴えているものの、「石破おろし」の沈静化の兆しは見えない。複数の政権幹部によると、こうした党内の混乱した状況のもと、私的諮問機関に入る有識者の人選は進んでいない。政権内では、首相がメッセージを発出すれば、反石破勢力がそれを口実に退陣要求を強めて政権そのものの存続が危うくなるとの見方が広がり、首相も「歴史認識に触れる機微なテーマにこのタイミングで手を出すべきではない」(周辺)との判断に傾いた。 

 

 ただし、首相は周囲に「戦後80年の節目に首相を務めている意味をよく考えたい」とも語り、秋以降の党内情勢などを見極めて検討を続けたいという意向もある。(森岡航平) 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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