( 312680 )  2025/08/02 06:05:40  
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警備業の倒産が急増しており、2025年上半期の倒産件数は前年の倍となる16件に達し、過去最多を記録している。

主要な要因は慢性的な人手不足で、特に約9割の企業が人手不足を感じている。

また、警備員の給与水準が全体の平均を大きく下回っており、賃金や労働環境の厳しさが影響している。

シフト勤務の不規則さや低単価の受注も問題で、事業継続が困難となる小規模事業者が増加する懸念がある。

労働者が安心して働ける環境整備が急務である。

 

 

(要約)

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警備業の倒産が急増している(画像=イメージ) 

 

 人々を危険から守る「警備業」の倒産が急増している。2025年上半期(1-6月)の倒産件数は16件と前年(8件)から倍増し、上半期として過去最多となった。上半期時点ですでに前年の年間件数(15件)を上回っており、過去最多を更新するペースで推移している。 

 工事現場やイベント会場における交通整理や安全確保を行う警備業は、慢性的な人手不足に悩まされている。2025年上半期に倒産した16件のうち、少なくとも5件が人手不足を要因としていることが判明している。さらに帝国データバンクのアンケート調査では、警備業のうち人手不足を感じている企業の割合が2025年に入ってから正社員・非正社員それぞれ約9割に達するなど、深刻な水準にある。 

 

警備業の倒産件数(年・上半期推移) 

 

 その背景には、賃金と労働環境の問題がある。賃金構造基本統計調査(令和6年、職種別)によると、「警備員」の現金給与額は26万8300円と、全体の33万400円を大きく下回り、厳しい給与水準が浮き彫りとなっている。深刻な人手不足が続いていることを背景に、今後は人材獲得競争のさらなる激化が予想される。こうしたなか、低単価の受注によって利益の確保が難しい小規模事業者の中には、高騰する賃金水準に対応することができずに、事業継続を断念するケースが増加することが懸念される。 

 

警備業では人手不足が深刻 

 

 労働環境に関しては、案件によっては早朝や深夜などを含めた不規則な「シフト勤務」を組まざるを得ないケースも少なくない。現場の安全性や勤務時間によって負担やリスクが一様ではないものの、働き方改革やワークライフバランスが重視されるなか、業界全体として「働きやすさ」向上への取り組みが欠かせない。働き手に配慮した勤務体系の構築や、AIの活用によって危険がともなう作業を代替・補完するなど、労働者が安心して働ける環境を整備する対策が急務といえよう。 

 

 

 
 

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