( 312690 )  2025/08/02 06:17:40  
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8月15日は公的年金の支給日ですが、現在のシニア世代は公的年金だけで生活できているのでしょうか。

調査によると、65歳以上のシニア世帯の平均貯蓄額は約2509万円で、4000万円以上の世帯が20%を占める一方、500万円未満の世帯も21.7%存在します。

また、高年齢者雇用安定法の改正により、シニアが65歳まで働き続けやすくなったことも影響しています。

就業率は上昇傾向にあり、特に65〜69歳の層では53.6%が働いています。

現役世代は、老後に向けた資金計画が重要で、「年金だけでは生活が成り立たない」という現実を理解する必要があります。

実際、年金収入のみで生活している高齢者世帯は43.4%と半数に満たず、定年後の就労や貯蓄の活用が求められています。

 

 

(要約)

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metamorworks/shutterstock.com 

 

今日から8月。8月15日(金)は公的年金の支給日です。 

 

老後の年金に対する不安の声は高まる一方ですが、いまのシニア世代は公的年金だけで生活できているのでしょうか。 

 

本記事では、いまのシニア世代の暮らしぶりについて「貯蓄状況、就業率、年金受給額」から考察していきます。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」を参考に、「世帯主が65歳以上」のシニア世帯の貯蓄事情について確認していきましょう。 

 

世帯主が65歳以上の二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値は、以下のとおりです。 

 

 ・平均値 2509万円 

 ・貯蓄保有世帯の中央値 1658万円 

なお、貯蓄額が4000万円以上の世帯は20.0%を占めています(グラフ)。 

 

一方で、貯蓄額が500万円に満たない世帯は21.7%を占めています。 

 

2025年4月以降、高年齢者雇用安定法の改正により、企業は希望する労働者に対して65歳までの雇用確保が義務化されました。 

 

これにより、シニア世代が働き続けやすい環境が整備され、「定年後も働く」という選択肢がより現実的なものになりつつあります。 

 

現役世代にとっても、将来の働き方や収入の在り方を考える上で、こうした制度の変化を知っておくことは重要です。 

 

次章では、実際にシニア世代がどのように就労しているのか、就業率や働き方の実態をデータとともに見ていきましょう。 

 

内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、シニアの就業率は下図のとおり上昇傾向となっています。 

 

75歳以上はほとんど変化が見られない一方で、65〜69歳では前年比+1.6ポイントの53.6%、70〜74歳では+1.1ポイントの35.1%となっています。 

 

また、この調査では「何歳まで収入のある仕事を続けたいか」という意向も尋ねられています。 

 

全体で最も多かった回答は「65歳くらいまで」で23.7%、次いで「働けるうちはいつまでも」が22.4%となりました。 

 

現在、収入のある仕事をしている人に限ると、「働けるうちはいつまでも」と答えた割合が最も高く33.5%、次いで「70歳くらいまで」が22.8%となっています。 

 

続いて、現在のシニア世代が受け取っている年金月額について見ていきましょう。 

 

 

公的年金制度に対しては、「将来、本当に受けとれるのか」「支給額が少なすぎる」といった不安や不満の声が年々増加しています。 

 

しかし、老後生活を支える“柱”のひとつであることは間違いありません。 

 

では実際に、現在のシニア世代はどの程度の年金を受給しているのでしょうか? データをもとに詳しく見ていきます。 

 

●厚生年金の平均月額はいくら?  

 〈全体〉平均年金月額:14万6429円 

 

 ・〈男性〉平均年金月額:16万6606円 

 ・〈女性〉平均年金月額:10万7200円 

※国民年金部分を含む 

 

平均額は前述のとおりですが、実際には「月1万円未満から30万円以上」までと、年金額には大きな個人差があるのが現状です。 

 

また、グラフを確認すると、男性と女性の受給額に明確な差があることも見て取れます。 

 

では、国民年金のみを受給している場合の金額はどうなっているのでしょうか。 

 

●国民年金の平均月額はいくら?  

 〈全体〉平均年金月額:5万7584円 

 

 ・〈男性〉平均年金月額:5万9965円 

 ・〈女性〉平均年金月額:5万5777円 

国民年金は、年金額が「1万円未満から7万円以上」まで幅はあるものの、保険料が一律であるため(年度ごとの見直しはあり)、厚生年金ほど大きな個人差は見られません。 

 

厚生年金も国民年金も年金額には個人差があります。また、毎月の支出額にも個人差があるものです。 

 

高額な年金を受給できても、支出がそれを上回れば「生活が苦しい」となるでしょう。逆に、年金額は少なくても、支出がそれを下回れば最低限の生活を維持できると考えられます。 

 

次章では、年金だけで生活できる高齢者世帯がどれくらいいるのかをご紹介します。 

 

2025年7月4日、厚生労働省は「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を発表しました。 

 

これによると、年金を受給する高齢者世帯のうち、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%、つまり約6割が公的年金以外のお金が必要な状況にあることがわかります。 

 

老後の生活費をすべて公的年金だけでまかなうのは難しいというケースは少なくありません。 

 

その不足分を補うためには、定年後の就労による収入や、これまでの貯蓄の取り崩し、さらに資産運用によって得られる配当金や分配金などを上手に活用していく必要があります。 

 

 

今回は、65歳以上のシニア世帯に焦点を当て、年代別の貯蓄額や年金受給額、そして就労状況の実態を見てきました。 

 

貯蓄4000万円以上の世帯が約2割を占める一方で、500万円未満の世帯も約4分の1。同じシニア層でも、資産状況には大きな格差があることがわかりました。 

 

また、国民年金や厚生年金の受給額を見ると、「年金だけでは生活が成り立たない」と感じた方も多いかもしれません。 

 

実際、60代以降も働き続ける人の割合は増加傾向にあります。もちろん中には、やりがいや社会参加を目的とした人もいるでしょう。しかし現実には、年金だけでは生活費が不足するために働き続けるケースも少なくありません。 

 

現役世代にとっては、老後に向けて早い段階から資金計画を立てておくことが、将来自分らしい生活を守るカギとなります。 

 

「いつか」ではなく「いま」から、老後に備える一歩を踏み出していきましょう。 

 

 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」 

 ・内閣府「令和7年版高齢社会白書」 

 ・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 

 ・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況 

 

和田 直子 

 

 

 
 

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