( 313631 ) 2025/08/05 07:45:36 1 00 第107回全国高等学校野球選手権大会が8月5日に始まり、49校が全国の頂点を目指して競い合う。
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( 313633 ) 2025/08/05 07:45:36 0 00 甲子園球場
いよいよ第107回全国高等学校野球選手権大会、夏の甲子園が8月5日に幕を開け、地方大会を勝ち抜いた49校が全国3680校3396チームの頂点を目指して争う。高校野球ファンといえど1回戦は地元の高校を応援する人が多いだろう。もっとも、そのチームがあなたと同じ都道府県の出身選手ばかりとは限らない。
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地元出身選手が少ないチームのことを、高校野球ファンはこう呼ぶ。“外人部隊”。それを責めるつもりは毛頭ない。学校側は甲子園で名を挙げることができれば大きな宣伝効果が見込めるのだから、よそから優秀な選手を引っ張ってきたほうが手っ取り早い。甲子園出場が目標の選手ならば、他県の学校でもいいという生徒もいるだろう。そこまでしても出場したいと思わせるのが甲子園なのだ。逆に外人部隊の多いチームであっても、その中の地元選手を応援したいという人もいるだろう。
そこで、夏の甲子園を主催する朝日新聞社の子会社・朝日新聞出版が発行する「AERA増刊 甲子園2025 第107回全国高校野球選手権記念大会」を参考に、全選手の出身中学を調査した。データはベンチ入りする20人の選手を基準に外人部隊が多い順とし、同率の場合はレギュラーに地元出身者が少ないほど上位にしている(※編集部註:甲子園大会の出場選手が替わることもある)。
外人部隊率の高いチームのベスト7を挙げていこう。
●第7位:京都国際(京都):90%(外人部隊18人)
昨年夏の甲子園で京都府勢では68年ぶりとなる全国制覇を成し遂げた2004年開校の私立の中高一貫校。前身が在日韓国人向けの民族学校だったため、校歌が韓国語であることが話題となった。それゆえ7位であることを不思議に思う方もいるかもしれない。同校は03年に日本の中学高校として認可され、翌年から日本人も入学可能となった。男子生徒の多くは野球部員で、ほとんどが日本人という。18人の“外人部隊”はすべて他県中学の出身者で、レギュラーの地元選手2人は公立中学校の出身だ。
●第6位:聖隷クリストファー(静岡):90%(外人部隊18人)
甲子園初出場だが、コロナ禍で大会が中止された20年夏の静岡県独自大会で優勝、21年秋の東海大会では準優勝、22年春の選抜出場は確実と見られたが選出されなかった。昨年夏の県大会の決勝では掛川西に敗れ、満を持しての出場だ。1966年に設立された私立のキリスト教系中高一貫校で、校長は野球部の監督を兼務する上村敏正氏。昭和から平成にかけて浜松商業を春夏7回の甲子園に導いた実績の持ち主だ。レギュラーに地元中学の出身者はいない。
●同率3位:山梨学院(山梨):95%(外人部隊19人)
23年春の選抜で全国制覇を果たした強豪校。春夏連続の出場となるが、夏の甲子園は3年ぶりだ。山梨県勢の夏の最高成績はベスト4止まりで、初の優勝を目指す。1956年に山梨学院短期大学の附属高校として開校した私立高校で、95年から中高一貫校に。19人の外人部隊は北海道から東北、関東、中部、関西、四国まで広範囲に及ぶが、レギュラーに地元選手はいない。152キロの直球を放つ右腕の菰田陽生は千葉出身で、左腕の檜垣瑠輝斗(愛媛出身)とのダブルエースとの呼び声も。打線も強烈で、県大会でのチーム打率は4割近く、チーム本塁打6本は大会本塁打の半分を占めている。
●同率3位:未来富山(富山):95%(外人部隊19人)
正式な校名は未来高等学校富山中央学習センター。学校法人河原学園(愛媛)が運営する通信制の未来高校のサポート校として18年に開校、同時に野球部も創部された。通信制高校であるから各地から生徒は集まるが、全校生徒24人のうち23人が野球部に所属し、市内の寮で生活している。自前のグラウンドはなく、近隣の町営・市営グラウンドを借りて練習しているのだとか。県大会では1回戦から決勝まで相手に一度もリードされることなく優勝。創部8年目にして甲子園初出場である。
●同率3位:尽誠学園(香川):95%(外人部隊19人)
香川大会はノーシードから勝ち進み、準々決勝で高松商、決勝で大会3連覇を目指す英明を下して9年ぶり12回目の出場を勝ち取った。同校の歴史は古く、1884年に四国最古の私立学校として開校した忠誠塾が前身だ。OBにメジャーリーグでアジア人初のワールドシリーズチャンピオンを経験した伊良部秀輝(沖縄生まれ兵庫育ち)がいるように、関西出身者を中心としたチームとなっている。大阪出身のエース広瀬賢汰は県大会を1人で投げ抜いた。
●同率1位:健大高崎(群馬):100%(外人部隊20人)
2年連続5回目の出場。正式な校名は高崎健康福祉大学高崎高等学校で、1936年に服装和洋裁女学院として設立された。01年に現在の校名に改称され、男女共学となった。11年夏の大会で甲子園初出場、24年春の選抜で初優勝を果たした。県大会では3試合でコールド勝ちと圧倒的な強さを見せつけたが、前橋育英との決勝では延長11回タイブレークの末、サヨナラ勝ちという劇的な優勝だった。北海道から沖縄まで全国から選手が集まっているが、地元出身者でベンチ入りはいない。
●同率1位:高知中央(高知代表):100%(外人部隊20人)
名門・明徳義塾を決勝で破り、2年ぶり2回目の出場を決めた。1963年に開校した私立高校で、03年頃から“中央高校ルネッサンス”を掲げて学校改革を実施。勉強はもちろんクラブ活動を活発化させたという。07年にはサッカー部、バレーボール部、08年にはラグビー部が全国大会への出場を果たし、23年に野球部が夏の甲子園に初出場した。埼玉出身の三塁手・青木是月を除き、すべて関西出身で構成されている。
逆に今回、地元選手のみで勝ち上がってきたチームは5校ある。
●旭川志峯(北北海道)※旧・旭川大学高等学校 ●金足農(秋田)※県立 ●綾羽(滋賀) ●豊橋中央(愛知) ●宮崎商(宮崎)※県立
地元出身の選手、加えて公立高校を応援したいという人も少なくないだろう。しかし、甲子園を目標に不慣れな土地で一心不乱に野球に打ち込んできた外人部隊の意気込みは、地元生徒に勝るとも劣ることはない。どの選手も熱中症には気をつけて全力を出し切ってもらいたい。
デイリー新潮編集部
新潮社
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