( 313891 )  2025/08/06 07:17:19  
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日本の半導体産業復権に向けた動きが加速しており、国内メーカーのラピダスが次世代水準の試作品で動作確認に成功した。

この背景には、経済安全保障や増大する半導体需要がある。

しかし、トランプ米政権が高関税をかける方針を示しており、今後の展望は不透明。

政府は国内半導体の売上高を大きく伸ばす計画を持ち、台湾からの製造拡大にも呼び込んでいるが、米国の関税措置が脅威となる。

技術と供給網の見直しが急務だ。

(要約)

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政府が国策とする半導体産業の復権に向けた動きが加速している。「日の丸半導体」復活を担う国内メーカーのラピダスは2027年の量産化に向け、次世代水準の試作品の動作確認に成功。海外勢の国内誘致も進む。半導体は経済安全保障の面から自力確保が必須な上、30年の世界需要は約150兆円に達するとされることが背景にある。ただ、トランプ米政権は近く半導体にも高関税をかける方針で日の丸半導体の先行きは不透明だ。 

 

■「世界が驚いている」 

 

「(先頭集団から)十数年遅れた日本が最先端技術に挑戦し、異例のスピードでここまで来たことに世界が驚いている」 

 

ラピダスは7月18日、北海道の新工場で試作した2ナノメートル(ナノは10億分の1)の微細半導体の動作確認に国内で初めて成功したと発表。同社の東哲郎会長は記者会見で、試作ラインの立ち上げからわずか3カ月程度での〝快挙〟を誇った。計算能力向上や消費電力削減に半導体の微細化は不可欠で、2ナノの量産化を実現した企業はまだない。 

 

経済産業省の資料によると30年の半導体需要は22年比で1・8倍の145兆円に達する見込み。製造に高性能半導体が必要な生成AI(人工知能)やデータセンターなどの伸長が背景にある。 

 

■海外勢の誘致も 

 

政府はこれまでラピダスに1兆8千億円超を支援し、今年4月には同社を想定した政府出資を可能とする改正法も成立。海外勢の誘致も進め、先端半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に最大計1兆2千億円超を補助し、熊本県内の第1工場では量産が始まった。 

 

政府は国内製造分の売上高を22年時点の6兆円から30年に15兆円超まで伸ばす方針だ。内製化は台湾製への依存度が高い日本にとって、中国による台湾有事で供給が止まる事態に備えるという意味合いもある。 

 

だが、懸念もある。米国は半導体への関税措置を検討中で、日本には15%が課される見通しだ。日本側は需要や競争力を維持するため、替えがきかない先端品の開発や供給網の見直しが急務となる。(福田涼太郎、坂本隆浩) 

 

 

 
 

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