( 314896 )  2025/08/10 04:58:39  
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第二次大戦末期に旧ソ連が日ソ中立条約を破り対日参戦したことから、北方領土問題が生じ、日本政府はその不法占拠を非難している。

現在も日露関係はロシアのウクライナ侵略の影響で冷え込んでおり、平和条約の交渉は難航している。

外相はソ連の対日参戦は中立条約違反であると再確認し、日本の立場を強調した。

自民党内ではロシアの体制変化を待つしかないとの見方が強いが、政府は引き続き平和条約締結を目指す意向を示している。

(要約)

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北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)=2019年1月 

 

第二次大戦末期の昭和20年8月に旧ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦して9日で80年を迎えた。日本政府は、対日参戦とその後の北方領土不法占拠を一貫して非難してきた。ソ連の流れをくむロシアに対しては「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」(令和7年版外交青書)との方針を掲げる。ただ、ロシアによるウクライナ侵略の影響で日露関係は冷え込み、交渉進展の兆しは見えていないのが現状だ。 

 

岩屋毅外相は8日の記者会見で、ソ連の対日参戦について「当時まだ有効であった日ソ中立条約に明白に違反する」と改めて強調した。「ロシア政府による、対日参戦を正当化する主張は全く受け入れられるものではない」とも訴えた。 

 

日本が昭和31年の日ソ共同宣言でソ連と国交を回復した後も、対日参戦に端を発した北方領土問題は未解決のまま推移してきた。平成30年11月には、安倍晋三首相(当時)とロシアのプーチン大統領が平和条約締結交渉の加速化で合意し、融和ムードが高まったかにも見えたが、安倍氏の首相在任中の決着はかなわなかった。 

 

輪をかけて、ロシアによるウクライナ侵略が日露関係に影を落とした。侵略開始後、日本はプーチン氏の資産凍結などの制裁を発動し、ロシアは平和条約交渉の中断を発表した。こうした状況を背景に、日本は令和4年版外交青書に、北方領土に関して「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」との立場を明記した。「不法占拠」は平成15年版以来、「日本固有の領土」は同23年版以来の表現で、最新の令和7年版にも引き継がれている。 

 

自民党ベテランは「ウクライナ侵略を続けるプーチン政権と平和条約交渉に臨むことは難しい。ロシアの体制の変化を待つしかない」と語る。岩屋氏は会見で、平和条約締結を目指す方針を「堅持していく」とした上で「日露関係は厳しい状況にあるが、必要な意思疎通は続けていく」と説明した。(松本学) 

 

 

 
 

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