( 315541 )  2025/08/12 06:20:28  
00

吉野敦さん(37歳)は、年収640万円、貯金900万円の会社員で、賃貸生活から念願のマイホーム購入を決意。

しかし、購入後に収入が減り、妻の絵里さんもフルタイムで働けず、家計が厳しくなった結果、住宅ローンに苦しむことになりました。

最終的に、家庭の状況を考慮して家を手放す決断をし、賃貸生活に戻りました。

この事例から、周囲の影響や勢いだけでのマイホーム購入は後悔につながる可能性があることが示されています。

(要約)

( 315543 )  2025/08/12 06:20:28  
00

家なんて買うんじゃなかった…妻、号泣。〈年収640万円〉〈貯金900万円〉の37歳会社員、賃貸暮らし脱出→念願のマイホーム購入が一転、住宅ローン破綻危機の顛末 

 

家を「買う」か「借りる」か——このテーマは昔から多くの人が頭を悩ませてきました。近年では「持ち家こそが成功の証」という価値観は薄まりつつありますが、周囲がマイホームを手に入れていくと、やはり心が揺れるものです。ただし、「買ったらどうにかなるだろう」と勢いだけで決断してしまうと、後になって大きな後悔を招くことも。事例とともに見ていきましょう。 

 

吉野敦さん(仮名・37歳)は、地方の中堅企業に勤めるサラリーマン。年収は640万円。妻の絵里さん(仮名・29歳)は専業主婦で、小学生と幼稚園の子どもを育てています。 

 

家族で暮らすマンションの家賃は15万円。特別快適ではありませんが不自由もない暮らし。しかし、絵里さんがボソッとつぶやきます。 

 

「ねぇ、いい加減、家買おうよ。このままどんどん高くなったら、どうするの? 買えなくなっちゃうよ」 

 

吉野さんは、生まれも育ちも“賃貸派”。いつでも引っ越しができる気軽さも、住宅ローンの重荷がないのもいいと思っていました。 

 

ですが、妻の絵里さんは、昔から住宅のチラシを眺めるのが趣味のような人でした。「南向き・駅近・リビング広め」が理想で、夢のマイホーム=幸せだと考えてきたタイプ。実家も持ち家でした。 

 

結婚当初から、絵里さんから家はどうするのかと言われつつも、流してきた吉野さん。ですが、SNSやママ友の会話から流れ込んでくる「新居を建てた」「注文住宅に引っ越した」という声に、絵里さんの焦りは頂点に達していました。 

 

「子どもたちが大きくなってからじゃ遅いよ、今だって狭いぐらいだし。私も仕事再開するからローンも大丈夫。貯金も900万円も貯まったから!」 

 

妻の熱量に押された吉野さん。「賃貸と同じくらいの支払いなら、家が手に入る分得かもしれないな」と、ついに購入を決断します。 

 

選んだのは5,500万円の新築マンション。ピカピカの内装、広々としたキッチン。加えて広いベランダもあり、マンションの共用施設も充実。予約をすれば友人が宿泊できるゲストルームまであります。 

 

これには絵里さんのテンションは最高潮。吉野さんも、モデルルームの内覧をした時点ですっかり気に入ってしまいました。 

 

頭金を差し引いたローン総額は5,000万円、月々の返済額は14万円弱(年間160万円)。金利は変動型、ローン完済予定は70代です。 

 

管理費・修繕積立金・駐車場代と固定資産税を月換算して加えると、維持費全体で月5万円ほどがプラスになる計算です。結局、賃貸のときよりも支出は多くなりましたが、絵里さんが働くのであれば問題なく支払うことができます。なにより、充実した設備を考えれば、これぐらいの上乗せは仕方ないと納得したのです。 

 

ところが、住宅ローンの返済が始まってから6年。吉野家には思ってもみなかった現実がのしかかってきました。 

 

 

夫婦の誤算は、増えると思っていた収入が増えなかったことです。吉野さんは会社の業績が悪化し、賞与の大幅カットで年収が550万円までダウンしていました。 

 

一方、購入前に「自分もフルタイムで働いて稼ぐ」と宣言していた絵里さんでしたが、いざ就職してみるとそう簡単にはいきませんでした。 

 

 

下の子が学校を休みがち、フルタイムで働いて子育てもしたら、体力がとても持たない……。結局、正社員は諦め、アルバイトをこなす程度に。年収は100万円にも届きません。 

 

さらに、成長する子どもたちの食費や教育費の増加、車の買い替えなどの支出が重なり、家計は毎月ギリギリに。 

 

貯金の残高はみるみる減っていきました。このままでは家族旅行なんて夢のまた夢。子どもの児童手当には手を付けていませんでしたが、それも使いたいと思うほどに追い詰められていました。 

 

ローンに追われ、喧嘩も増え、笑顔のない日常。子どもたちも夫婦の不穏な空気を感じているのか、不安そうな顔を見せることが増えました。 

 

このままでは良くない。そう判断した吉野さんは、家を手放すことを決意。絵里さんは、それだけは嫌だと当初突っぱねたものの、子どものことを考えて納得しました。 

 

幸いにも、購入時より不動産価格が上がっていて、売却後には数百万円の手残りが。買い替えの選択肢もありましたが、「もうローンに追われるのは疲れた。転職したいし、借金は抱えたくない」と、再び賃貸へと戻る選択をしました。 

 

引っ越し先は、以前よりやや駅から遠い場所。ですが、生活レベルに合わせて転居するのも自由です。何より、借金のない安定した暮らし。夫婦は「賃貸も悪くない」と満足していると言います。 

 

マイホーム購入は人生最大の買い物と言われます。しかし、その決断を「みんなが買ってるから」「妻に言われたから」といった外圧や勢いで進めてしまうと、あとから生活を揺るがすことになりかねません。 

 

全国宅地建物取引業協会連合会が発表した「2024住宅居住白書」では、「あなたは『持ち家派』ですか?『賃貸派』ですか?」という問いに対して、こんな調査結果が出ています。 

 

 

 

・持ち家派(マンション・集合住宅):16.9% 

・持ち家派(一戸建て):46.4% 

・賃貸派(マンション・集合住宅):17.8% 

・賃貸派(一戸建て):2.3% 

・どちらともいえない/あてはまるものはない:16.6% 

 

※全国宅地建物取引業協会連合会「2024住宅居住白書」 

 

持ち家派(マンション・集合住宅と一戸建ての合計)が63.3%。一方の賃貸派は20.1%(同合計)。持ち家派のほうが圧倒的に多いという結果です。 

 

持ち家を選ぶ理由の上位は、「家賃を払い続けることが無駄に思えるから(55.8%)」「落ち着きたいから(40.2%)」「老後の住まいが心配だから(32.9%)」となっています。 

 

確かに、どれも納得の理由です。とはいえ、住宅ローンは完済するまでは大きな借金です。吉野さんの場合、家の評価額が上がっていたことが幸運でした。値下がりをしていたら、大変な結果になっていたかもしれません。 

 

「人が持っているから」「家を持っているほうが幸せだから」……そんな考えで購入に踏み切ると、後悔する可能性があります。仕事や収入が変わってもローンを支払っていけるか。いざというときのリセールバリューはどうか。購入には慎重な判断が求められます。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

IMAGE