( 315548 ) 2025/08/12 06:23:21 0 00 umaruchan4678/shutterstock.com
年金は原則として年6回に分けられ、支払われるのは偶数月です。8月に支給される年金なら6・7月分が支払いの対象月となっています。年金は毎月支給されるわけではないため、受け取った金額のなかで上手くやりくりすることが重要です。
また、支給予定の年金額はそのまま受け取れるわけではなく、年金の支給額から税金や社会保険料などが天引きされます。そのため、実際の手取り額は年金額より少なる点もおさえておく必要があります。
今回は月20万円の年金受給者の場合、いくら口座に振り込まれるのか解説していきます。まずは年金から天引きされるお金について確認していきましょう。
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年金から天引きされるお金は主に以下の4つです。
・介護保険料 ・国民健康保険料および後期高齢者医療保険料 ・住民税 ・所得税 ●介護保険料 介護保険料は介護にかかる金銭的負担を軽減するために、40歳以上の被保険者が支払う保険料です。年齢が65歳以上かつ年間の年金受給額が18万円以上で天引きされます。
●国民健康保険料および後期高齢者医療保険料 国民健康保険料は、退職した元会社員や自営業者などが支払う保険料です。65〜74歳以下で年間の年金支給額が18万円以上で天引きされます。
一方で、後期高齢者医療保険料は原則として75歳以上の方が支払う保険料のことです。国民健康保険料と同じく、年間18万円以上の年金を受給する場合に天引きされます。
●個人住民税および森林環境税 個人住民税は、居住している都道府県や市区町村に納める税金のことです。主に地域の公共サービスを維持・運営するために使われています。具体的には、ゴミ処理や学校といったものがあげられます。
住民税は年間の年金支給額が18万円以上かつ65歳以上の方を対象に天引きされます。
なお、森林環境税は2024年度に新たに導入された税で、2024年10月からは個人住民税とともに「特別徴収」として差し引かれる形となります。
●所得税 年金収入は雑所得になるため、一定金額以上を受給すると天引きされます。具体的には65歳未満なら108万円以上、65歳以上であれば158万円が目安です。
前述したお金が年金支給額から差し引かれるため、額面と実際に振り込まれたときの手取り額に差が生じます。次章では、年金を月20万円受給する際に差し引かれる金額を見ていきましょう。
年金の手取り額を解説する前に、前提条件について確認していきます。
●年金20万円を受給する方のモデルケース ・居住地:東京都練馬区 ・年齢:65歳 ・世帯:単身世帯 ・扶養:なし ・年金収入:年間240万円(月20万円) ・その他の収入:なし なお、年金から差し引かれる金額を求めるには所得金額を計算する必要があります。日本年金機構「所得金額の計算方法」を参照すると65歳以上で年間240万円の年金を受け取っている方は公的年金控除額が110万円と記載されています。
よって「240万円-110万円=130万円」が今回のモデルケースの所得金額であるという点も留意しておきましょう。
●実際の手取り額はおおよそ月16万7000円 前述したモデルケースの場合、実際の手取り額と差し引かれる金額は以下の通りです。
・支給金額(年間):240万円 ・手取り金額(年間):200万4335円 ・差し引かれる金額(年間):39万5665円 月額に換算すると「200万4335円÷12ヶ月=16万7027円」となります。次に差し引かれる金額の詳細を確認していきましょう。
●差し引かれる金額の内訳 前述した年金から天引きされるお金をもとに、差し引かれる金額の内訳を解説していきます。
介護保険料
介護保険料を算出するにあたって東京都練馬区「65歳以上の方の介護保険料の決め方」の表を参照します。モデルケースでは所得金額が130万円であったため、年間の介護保険料は10万4160円です。
国民健康保険料および後期高齢者医療保険料
モデルケースの年齢は65歳と仮定しているので、ここでは国民健康保険料を求めます。国民健康保険料は練馬区「国民健康保険料の計算方法」に記載されている計算システムにて算出しました。
計算の結果、年間の国民健康保険料は約20万5470円となりました。
個人住民税
まずは住民税における課税所得を計算します。「130万円(所得)-43万円(基礎控除)-30万9630円(社会保険料)=56万370円」が課税所得です。住民税には均等割額と所得割額の合計が課税され、練馬区では以下の税率が定められています。
・均等割額:4000円 ・所得割額:10% よって「約56万円×10%(所得割)」+4000円(均等割)=約6万円が年間の住民税額となります。
所得税
所得税は「課税所得×5.105%」で導き出せます。個人住民税と同じく所得から基礎控除(48万円)と社会保険料を差し引いた51万円307円が課税所得です。
そのため、所得税は「約51万円×5.105%=2万6035円」となります。それぞれの金額をまとめると以下の通りです。
・介護保険料:10万4160円(年額) ・国民健康保険料:約20万5470円(年額) ・住民税:約6万円(年額) ・所得税:約2万6035円(年額) ・合計金額:約39万5665円(年額) なお、各金額については居住している地域や個人によって異なるため、あくまで参考程度にしてみてください。
今回は、年金「月20万円」から引かれる税金・社会保険料について解説しました。モデルケースをもとに算出すると月20万円の年金収入の手取りは約16万7000円であると計算できました。
前述したように年金の額面と実際に振り込まれる金額は異なるので、手元に残るお金を基準に老後の生活設計を行う必要があります。将来に不安がある方は少しでも豊かな老後を過ごすために、今からしっかりと備えておきましょう。
・日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」 ・日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」 ・日本年金機構「所得金額の計算方法」 ・国税庁「高齢者と税(年金と税)」 ・国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」 ・国税庁「No.1199 基礎控除」 ・練馬区「65歳以上の方の介護保険料の決め方」 ・練馬区「住民税の税率・税額計算の流れ」
湯田 浩平
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