( 315798 )  2025/08/13 06:26:11  
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中国で開かれた展示会に出展したエヌビディアのブース(7月、北京市の中国国際展覧センターで)=照沼亮介撮影 

 

 【ニューヨーク=小林泰裕】ブルームバーグ通信など欧米の主要メディアは11日、米半導体大手エヌビディアが中国向けのAI(人工知能)半導体「H20」の輸出再開を米政府に許可してもらう見返りとして、中国でのH20の売上高の15%を米政府に支払うことで合意したと報じた。米企業が輸出許可を得るために、売上高の一部を米政府に支払うのは異例だという。 

 

石破首相(右)と面会し、記念写真に納まるエヌビディアのジェンスン・フアンCEO(中央)(4月、首相官邸で)=川口正峰撮影 

 

 H20は、バイデン前政権の対中半導体輸出規制を踏まえ、中国に輸出できるように性能を落とした製品だ。トランプ政権は4月、軍事転用への懸念からH20の対中輸出に事実上の禁輸措置を導入したが、7月には一転して輸出を認める方針に転換した。禁輸措置により、中国企業にAI半導体のシェア(占有率)を奪われる懸念があったとみられる。 

 

 エヌビディアにとって、中国は売上高全体の10%超を占める。2025年2~4月期には、中国への禁輸措置による販売契約の取り消しなどに伴って45億ドル(約6700億円)の費用を計上している。 

 

 エヌビディアは11日、読売新聞の取材に対し、「ここ数か月間はH20の対中輸出を行っていない」と答えた。そのうえで「今回の輸出管理ルールによって中国での競争が可能になる」と述べ、米政府との合意を歓迎する意向を示した。 

 

 報道によると、米半導体大手AMDも対中輸出許可を得るため、同様に中国での売上高の15%を米政府に支払う方針という。 

 

 ただ、ブルームバーグ通信は11日、今回のトランプ政権の対応について「憲法で認められていない『輸出税』と見なされる恐れがある」と指摘し、法に抵触する可能性があると報じた。 

 

 一方、中国当局はH20について、位置情報を追跡する機能などが搭載されていると指摘し、安全上問題があると主張しており、今回の米政府の決定が米中対立の火種となる可能性もある。 

 

 

 
 

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