( 316528 ) 2025/08/16 05:12:57 0 00 異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
大手ラーメンチェーン店「来来亭」は今年6月10日、「異物混入の事実が発覚した」として、浜松幸店を無期限で臨時休業すると発表した。当該店舗は、ラーメンのチャーシューの上を虫のようなものが数匹這って移動する様子を撮影した動画が〈来来亭でラーメンを食べようとしたらウジ虫が…〉とX(旧Twitter)に投稿され、物議を醸していた。
休業が決まった翌日、取材班が「来来亭」浜松幸店を訪れたところ、店舗には保健所の職員が忙しなく出入りしていた。中年の男性店長は、疲労の色をたたえながらも丁寧に取材に応じて、トラブル発生時は不在だったこと、本来であれば保存すべきところにもかかわらず現物を処分してしまったことなどを明かし、監督責任について後悔の念を述べた。
店の再開についてたずねると、店長は以下のように回答していた。
「今はそれも考えられないです。うやむやにしたまま安易に再開したら、それこそ全ての人に失礼ですし、とにかく先のことは考えられないというのが本音です」
臨時休業が発表されてから約40日経った7月19日、「来来亭」浜松幸店がついに営業を再開した。再び店を訪問すると、前回より少し痩せた印象の店長が再び真摯に対応してくれた。気丈に振る舞ってはいるが、まだ精神的なダメージは残っているようだ。「正直、今でも怖いというのが本音です」と吐露した。
「まだ早いんじゃないかとも悩みました。問題になって以降、お店への無言電話や、SNSでの誹謗中傷、口コミなどでの嫌がらせ投稿が続いていましたから。もちろん温かい声をかけてくださる方もいましたが、眠れない日もありましたし、体重も落ちました。
食中毒ではないので、保健所からの営業停止処分は下りませんでしたが、営業再開なんてしばらく考えることすらできませんでした。お店を再開しても、はたしてお客様が足を運んでくれるのか……本当に怖かったんです。
『来来亭』の社長には精神的にも支えてもらいました。常連のお客様からも再開を待ち望む声をたくさん頂きました。『頑張ってね』という言葉すら怖く感じたこともありましたが、待ってくれる方々やスタッフのためにも再開を決意しました」
営業再開にあたって、考えうる限りの害虫対策を行ったようだ。
「私を含めた従業員や業者さんに対して、入店時の消毒などを入念に行っています。また、厨房の入り口を二重ネットにして、お店の扉も二重扉にもしました。壁も新しく白に塗り替え、ソファやカウンターも一新しました。
調理中、どんなに忙しくても食材から目を離さないようにスタッフ間でも徹底し、あらゆる部分で隙がないようにしています。スタッフも疲れているだろうけど、お客様のためにやらないといけないと思っています」
再開当日は、多くの来店があったという。
「『再開してくれてよかったよ』や『今日は格別においしい』など、うれしいお言葉を直接頂きましたし、手紙を持ってきてくださったお客様もいました。全ての言葉を覚えていますが、みなさんの『ここのラーメンがないとだめだ』という共通したエールを感じました。本当に再開してよかったと涙が出そうです。
お客様が来てくれるか本当に怖かったですが、こうやって来てくださって、涙が出るくらい感謝です。だからこそ火曜定休も返上して、8月までは休みなしでオープンする予定です。私自身も全日、オープンから閉店まで店に立ち続けます。
それが、戻ってきてくださったお客様へのマナーかなと信じています」
取材中、店長に「ここのラーメン食べられなくなったら、俺生きていけないよ」「絶対また来ます」と励ましの声をかける客も多く、そのたびに店長は「これからも頑張ります」などと笑顔で感謝を伝えていた。
異物混入というトラブルがあったにもかかわらず、ファンに温かく迎えられ、こうして再スタートを切ることができたのは、ひとえに店長の誠実な人柄によるものだろう。
|
![]() |