( 316576 )  2025/08/16 06:05:52  
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トヨタのコンパクトカー、特にプリウスは、その革新的なハイブリッドシステムや空力性能によって大ヒットした。

2009年のフルモデルチェンジにより、環境性能が向上し、エコカー補助金制度が消費を後押ししたことが大きな要因となっている。

プリウスは販売チャネルも広がり、販売台数が伸び、経済活性化に寄与した。

現代でも優れた車が多数存在する中で、政府には再び車産業を支援する施策を期待したい。

(要約)

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 昨今はライズやルーミーといった、トヨタのコンパクトカーの販売が好調だ。もう少し前の爆売れ車と言えばアクア。もうひとつ遡るとプリウスが登場する。トヨタ カローラ・ホンダ フィットといった名車を抑え、プリウスが大ヒットした理由は何だったのか。トップに君臨する背景には、クルマの実力と共に後押しする大きな施策があったのだ。 

 

 文:佐々木 亘/画像:トヨタ 

 

 2009年にフルモデルチェンジを行い、3代目へと進化したプリウス。エクステリアデザインは、2代目からのキープコンセプトだが、より精悍な顔つきになっている。 

 

 3代目プリウスの大きな目玉は、進化したハイブリッドシステムだ。トヨタハイブリッドシステムII(THSII)は、先代までのエンジン排気量1500から1800拡大。リダクションギア付きにすることで、効率をさらに高め、10・15モード燃費では驚異の38.0km/Lを達成している。この数字は、ハイブリッドの環境性能を確固たるものとし、トヨタ=ハイブリッドという図式をより鮮明に示すものとなった。 

 

 進化はパワートレーンだけでなく、エクステリアデザインのも及ぶ。プリウスのアイデンティティであるトライアングルシルエットは、3代目で大きく進化した。空力理論に基づくエアマネジメントを徹底することで、Cd値0.25という優れた空力性能を獲得している。 

 

 多くの人が待ち望んだ、我慢をせずに普通に使えるハイブリッドカーの誕生。優れた燃費性能は、プリウスに一種のステータス性をも与えている。 

 

 リーマンショックや東日本大震災後のマクロ経済活性化を目的とし、2009年4月に導入されたのが「エコカー補助金」制度だ。大きく2期に分けて導入されたこの制度は、環境対応車を購入することで、登録車なら10万円の補助金が支払われるというもの。 

 

 1期目となる2009年4月〜2010年9月の間は、13年超の経年車を廃車とすることで、最大25万円もの補助金が出たこともあり、クルマの買い替えが大きく進んだ時期でもある。 

 

 大盛況のまま1期目は終わり、2期目の補助金支給は2011年12月から2012年9月までの間に行われた。3代目プリウスの前期型正式発表は2009年の5月(エコカー補助金は2009年4月から)と、後期型へのマイナーチェンジが2011年12月(エコカー補助金2期も2011年12月から)と登場時期も改良時期も、エコカー補助金の対象時期を非常によく重なっている。 

 

 どちらかが合わせにいったわけではないと思うが、エコカー補助金は間違いなくプリウスの販売を大きく後押しした施策だ。同時に行われていたエコカー減税も相まって、この時期のプリウスは、まさに飛ぶように売れていた。 

 

 

 トヨペット店とトヨタ店でしか販売されていなかったプリウスは、3代目になり全チャネル販売が開始され、ネッツ店・カローラ店での取り扱いがスタートする。チャネル販売にこだわってきたトヨタが、チャネルの垣根を超えた販売へと踏み切ったことで、プリウスの販売力はさらに加速することとなった。 

 

 特に小型車販売を得意とし、販売台数とユーザー数を伸ばしていたネッツ店でプリウスが取り扱われたことはが、販売ランキングを大きく押し上げる要因となったことは間違いない。アクア登場まで続くプリウスの破竹の勢いは、「石を投げればプリウスに当たる」と言われるほど凄いものだったのだ。 

 

 いいクルマに良い施策が重なると、不況の日本でも飛ぶようにクルマが売れる。ガソリンの暫定税率を外すことにモタモタしている今の政府には、エコカー補助金のような活性化策を期待できないが、クルマが元気になると日本が元気になっていくだろう。 

 

 今は当時のプリウス以上に、良いクルマが揃っている時代。クルマから始まる日本活性化策を今一度考え、早急に実行してほしいものだ。 

 

 

 
 

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