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アフリカの人口は2050年までに24億4800万人に達し、企業の注目が集まっている。

経団連はアフリカを含むグローバルサウスとの連携強化を促進し、日本の商社は競争の激化に対応するため新たな市場を模索している。

豊田通商や丸紅などが医薬品や生活必需品の分野に進出し、成長した中間層をターゲットにする戦略をとっている。

現在、アフリカには多くの企業が参入しており、その競争はますます激化している。

商社各社はリスクを評価しつつ、成長機会を捉えることが重要とされている。

(要約)

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アフリカの人口見通し 

 

大手総合商社が「最後のフロンティア」とも呼ばれるアフリカに熱い視線を注いでいる。経団連が成長著しいグローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)との連携強化を打ち出したことなどが目を向ける要因だ。20日からは3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)も横浜市で開催される。いち早く自動車事業でアフリカに足場を築いてきた豊田通商や丸紅は人口増で旺盛な内需を取り込もうと、医薬品分野に照準を定めて力を入れる。 

 

経団連は7月、米国の高関税政策や米中対立で自由貿易体制が揺らいでいることを受け、米中に過度に依存しない体制を築くべきだと主張。アフリカを含むグローバルサウスと協力関係を深める方針を決め、政策提言に盛り込んだ。 

 

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、アフリカの人口は2050年に20年比約80%増の24億4800万人まで増加する見通し。従来、アフリカ54カ国は市場が分断されて事業展開が難しかったが、域内自由貿易圏が形成されて以降、「手続き共通化」が進展。ジェトロの石黒憲彦理事長は「(事業拡大で競争が有利になる)『規模の経済』が期待できる」と強調する。 

 

売上高約10兆円の1割をアフリカで稼ぐ豊田通商は1922年に綿花の買い付けで進出。64年にトヨタ車の輸出を始め、2016年には仏商社CFAO(セーファーオー)を完全子会社化しアフリカでの地位を確固たるものにした。同社は1850年代からアフリカで事業を展開する。 

 

豊田通商のアフリカ事業の売上高は1兆6千億円(2025年3月期)。今後10年で3倍にする目標を掲げる。都市化で消費が活発化していることを踏まえ、主力の自動車や発電以外に消費者向けも注力する考え。 

 

今年7月には東アフリカの最大手ドラッグストア、グッドライフファーマシーを完全子会社にした。グッドライフはケニア、ウガンダを中心に約150店舗を展開し、医薬品だけでなく化粧品も扱う。小泉綾子アフリカ本部最高執行責任者(COO)は「中間層が伸びており、ポテンシャルが高い分野だ」と説く。 

 

丸紅も今月、モーリシャスの医薬品販売大手フィリップスヘルスケアコーポレーションに出資し、持ち分法適用会社にした。同社は医療機器も扱い、ケニアやナイジェリア、ガーナなどアフリカ9カ国で展開する。丸紅の大本晶之社長は「医薬品は毎年10%程度の伸びが見込まれる。こうした内需型ビジネスをしっかりやっていきたい」と話す。 

 

 

22年に立ち上げた営業部門横断の「アフリカビジネス推進委員会」で戦略を練り、中東・アフリカ事業の利益を28年3月期に25年3月期比約25%増の250億円に引き上げる計画だ。 

 

双日は生活水準の向上による食の多様化に着目。ケニアの企業やタイの食品メーカーと組み、即席めんをケニアを含む東アフリカ地域を対象に展開する。23年になじみのあるチキン味を発売し、今年に入って野菜味やチキンココナツカレー味を追加した。新たな販売手法としておまけ玩具の封入にも取り組んだ。 

 

豊富な天然資源に目を向けた商社もある。住友商事はマダガスカルで電子機器の材料などに広く利用されるニッケルの生産事業に出資。三井物産はモザンビークの液化天然ガス(LNG)開発事業に参加した。だが、前者は生産不調に見舞われ、後者は治安悪化で開発が中断。資源開発分野は苦戦を強いられる。 

 

一方、三菱商事は農産物の仲介やアフリカ市場を対象にした投資会社への出資などと限定的だ。 

 

アフリカへは多くの国の企業が参入し競争が激しさを増す。商社各社は攻略に向け、リスクを見極めながら、機敏な動きで成長領域を捉えてアクセルを踏むことが一段と重要になる。(佐藤克史) 

 

 

 
 

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