( 317651 )  2025/08/20 06:28:26  
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ポルシェ911カレラ4GTSに装着されたピレリのPゼロRタイヤがテストされ、特にその性能とドライバーへのインフォメーションが優れていることが確認された。

湿ったサーキット状況でも、タイヤが早くグリップの喪失を察知できるため、ドライバーは安心して走行できた。

PゼロRは他の車両でも同様の特性を示し、高パフォーマンスタイヤの最新の特長と認識できる。

さらに、5世代目のPゼロは公道走行では快適性が高く、静かなキャビンを保つ技術が採用されている。

ピレリのPゼロファミリーは多くの自動車メーカーから信頼されている。

(要約)

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PゼロRを装着したポルシェ 911カレラ4GTS。 

 

日本でも人気の高いピレリの最新タイヤを、大谷達也がイタリアでテストした。 

 

最初に試乗したのはポルシェ「911カレラ4GTS」に装着されたPゼロR。 

 

ポルシェ911として初めてハイブリッドシステムを搭載したカレラGTSは最高で541psと610Nmを発揮するほどの超高性能スポーツカーだ。最高速度が310km/hを超えると聞けば、そのハイパフォーマンス振りが伺えるだろう。 

 

そんな超ド級のスーポーツカーをサーキットで操るというのに、路面はチョイ濡れという無情のコンディション。それでもポルシェの4WDとPゼロRの性能を信じてコースを走り始めることにした。 

 

滑りやすいコースを安心して走るうえで何よりも大切なのは、タイヤがグリップを失いそうになるのをいち早く察知することにある。タイヤが滑るのがわかっていれば、ドライバーは滑ったときの対処をあらかじめとっておけるが、そもそもその手前でペースを落として危険を回避することも可能だ。 

 

ここで重要となるのが、タイヤがドライバーに向けて発するインフォメーション。タイヤのインフォメーションは、ステアリングやシートからの微妙な振動やスキール音(タイヤが発する「キーッ」という音)などによってドライバーに伝えられるが、実際にタイヤが滑り出すよりも早くそれらのインフォメーションが認められれば、ドライバーもそれだけ余裕をもって対処可能だ。 

 

個人的に「最近のPゼロRは早めにインフォメーションを発する性能がずいぶんよくなってきた」と、薄々感じていたけれど、今回の試乗ではっきりと確認した。とにかく、インフォメーションを伝えるタイミングが早いので、滑り始める前にペースを落とすのも、逆にアクセルペダルを強く踏み込んでドリフト状態に持ち込むのも自由自在。おかげで当初の不安とは裏腹に、ストレスを感じることなく限界的なサーキット走行を堪能した。 

 

同様の傾向はPゼロRを履いた911カレラ4GTSだけでなく、同じくPゼロRを装着したBMW「M5」、さらにはPゼロ トロフェオRSとポルシェ「911GT3 RS」の組み合わせでも感じられたので、最近のピレリ ハイパフォーマンスタイヤに共通する特性とみてよさそうだ。 

 

 

では、モデルチェンジを受けた5世代目のPゼロはどうだったか? 

 

こちらはサーキット走行ではなく、公道を走っただけ(テスト車はメルセデスベンツ「GLE450d」というプレミアムSUV)なので、限界性能について語られないけれど、とにかくタイヤの感触がソフトで、快適な乗り心地に大きく貢献しているように思えた。 

 

また、タイヤが発する「サーッ」もしくは「ザーッ」といったノイズが小さく、キャビンが静粛に保たれていたのも印象的だった。 

 

実はPゼロ ファミリーの一部にはピレリ独自の「PNSC」というテクノロジーを採用。これはタイヤ内部にスポンジの一種を貼り付けることでタイヤ自身が発生したノイズや振動を吸収するというもので、Pゼロの快適性向上に少なからず貢献しているという。GLE450dの車内が静かだったのも、おそらくはPNSCの効果だったのだろう。 

 

ところで、冒頭で述べた「ライン装着タイヤでPゼロをよく見かける」というのは、どうやら私の思い込みだけではなかったようだ。 

 

ピレリによれば「プレステージセグメント(ラグジュアリーセグメントと同義)のモデルの50%以上に装着されている」とのこと。 

 

つまり、“Pゼロファミリー”はそれだけ多くの自動車メーカーから厚い信任を得ているのである。 

 

文・大谷達也 編集・稲垣邦康(GQ) 

 

 

 
 

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