( 318418 ) 2025/08/23 05:45:06 0 00 「エンジンを大切にするなら低回転で優しく走るべき?」それとも「たまには高回転まで回した方がいい?」──多くのドライバーが悩むテーマです。最新エコカーやスポーツモデルの実態を踏まえ、10万km・20万kmを超えて長く愛車と付き合うための正しい知識を解説します。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@Chepko Danil)
クルマを長持ちさせたいと考えると、多くの人は「低回転で優しく運転することが大切」と考えるでしょう。確かに過度な負荷や高回転の連続はエンジンの摩耗を招きます。
しかし一方で、街乗り中心で2000rpm以下しか使わない運転では、エンジン内部にススやカーボンが堆積し、逆に調子を悪くしてしまうのも事実です。
実際のところ、「毎回高回転まで回す必要はない」が「全く回さないのもよくない」というのが答えに近いのです。
実はピストンが上下する速さでいえば、その頃のスポーツエンジンに負けないくらい、今のエコカーのエンジンのほうが攻めています。
さすがにホンダのタイプR系NAエンジンのように8400rpm以上回るエンジンとなると別ですが、高性能車でも7500rpmあたりがレブリミットであれば、平均ピストンスピードは20m/sあたりに収めるように設計されるのが常識。
ところがトヨタのダイナミックフォースエンジンA25FKS型(RAV4などに搭載)は、6600rpmで22.7m/sに達しています。そのためピストンの軽量化やフリクション対策はまるでレーシングエンジン並みの仕様に仕立てられています。このエンジンは従来に比べ、ロングストローク化が図られているからです。ちなみに最高レベルのピストンスピードと言われたS2000前期型のF20Cは23.2m/sです。
高回転性能も兼ね備えたエンジンですが、そのポテンシャルを最大限に引き出し、かつエンジンの耐久性を維持するには、カーボン除去を目的とした適度な高回転の使用と、適切なオイル管理が欠かせません。
ではエンジンを高回転まで回した場合のメリットとデメリットを紹介しましょう。
■メリット ・油圧が高まり、オイル経路のスラッジ堆積を防ぐ ・高燃焼温度が維持され、カーボンやデポジットが焼却されやすい ・エンジン内部の動きがスムーズになり「調子が良くなった」と感じられる
■デメリット ・燃費が悪化しやすい ・燃料が濃い状態での加速ではデポジットが逆に堆積する可能性もある ・高回転常用は摩耗リスクを増やす
したがって「毎日高回転で走る必要はないが、時々しっかり回すことは有効」と整理できます。
では10万km・20万kmを目指す上で、どう走ればよいのでしょうか?
・月に1度は高速道路を走る 合流加速時に3000rpm程度までしっかり回し、その後は巡航で燃焼温度を一定に保つ。これでデポジットを軽減可能です。
・短距離走行ばかりを避ける エンジンが十分に温まらないうちに停止を繰り返すと、カーボン堆積が進みます。週末に長めのドライブ、高速道路での巡行がオススメ。
・ディーゼル車の場合 低回転域ばかり使っているとPM(粒子状物質)が溜まりやすく、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の再生が滞ることも。時々3000rpm前後まで回すことが、エンジンの健康維持につながります。
昔はキャブレター時代のクルマはたしかに高回転までぶん回さないとダメということがありましたが、今日の電子制御でダイレクトイグニッションのエンジンには、そうした儀式は不要。
油圧を高めて、油圧経路のスラッジの堆積を防ぐのがエンジンを回すメリットといえます。したがって、中回転域と言える3000rpmあたりまで回せば十分。
それよりも軽負荷の燃焼を一定時間続けることが大事。理想は、高速道路でのクルージングです。
月に1度くらいは高速道路を走り、合流時にはしっかりと加速してエンジン回転を高め、その後は巡航することで、燃焼温度が高めな燃焼を続けるになり、カーボンやデポジットを軽減させることができます。
筆者自身、取材で高速道路を試乗した際、インターを降りた瞬間に「エンジンが軽くなった」と感じる経験を何度もしています。
昔ながらの「ぶん回せば調子が良くなる」というのは昔のクルマの常識ですが、現代では適度な高速巡行がエンジンを長持ちさせる、と実感します。
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