( 318951 )  2025/08/25 06:02:39  
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共働き世帯が増え、住宅をペアローンで購入するケースが増加しているが、離婚や収入減により返済が困難になるリスクが存在する。

例えば、千葉県の30代夫婦は3年後に離婚し、マンションを売却するも損失が出てローン返済を続けている。

ファイナンシャルプランナーは、ペアローンのメリットを強調する一方で、完済までの協力が必須であり、話し合いを基に書面を作成することを勧めている。

予期しない状況への備えも重要とされている。

(要約)

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離婚時に家や住宅ローンに関してトラブルはあった?(イラスト・菅原彩加) 

 

住宅価格の高騰と共働き世帯の増加を背景に、「ペアローン」で購入する家庭が増えている。夫婦がおのおの融資を受ければ高額物件に手が届く一方で、ともに完済まで働き続けることが前提のため、離婚したり、1人が働けなくなったりしたら、たちまち返済が滞ることもある。メリットとデメリットを勘案して慎重に検討することが肝心だ。 

 

千葉県内に3千万円の中古マンションを購入した共働きの30代夫婦。頭金はゼロ。夫だけでは全額借り入れはできず、ペアローンを使った。 

 

ところが購入から3年後、離婚することに。すぐさまマンションを売却したものの、価格は購入額を下回り、500万円ものローンが残った。2人は今も月々約2万円ずつ、住めない部屋のためのローン返済を続けている。 

 

ペアローンはその名の通り、夫婦や親子など2人がそれぞれローンを組み、1つの物件を購入する仕組み。単独ローンと比べて借入可能額が高くなり、近年の住宅価格高騰に伴い利用が増えている。 

 

一方で、離婚や収入減で返済計画が破綻するケースは後を絶たない。中古マンションの再販売を行うホームネット(東京)の高橋正哉さん(57)によると、「離婚を理由にマンションを売るケースは年々増えている」と話す。また、不動産業のインプルーブメント(東京)が、住宅ローン利用者のうち離婚経験者(協議中を含む)約200人に聞いたところ、約35%が自宅やローンに関するトラブルを経験していた。 

 

■ともに自己破産も 

 

「ペアローンには単独ローンにはないメリットがあるものの、破綻のリスクもあります」と注意を促すのは、ファイナンシャルプランナーの大谷修太さん(36)。 

 

借入額の面だけでなく、夫は35年返済で変動金利、妻は20年返済で固定金利というように、柔軟な借り方もできる。死亡や高度障害状態で返済が全額免除される団体信用生命保険には、2人とも加入できる。住宅ローン控除や譲渡益の特別控除といった税制上の優遇措置も2人分利用できる。 

 

ただし完済まで2人とも働き、協力して返済することが前提だ。ひとたび離婚やどちらかが離職や収入減に直面すれば、破綻するリスクもある。 

 

 

中には不仲で話し合いができず、ローン返済が滞ることもあるという。その場合、離婚したうえに2人とも自己破産するという最悪の事態も起こり得る。 

 

■書面作成がおすすめ 

 

想定にはなかったこうしたリスクへの対策について、大谷さんは「別れることになったら家はどうするか、ローンはどうするか。購入前にしっかり話し合い、書面に残すことをおすすめします」と話す。3組に1組が離婚するともいわれる時代、決してひとごとではない。けがや病気には、民間の就業不能保険などで、ある程度備えられる。育児や介護については、家族で話し合い、分担やその間の働き方をできる限りシミュレーションしておくことが大事だと説く。 

 

ペアローンで住宅を購入後、夫のボーナスがカットされたり妻が育児休業から復職できなかったりして、支払いが滞った例を何件も見てきたという高橋さん。その経験を踏まえて、「ペアローンがいけないのではなく、身の丈以上に借りることが問題。不動産は一生に一度の買い物なので、しっかり将来設計を立てて無理のない範囲で検討してほしい」とアドバイスを送っている。(田中万紀) 

 

 

 
 

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